コロナ禍 子どもの成長・発達保障を 道教組の当面闘争方針(関係団体 2020-09-18付)
道教組(川村安浩執行委員長)の第33回中央委員会(17日付4面既報)では、第1号議案「当面闘争の推進」を原案どおり決定した。本年度後半期の運動として、新型コロナウイルス感染拡大から子どもの成長と発達を保障するための教育条件整備を進めることなどを掲げた。
当面闘争方針の概要はつぎのとおり。
【2020年度後半期の運動の重点課題】
▼「教え子を再び戦場に送らない」の決意のもと、憲法改悪を許さず、憲法を守り、学校、教育、社会に生かす道教組運動を推進する。憲法・子どもの権利条約に立脚し、それが息づく学校・職場を目指すとともに、学校・職場づくりを核とした道教組運動の役割についての学習・討議を進める
▼すべての教職員との対話と共同を視野に、切実な要求の実現と教職員の連帯を目指す職場活動を進める。すべての組合員と共に組合づくり、職場づくりについての議論と具体化を進める
▼改悪教育基本法の具体化である「教育再生」「改訂学習指導要領」の問題点を明らかにし、20人以下学級実現をはじめとした、ゆきとどいた教育を保障するための条件整備を求める。また、子どもたちの全面発達の中に豊かな学びと真の生きる力を育てる教育課程づくりに取り組む
▼いじめ・自殺・不登校・児童虐待など、子どもと教育の危機を打開し、子どもたちが安心して学べる学校と社会を目指す
▼上からの教育改革に負けない学校づくりを軸とした教育運動を、保護者や子どもにかかわる諸団体、個人に広げる。北海道の教育に責任をもつ教職員組合をつくるため、組織維持・強化・拡大に取り組む
▼学校づくりを破壊する学校職員人事評価制度のねらいを許さず、子どもが主人公で協力・協働(共同)の学校づくりを前進させる
▼以上の課題解決・要求実現のため、道退教・道高教組と連帯し、取組を強化する
【運動の具体的進め方】
▼憲法に立脚し、民主教育を父母・保護者、国民と共に前進させる課題
▽憲法改悪と一体の教育再生を許さず、子どもの成長・発達を保障する民主的教育を進める
①教育再生が憲法改悪攻撃と一体化したものであり、「戦争する国」「世界で一番企業が活躍しやすい国」を支える人材育成を許さず、教育本来の目的は「人格の完成」にあるということを、国民的理解になるよう取り組む
②学習指導要領の抜本的見直しを求める世論を広げる。子どもの実態から出発し、発達の願いに応える教育実践づくりを広げるため、職場・地域での学習と取組を広げる
③新型コロナウイルス感染症拡大のもとでの新自由主義的政策に基づく効率優先の政策の破綻や、競争主義的教育政策の問題点を明らかにし、すべての子どもの成長・発達を保障する教育政策への転換を求める
④英語教育の強化・早期化についての課題を明らかにし、見直しを求め世論を広げる。当面、英語専科教員の早期全校配置を求める
⑤小・中学校の「道徳の教科化」による道徳教育の強化に反対する取組を、広範な父母・保護者、国民と共に進める。特定の授業方法・研修の押し付けに反対し、憲法・子どもの権利条約に基づく実践を大事にする
⑥ゼロトレランスやスタンダードなど管理と統制の教育ではなく、子どもの命、人権を何よりも大切にする学校を目指す
⑦文部科学省が行う全国学力・学習状況調査が子どもと教育に与える深刻な影響を明らかにし、来年度以降の悉皆実施の中止を求める。教師と子どもたちを学力競争から守るたたかいを進める
⑧Society5・0に向けた人材育成、GIGAスクール構想などによる急速な教育のICT化についての問題点を明らかにして取組を強める
⑨部活動については、国の部活動ガイドラインや北海道の部活動指針を踏まえ、子どもの成長・発達を保障する観点から、合意づくりを広げる
▽へき地の教師・子どもたちの教育条件を守る立場から、今後も教職員の要求を大切に取りまとめ、道教委や各教育局との交渉を大切にする
