道教組が中央委員会 少人数学級求め運動展開 1年単位変形労働時間制反対(関係団体 2020-09-17付)
Zoomを活用しオンラインで開催した
道教組(川村安浩執行委員長)は12日、札幌市内の道労働センターで第33回中央委員会を開き、当面闘争方針を決めた。重点課題として、20人学級を展望した少人数学級の前進を前面に掲げて教育全国署名に取り組むとした。また、1年単位の変形労働時間制導入反対、長時間過密労働解消の取組を職場や地域から進めていくことを挙げた。
ウェブ会議システムZoomを活用しオンライン開催した。
第1号議案「当面闘争の推進」では、本年度の重点課題として①すべての子どもたちの学習権を保障するため、20人学級を展望した少人数学級の前進を求め、教育全国署名を大きく広げる②新型コロナ感染症から子どもの命と健康を守り、豊かな成長・発達を保障する取組を進める③1年単位の変形労働時間制導入反対、長時間過密労働解消の取組を、職場・地域から進める④組合・共済加入促進大運動の前進―を掲げた。
①では、教育全国署名について、20人学級を展望した少人数学級の前進を前面に掲げ、賛同を広げる取組を全国各地で進めるとした。職場を基礎に、地域にも賛同を広げるとともに、SNS等を活用した発信の工夫など、新たな取組を模索していく。
②では、「“職場の中で子どものために自分たちが何ができるのか”を意識して、丁寧な議論や語り合い、合意していく職場の共同をつくり出すことが重要」とした。また、コロナ禍の状況において大切にしたい教育を考えるため、今月26日に第4回オンライン学習会、11月7日から2日間、オンラインで2020合同教育研究全道集会を開く。
③では、9月9日に道教委が条例制定の参考とするための意向調査を道立学校長と市町村教委教育長に照会したことを受け、回答期日が24日であることについて、「導入するかどうかの意向を検討できる期間は1週間しかない」「早急に職場で変形労働時間制についての問題意識共有が重要になってくる」と指摘。
「市町村教委や管理職に対し、変形労働時間制について全教職員で検討を行うべきだということを求めていかなければ、一部の人の意見が学校の意向だと道教委に伝えられ、条例を制定していくことになりかねない」などと批判し、導入反対を訴える取組を進めていくとした。
◆〝本質〟の見極め 重要に 川村執行委員長あいさつ
道教組の第33回中央委員会における川村安浩執行委員長のあいさつの概要はつぎのとおり。
私は、毎年の定期大会の折に、東日本大震災にふれてきた。その中で「この大震災が社会を変えるきっかけになるだろうと指摘されていた」と述べた。しかし、「実際には教訓を生かすような社会の変化は、予想されたほどではなかった」と振り返っている。
ところが今、新型コロナウイルス感染拡大防止が生活の基盤となるような状況を迎え、生活様式が大きく変わってきた。そして、生活の変化が、社会のありように大きな変化をもたらすのが必須の状況である。“コロナだから仕方なく”ではなく、本質的な部分で変化が必要なことは何なのか、変化させてはいけないものは何なのかを見極めるのは極めて重要になっている。
この間、ちまたには「オンライン」「リモート」というワードが満ち溢れている。ここでも、しっかりした見極めが必要と感じている。
この春、入学した大学生。すべての授業がオンラインで行われ、まだ1度もキャンパスで集ったことがない中、うつ状態が広がっているという話も聞いた。人間は、高度な社会性をもつ生き物である。だからこそ、オンラインでも対応できるし、オンラインでは充足できないということでもあるのだろう。
オンラインは、利便性などの魅力的な長所が多くある。一方、リアルを求める声も根強くある。とりわけ、オンラインだからこそ社会活動全般に「一人ひとりの意見、意思を尊重する」という民主主義が根本に据えられているかが試金石になるのである。
教育の場では、「20人以下学級を展望した少人数学級の実現」に向かって、情勢は急激に動き出す。
コロナ対応の分散登校という形で実現した少人数学級。やってみると、感染防止に限らず、「勉強が分かるようになった」「一人ひとりを丁寧にみてあげることができるようになった」と本質的なところで歓迎の声が相次いだ。
教育のありようとしての少人数学級の必要性が、コロナ対応をきっかけに実感を伴って社会の中に広がり、うねりがつくり出されていったのである。
コロナでみえた社会変革の筋道の一つである。先がみえないコロナ禍の中で、子どもたちの閉塞感は日ごとに増している。楽しみにしていた行事の数々が奪われている。
でも、その中で本当にけなげに毎日を過ごしている。
私が勤めている滝川市でも、早い段階で運動会は中止と決定されてしまった。
そこから各学校での工夫が始まった。それぞれ、名称や形態は少しずつ違うが「運動会の代わりに」というものを実施している。
私の学校でも7月末の平日に、低・中・高のブロックごとにミニ運動会を実施した。時間も短く、種目も限られる中、保護者の参観もあり、得点の集計も行うなど、係が「運動会の雰囲気を醸し出そう」と頑張ってくれた。
学校の中心としての活躍の場をなかなか用意してあげることのできなかった6年生は、低学年の競技運営を買って出てくれた。その6年生が、あいさつの中でこんなことを話した。
「コロナで、いろいろなことができなくなってしまったけれど、運動会ができてうれしいです。運動会をさせてくれた先生方や家の人たち、友達に感謝します。ありがとうございました」というものだった。
びっくりした。前もって原稿を用意していたわけではなく、直前に「何かしゃべってこい」と送り出され、とっさに出たのがこのあいさつである。
形は違っても、諦めていた小学校生活最後の運動会をできたこと、そのうれしさを周りの人たちへの感謝という形で伝えてくれたことに感動した。それと同時に、子どもたちが日々過ごしてきた学校生活への思いの大きさ、それができなくなったやりきれない思いの強さが伝わってきた。そして、コロナにかかわって多くの制限がある中で、子どもたちにとっての最善の利益は何なのか、そのために力を尽くしているのかと、あらためて問われたようにも思った。
私の受け持つ学級は、6年生の女の子が1人の学級である。春に、学校の畑の片隅に学級園をつくって、ミニひまわりとコスモスを植えた。ひまわりは咲き終わり、コスモスはまだ咲き競っている。
先日、ジャガイモも枝豆も収穫した。通勤途中に見る田んぼも、実りの時期を迎えて金色に輝いてる。稲刈りが始まったというニュースも耳にした。ことしに入り、私たちの日常は大きく揺さぶられている。
しかし、自然の大きな流れは、揺らぐことなく、夏から秋へとゆったりと流れている。私たちの運動や教育実践も、その根底にある大きな流れは揺らぐものではない。
本委員会での多様な論議から、“道教組の本質”が見いだされることを期待する。
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川村安浩委員長
(関係団体 2020-09-17付)
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