道高教組・道教組 道教委に緊急要望 丁寧な説明と意見聴取を 1年単位変形労働の照会で(関係団体 2020-09-16付)
道高教組(尾張聡中央執行委員長)と道教組(川村安浩執行委員長)は14日、道教委に対し、「公立学校の教育職員における“休日のまとめ取り”のための1年単位の変形労働時間制について(照会)」に関する申し入れを行った。道教委が道立学校などに対し行っている意向調査について、検討する十分な時間が確保されていないことや、管理職のみの判断で回答されかねないなどと訴え、「道立学校や市町村教委に対し、教職員へ丁寧に説明し、すべての教職員の意見を聞いた上で、意向について判断するよう周知すること」など2点を要求した。
申し入れの概要はつぎのとおり。
道教委は、1年単位の変形労働時間制に関する文部科学省令の制定・指針の改正等を受け、9月9日付で道立学校と市町村教委あてに「照会」を発出し、1年単位の変形労働時間制の導入についての意向調査を実施している。
この意向調査は、道立学校は各学校の管理職が、市町村立学校は市町村教委の担当者が回答するものである。
道教委は、その目的を「道における検討の参考とするため」としているが、この調査は回答期限が短いため(9月24日締切)、各学校で検討するための十分な時間がなく、場合によっては管理職のみの判断を「学校の意向」とされかねない。
1年単位の変形労働時間制の公立学校への導入は、多くの教職員から反対の声、また、法律の専門家や教育研究者から多くの問題点が指摘されている。
文科省は、休日のまとめ取りとして、あたかも休日が増えるかのような打ち出しをしているが、平日の拘束時間を延ばした結果、ほかの日に勤務しなくてもよい時間ができるのであって、これを「休日」とすることは、大きな誤解を招く表現である。
しかも、すべての時間外勤務が割り振りされるわけではなく、割り振りできるのは年間でたった5日間(約40時間)程度である。
道教委が2019年11月に実施した勤務実態調査によれば、月45時間以上の時間外勤務をしている教員は55・3%(小学校56・2%、中学校71・8%、高校55・1%、特別支援学校37・1%)である。
年間で40時間だけでは全く足りない。そもそもが、上限時間45時間を超えている教職員は活用できない制度であり、導入の前提を欠いている。
学校現場では勤務時間の客観的把握のシステムが導入されており、管理職は、記録の集計や道教委への報告、超勤が深刻な教職員への対応など、勤務管理に追われている。
その事務処理のため、事務室の多忙にも拍車がかかっている。1年単位の変形労働時間制を導入するには、かなり厳格な勤務管理が必要であり、管理職や担当者にさらに負担をかけることは明白である。
一部の職員がさらに忙しくなり、導入の効果が全くないばかりか、超勤を固定化することになりかねない。今回は選択的導入としているが、学校は互いが共同して取り組む職場であり、個人の希望によって勤務時間が異なる状況は決して好ましくはない。
何よりも、この意向調査は、労働条件の大きな変更であるにもかかわらず、すべての教職員の意見を聞き学校の意向に反映させることが明記されていない上、検討する十分な時間も確保されておらず、管理職のみの判断で回答されかねず、このような調査方法は許されない。
1年単位の変形労働時間制は、民間であれば、過半数労働組合、それがなければ労働者側の過半数を代表する者と労使協定を締結しなければ導入できないものであり、使用者だけの判断では導入できない。
そのような性質の制度だからこそ、丁寧に教職員の意向を聞くことが重要なはずであるが、今回の調査方法は、あまりにも不適切・不誠実である。
以上のことから、下記項目について緊急に要求する。
1 道立学校や市町村教委に対し、教職員へ丁寧に説明し、すべての教職員の意見を聞いた上で、意向について判断するよう周知すること。今回の調査でできない場合は、条例制定前に教職員の意向を確認する機会をつくること
2 1年単位の変形労働時間制をはじめ、労働条件にかかわることについては、各学校に通知等を発出する前に、我々組合と十分な協議を実施すること
(関係団体 2020-09-16付)
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