▽学校職員人事評価制度については、非教育的な差別賃金の意図を職場に入れさせないためにも、協力・共同の民主的な学校づくりを進める
▽新型コロナウイルス感染拡大のもとで一層子どもと地域の実態に応じた自前の教育課程づくりが求められる。各地での教研活動を進めるとともに、道教組として連続的な学習会を開催し、主体的な教育課程編成、教育活動推進についての学習と取組の交流を行う
▽新型コロナ感染症に伴いオンライン開催となった11月7・8日の2020合同教育研究全道集会成功を目指す
▽行政研修の押し付けに反対し、教育研究の自由を守る取組を進める
①教育委員会が研修を実施するに当たっては、「教員の自主性尊重」「学問の自由、思想・信条の自由」を原則とすること。教職員の長時間過密労働解消のためにも、初任段階教員研修、中堅教諭等資質向上研修など様々な教員研修の負担軽減を求める
②制度の矛盾が一層明らかになった教員免許更新制について、ただちに廃止することを求める。当面、つぎの取組を強化する
ア 65歳に達する教員免許所持者の更新講習および更新手続きの免除を求める
イ 更新手続きを本人責任にせず、行政が責任をもって行い、意図しない失効が生まれない体制づくりを求める
ウ 更新講習受講を中堅等研修や初任者研修の受講とみなすなど、負担を軽減することや、受講料等の本人負担をなくすことを求める
▽特別支援教育の充実については、どの子にもゆきとどいた教育を進めるという視点からとらえる
①教職員定数増を求める運動を進める
②すべての障がい児への豊かな教育を進めるため、特別支援教育支援員の増員と有効的な活用を含めた制度面の充実に向け、道・市町村教委に要求する
③特別支援学校の過密・過大問題を解消するため、設置基準策定を求める請願署名に取り組み、要請を行う
④特別支援学校の増設に当たっては、単なる通級保障ではなく、教育保障の観点での寄宿舎の設置・増設を求める
▽新型コロナウイルス感染拡大から子どもの命と健康を守り、成長と発達を保障するための教育条件整備を進める。国による小・中学校、高校の20人以下学級実現に向けた国民的要求実現のため、教育全国署名運動の取組を進める。地方議会での意見書採択、自治体・教育関係団体への要請・懇談などに積極的に取り組む
▽小学校小規模校における定数改善、養護教諭・事務職員の全校配置・複数配置などに向け、道教委に定員・教育予算要求書を提出する
▽子どもの減少を理由にした機械的な学校統廃合計画に反対し、保護者や地域・住民の声を受け止めながら検討することを求める
▼生活と権利を守るたたかい
▽学校における新型コロナウイルス感染を防ぐため労働環境の改善と教職員の働き方の改善を求める
▽長時間過密労働を是正し教職員の健康を守る取組を進める。公立学校への1年単位の変形労働時間制導入に反対し、教職員定数の抜本的改善と20人以下学級実現、管理と競争の教育政策の転換、「時間外勤務を命じない」原則を堅持した上での給特法改正など抜本的な政策を求める
①教職員の労働条件と子どもたちの教育条件を統一してとらえ、時間外勤務や多忙化解消の方策について道教委の方針や取組を補強する。道立学校総括安全衛生委員会へ組合要求を反映させるよう積極的に参加し、実効あるものとする
②公立学校への1年単位の変形労働時間制導入のための条例を制定することに反対し、世論を広げ、取組を強化する
③改正給特法第7条に基づく在校等時間の把握に当たって、休憩時間や自己研鑚等を一律に排除することなく、持ち帰り勤務も含め、勤務実態の適正な把握を行うこと、虚偽の記録の押し付けや時短ハラスメントがないようにすることを求める
④すべての職場で、長時間過密労働解消のために、管理職も含めた教職員の合意づくりを進める。1年単位の変形労働時間制導入に反対する職場世論の形成を目指し、導入・適用の是非に関する各学校の意向の決定は、全教職員による民主的な話し合いに基づいて行うよう要求する
