札幌市議会決算特別委員会ダイジェスト
(札幌市 2020-10-20付)

◆生徒の交流活性化 ツールとして定着 開成中等教育のICT活用成果

 16日の札幌市議会第1部決算特別員会では、市立札幌開成中等教育学校におけるICT活用の成果と他の市立学校への普及状況について質疑が行われた。

 札幌開成中等教育では、1人1台タブレットの活用によって、インターネット上で検索した情報を個人の興味・関心に応じて探究する主体的で深い学びが進むとともに、校内全域の無線LAN環境によってタブレットがいつでもどこでも利用可能となったことで日常的な学びのツールとして定着し、積極的に活用されている。

 また、毎年、初任者研修をはじめ、各種教員研修において市内の教員が同校の日常的なタブレット活用の状況を実際に見学するとともに、課題探究的な学習の先進事例として取り上げることでICT活用に関する教員の認識や理解を深める取組などを進めている。

 相沢克明学校教育部長は「タブレットの活用範囲が広がったことによって、生徒同士の交流やグループワークが活性化し、自由・主体的に学習に取り組む姿勢のほか、プレゼンテーション能力等が培われている」と報告。

 今後は、GIGAスクール構想によってすべての市立学校に同校と同様の通信環境が整備されることから、これを契機に本年度作成予定の『タブレット活用のためのガイドライン』や『教育課程編成の手引き中学校編』に同校の活用事例を掲載するほか、引き続き教員研修を実施するなどしてICT活用の学習モデルのより一層の普及に努めていく考えを示した。

 藤田稔人委員(自由民主党)の質問に答えた。

◆外部講師招へいし先端IT人材育成 旭丘高の新学科

 16日の札幌市議会第1部決算特別員会では、市立札幌旭丘高校の新学科の具体的な取組について質疑が行われた。

 札幌旭丘高の新学科では、理数を専門教科として学びながらビッグデータを正しく分析活用するデータサイエンスの手法を課題探究的な学習に積極的に取り入れることで、より専門的な情報活用能力の育成を目指している。

 そのため、北海道大学数理データサイエンス教育研究センター長を市教委のデータサイエンス教育アドバイザーに委嘱し、指導助言のもと、高度で専門的なデータサイエンス教育を効果的に新学科の学びに取り入れていく。併せて、札幌市IoTイノベーション推進コンソーシアム等のAIやIoTを活用した札幌市の産業振興事業との連携を強化し、市内でAI等の先端分野で活躍する人材を外部講師に招へいすることとしている。

 相沢克明学校教育部長は「AIやIoT等の技術の急速な進展を迎える中、これからの高校には理数教育の充実等によって、AIやデータの力を最大限活用し新しい価値を創造できる人材の育成が求められている」との認識を表明。

 市教委として「新学科ににおいて、理数教育を充実しつつ、先進的な高度情報科学分野を学ぶ機会や市内の最前線で活躍するロールモデルにふれる様々な機会を提供することなどによって、将来、札幌市の産業・振興の発展に寄与する先端IT人材の育成に努めていく」との考えを示した。

 藤田稔人委員(自由民主党)の質問に答えた。

◆月平均40時間に コロナで例年以上 教員の時間外労働

 16日の札幌市議会第1部決算特別委員会では、教員の長時間労働の解消について質疑が行われた。

 市教委は教員の勤務時間について、平成30年8月から出退勤時刻を記録し、時間外労働の状況を把握している。

 小田原史佳生涯学習部長兼労務担当部長は令和元年度の実績について、教員の時間外労働の平均は約40時間であり、中でも教頭が最も多かったことを報告。

 本年度は、新型コロナウイルス感染症に伴う臨時休業の影響で夏季休業期間の短縮や学校行事の実施時期・方法の変更、感染症対策を目的とした消毒作業などによって教員の負担が例年より増加している状況を説明した。

 教員の勤務時間は恒常的に長時間となっており、解決すべき課題であると答弁した。

 うるしはら直子委員(民主市民連合)の質問に対する答弁。

◆勤務時間への意識大きく変えるべき 市立校働き方改革 3重点の取組内容

 16日の札幌市議会第1部決算特別委員会では、市立学校における働き方改革指針で示した3点の重点取組項目における今後の取組内容について質疑が行われた。

 小田原史佳生涯学習部長兼労務担当部長は重点取組項目の1点目「勤務時間を意識した働き方」について、各校の教員は授業準備など、子どもたちのために行う業務については時間を惜しまず取り組む傾向であることを報告。管理職については勤務時間に対するマネジメントがこれまで十分にできていなかったことから、意識を大きく変えるべきであるとした。

 2点目の「学校行事・業務の見直し」については、これまで慣例的に実施していたものを新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、実施方法など大幅に見直すことができたと報告。引き続き、働き方改革の視点で見直すことができる取組について学校と市教委が検討する必要があるとした。

 3点目の「チーム学校の体制整備」については、教員以外でも担うことができる業務を教員が担っている実態があるとし、校内で役割を分担した上で、外部人材を活用しながら教員以外が担うことができる業務はチーム学校として取り組むことができるようにしていくとした。  

 地域が行う行事については、学校の負担が少なくなるよう、地域に理解を求めていくことも重要であるとし、市教委内に設置したワーキンググループで具体的な取組を検討していることを報告した。

 うるしはら直子委員(民主市民連合)の質問に対する答弁。

◆必要な物品購入へ サポーターも活用 コロナ拡大防止 難聴の子への配慮

 16日の札幌市議会第1部決算特別委員会では、新型コロナウイルスの感染拡大防止の中で聞こえにくさのある子どもに対する配慮について質疑が行われた。

 相澤克明学校教育部長は、難聴の子どもは、聞こえの教室において、口元が見えるフェイスシールドや透明マスクを着用するとともに、対面で指導する際にはアクリル板を活用していることを説明。

 各校の通常の学級においても子どもの聞こえの状況などに応じて口元が見えるよう配慮するとともに、学びのサポーターを活用することで、教員が話した内容を書き表すなどの支援を行っていると報告した。

 今後は支援に必要な物品購入のための予算措置のほか、聞こえにくさがある子どもの対応について相談があった学校に対し、使用方法についての助言などを行うとした。

 このほか、聞こえにくさがある子どもに対する学びのサポーターの活用事例を研修資料に掲載するなど、子どもの聞こえの状況などに応じた配慮を幅広く行っていくとした。

 うるしはら直子委員(民主市民連合)の質問に対する答弁。

(札幌市 2020-10-20付)

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