児童相談体制強化プランたたき台　権利擁護等５つの方向性　子育て会議部会で示す　札幌市

（札幌市 2020-10-21付）

　札幌市は、第３次札幌市児童相談体制強化プランにおける課題と今後の方向性（たたき台）をまとめた。１６日に開いた市子ども・子育て会議児童福祉部会の第４回会議で示したもの。「子どもの権利擁護」や「専門的相談体制の強化」など、児童相談体制に関する課題を解決するための５つの方向性を設定した。

　市子ども・子育て会議児童福祉部会はこれまで、平成２９年４月に策定した第２次市児童相談体制強化プランについて、進ちょく状況の報告と、具体的取組に関する審議等を推進。令和元年度から、次期強化プランの策定に向けた審議を進めている。

　児童相談体制強化については、２２年度に市児童相談体制強化プランを策定。２４時間３６５日の電話相談に対応する子ども安心ホットラインの設置や、各区保健センターへの家庭児童相談室の設置等に取り組んできたほか、児童相談所への児童福祉司の増員や現職の警察官の配置など、人員の増強を進めてきた。

　一方で、児童相談所の相談受理件数は増加し続け、内容も複雑・深刻化。２７年には、市内で虐待による死亡事案が発生し、その検証を行った児童福祉部会が報告で関係機関との協働の仕組みや在宅支援の強化等について提言した。

　こうした状況を踏まえ、児童相談所や区役所などの体制強化に向け、新たな方向性と取組をプランに定めることとしている。

　たたき台をみると、市における児童相談体制に関する課題を整理し、解決するための方向性として、①子どもの権利擁護②地域における相談支援体制の強化③専門的相談体制の強化④個々の子どもの状況に応じた社会的養護体制の充実⑤関係機関との連携・支援の強化―の５点を設定。

　うち、①では、子どもの権利を侵害する児童虐待の件数が増加傾向にあり、重篤な虐待事案も発生していることから、権利侵害に至らないよう、体罰によらない子育ての周知啓発や児童虐待の発生予防に向け取り組む。

　また、当事者である子どもの意見や意思を尊重し、子どもが意見等を表明しやすい環境、権利の侵害があったと感じたときに相談できる環境を整える。

　③では、児童福祉法の改正や国の児童虐待防止対策体制総合強化プランを踏まえ、休日夜間を問わず通告が寄せられ、増加している児童虐待事案に対応できるよう、児童福祉司等の児童相談職員を計画的に配置し、体制強化を図る。

　また、一時保護需要の高まりに伴い、一時保護所の定員拡充が必要なことなどから、児童相談所を現在の１所体制から２所体制にするため、仮称・第２児童相談所の開設に向けて整備を進める。

　第５回会議は１１月中の開催を予定。

　年度内にプランの策定・公表を目指して、具体的内容を審議する

(札幌市 2020-10-21付)