⑤長時間過密労働の大きな要因の一つである部活動問題について、教職員の生活と健康を守る立場を堅持して取り組む
▽道財政不足を理由とした賃金削減を許さず、道民本位の道財政の再建、道民生活を守る課題と一体的に賃金改善を求める
①コロナ禍の中であらためて鮮明になった公務の役割を広く明らかにし、道人事委員会勧告に向け、公務労働にふさわしい賃金などの改善勧告を求めて道・道教委に要求書を提出し、職場・地域からの要求署名運動を基礎に、職場からの交渉要員も募りながらその強化を図る
②生活実態に見合った寒冷地手当の増額を求める要求運動の強化を図る
③給与に差を付ける成果主義賃金に反対し、全教職員の処遇改善を求める
▽公務員賃金削減に反対し、公務・公共サービスの充実、労働基本権の回復を目指す運動を強める
▽定年引き上げ、雇用と年金の確実な接続を求める取組を進める
①雇用と年金の確実な接続は国の責任であり、定年延長と年金支給年齢の確実な接続を求める。年金支給開始年齢の引き上げには反対する
②再任用教職員の実態を把握するとともに、再任用教職員を定数外とし、新規採用への影響を及ぼさないよう求める。無年金になる再任用職員の低い賃金の改善を求める
▽消費税増税反対、最低賃金の引き上げなどの要求実現を目指し、職場・地域からの共同の取組を進める
▼人事要求実現、民主的人事行政確立の課題
▽管内教育を向上させ、教職員の異動要求に添った人事要求の実現を目指し、道教組各構成組織での取組を進める
▽道教委、各教育局への人事要求では、「民主・公平・公開」の原則に立った人事行政の確立を求める
▽事務職員の格付基準の見直しによる機械的人事が行われないようにするとともに、本人の希望と納得に基づく人事の実現を目指す
▽再任用については、ほかの公務員と比べ採用率が低く、看過できない状況がある。年金と接続しない状況があるからこそ、希望者全員の任用に向け、定年延長など新たな制度設計を求めるとともに、各管内の実態を把握し、要求実現に向けて取り組む
▽定数内臨時教職員の解消を図るよう要求する。年度内に期限付教職員の欠員が多く、欠員のまま放置することは許されない。正規採用を増やし、年度初めから多くの欠員を起こさないよう、道教委に強く改善を求める
▽教職経験の考慮、地域枠採用の問題点など教員採用選考制度の改善を求める
▼道教組の仲間を増やす取組の課題
▽『道教組・組合づくりリーフレットwith you』などを活用し、各単組・連絡会、支部・分会、専門部で、組合に結集する意味、道教組運動の魅力を確かめ合う学習、討議を一層広げる。「声をかける」「話を聞く」「つながる」ための対話活動を追求し、「仲間を増やして未来を拓く」道筋の具体化を進める
▽みかんキャンペーンや共済カフェなどの共済拡大の取組を重点に掲げ大きく前進させるとともに、共済加入から組合加入への太い流れをつくり出す
▽青年層とつながり、話を聞き、共にほっとできる時間をつくり出す。青年層の組合加入を積極的に呼びかけ、青年層の願いや声を生かして、組合活動を活性化させる
▽コロナ禍の渦中にあるからこそ、組合のよさ、存在意義が実感できる情宣活動を進める。SNS(Twitter、Facebook、LINEなど)について、『道教組・組合づくりリーフレット②from us』を参考に、各組織・専門部での一層の活用を進める
▽組織拡大と道教組共済・『クレスコ』拡大を統一的に進める
▽要求の多数派を目指し、参加と共同の学校づくりに取り組む。新型コロナ感染症の影響による職場の様々な問題や子どもたちの状況について、教職員一人ひとりの願いや悩み、職場の課題や要求を共有し合う職場づくりを進める
(関係団体 2020-09-18付)
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