札幌市立学校のネット回線を増強 来年3月まで段階的に 緊急時コミュニケーションなど(札幌市 2020-10-13付)
札幌市教委は、市立学校のインターネット回線を来年3月末まで段階的に増強する。インターネット回線の増強によって、令和3年3月には全学校で、緊急時に生徒とオンラインでコミュニケーションを図ることを実現させる方針だ。市がまとめた新型コロナウイルス感染症「これまでの対応の点検と今後の取組」で示した。
市は、これまで各部局において、様々な感染症対策や市民・事業者への支援策を実施、庁内体制の整備、関係機関との連携などの対応を行ってきた。今回、各部局では自らの対応について自己点検し、課題や問題点を抽出。今後の取組を検討した。
報告書ではこれまでの対応の点検と今後の取組および取組、効果、課題について、生活全般、子育て、学校など11分野で記載。
うち、学校関係における今後の取組として、市立学校の感染症対策では教育活動のガイドラインを必要に応じて改訂し、学校に周知するとした。感染者が発生した学校については、感染者または濃厚接触者を限定して出席停止(学級閉鎖など)にすることによって、感染拡大防止策を講じながらできる限り教育活動を継続させる。
教育活動の継続としては、さっぽろっ子放課後学習サポート事業の活用を希望する学校において、12月までに事業における学習支援を行っていく。
また、学校のインターネット回線については、これまで300Mbpsだったものを9月中に1Gbpsに、10月中に2Gbpsに、来年3月末までには5Gbpsに段階的に増強する予定。
インターネット回線の増強に伴い、来年3月には緊急時に全学校生徒とオンラインでコミュニケーションを図る体制を実現していく。
幼児児童生徒の心身のケアでは新型コロナウイルス感染症による影響は長期にわたることが想定されることから、幼児児童生徒の心身のケアについて今後も継続的に支援していく。
学校における取組、効果、課題はつぎのとおり。
【学校】
▼市立学校の臨時休業など
▽取組
新型コロナウイルス感染症の流行状況を鑑み、2月28日~3月25日(特別支援学校は2月27日~3月25日)と4月14日~5月31日の期間、小・中学校、高校、特別支援学校の臨時休業を実施した(市立幼稚園は4月22日~5月31日)。
▽効果
新型コロナウイルス感染症による保護者の不安解消などに一定の効果があった。
▽課題
感染拡大防止策と教育活動の両立を今後も引き続き継続していくことが課題である。
▼臨時休業中の学校支援
▽取組
学習課題等の提供やICTを活用した学習支援を実施した。
▽効果
新型コロナウイルス感染症の影響で登校できない間における学習面のサポートをすることができた。
▽課題
再び臨時休業になることを想定し、ICTを活用した学習支援に制限が生じないよう、家庭や学校のインターネット環境を整える必要がある。
▼臨時休業後の学習支援
▽取組
臨時休業の長期化による学習の遅れに対応するため、夏季休業中に10~15日程度の授業日を設定し、授業を行った。なお、夏季休業中の授業日は午前授業とするとともに、水筒を持参し水分補給をすることやジャージなどの涼しい服装で学習することを奨励するなど暑さ対策も併せて実施した。
学びのサポーター活用事業を拡充し、学習面でサポートを必要とする児童生徒に対して、放課後等の時間に地域人材を活用した学習支援を行うさっぽろっ子放課後学習サポート事業を実施した。
臨時休業時にネット環境がない家庭に貸し出しできるよう、8月末までに約4000台のタブレット端末とモバイルルーターを整備した。
▽効果
学習活動を重点化するとともに、学校行事の実施方法を工夫し、行事の目的を達成しつつ授業時間を生み出すなど、子どもの学習に著しい遅れが生じない対策を講じることができた。
さっぽろっ子放課後学習サポート事業によって、8月末現在で、小・中学校、高校200校が約450人の地域人材を活用して放課後等の学習支援を実施することができた。
▽課題
感染症対策を講じながら、教育活動を継続していくことが課題である。
▼幼児児童生徒の心身のケア
▽取組
臨時休業によって、不安や心配を抱える幼児児童生徒の心身のケアを図るため、各種相談窓口の周知やメンタルヘルス等にかかるコラムをホームページに掲載した。
学級担任や養護教諭等を中心としたきめ細かな観察によって健康相談等の実施やスクールカウンセラーなどによる支援を実施した。
▽効果
臨時休業中におけるストレスを緩和するための気分転換の方法や、幼児児童生徒との接し方などについて、保護者に伝えることができた。
臨時休業明けの子どもたちの状況を的確に把握することで、必要な支援につなげることができた。
▽課題
臨時休業が長期間にわたる場合における幼児児童生徒の心身のケアや新型コロナウイルス感染症への不安への対応が引き続き課題である。
▼放課後児童クラブの運営
▽取組
3月から6月までは可能な限りの在宅保育を要請した上で、家庭の事情によって、やむを得ない場合は児童の受け入れを実施した。
1月からは感染対策防止策や感染者発生時の施設運営に関する情報のほか、厚生労働省等関係機関からの通知・マニュアル等の情報を各施設に周知した。
5月には民間の放課後児童クラブにおいて、学校施設の利用希望調査を実施し、学校・市教委と調整の上、希望のあった施設10ヵ所の活用を開始した。
7月と9月には感染症発生時の児童会館・ミニ児童会館の取扱いについて、保護者へ周知した(学校・児童会館からの配布および施設内での掲示・配架、運営団体・札幌市ホームページへの掲載による)。
▽効果
やむを得ない場合の子どもの居場所を確保することで、学校休業によって、増加した家庭への負担を緩和することができた。
感染防止にかかる危機管理意識を高めるとともに、必要な感染拡大防止策の実行を促進できた。
▽課題
可能な限り家庭での保育を要請したが、放課後児童クラブによっては、受け入れ児童が多くなることがあったことから、適切な距離を確保するための対策を講じる必要がある。
公設の放課後児童クラブについて、保護者のニーズを考慮した受入開始時間の検討が必要である。
感染拡大防止策の実施や学校休業期間における平日の午前開所や学校諸室の活用等によって、放課後児童クラブ職員の負担が増大したことから、負担軽減策の検討が必要である。
感染拡大期におけるマスクや消毒液等の物資の入手が困難であったことから、必要数の確保に向けた対策が必要である。
(札幌市 2020-10-13付)
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