ICT環境整備費負担を 道私学関係各団体 3年度要望(道・道教委 2020-11-11付)
道内の私学関係各団体による令和3年度私学振興に関する要望の概要はつぎのとおり。
◆道私立中学高校協会
【私学予算の充実】
▼管理運営対策費補助金の増額
当該補助金は毎年度増額していただいているが、道教委の推計によると、令和2年度から11年度までの9年間で、全道で約4200人もの中学校卒業者数の減少が見込まれており、私学経営はますます厳しい環境に置かれている。
加えて、今般の新型コロナウイルス感染症対策などによって様々な面で私学経営がひっ迫していることから、新しい生活様式に対応できる安定的な学校経営を図るため、管理運営対策費補助金の生徒一人当たりの補助単価をさらに増額していただきたい。
併せて、私立学校振興助成法の趣旨を踏まえ、経常的経費の2分の1の補助の実現を目指していただきたい。
▼地域小規模校経営改善促進費の充実
中学校卒業者数の減少が著しい地域の小規模校に対する当該補助金は、地方の小規模校の経営安定と教育水準の充実向上とともに、国の重要政策である地方創生に資するものであることからさらに充実していただきたい。
▼私立高校等施設の耐震化支援の充実強化
平成30年9月の北海道胆振東部地震をはじめ、東日本大震災や熊本地震などの教訓から、子どもたちが安全な環境で勉学などに励むことができるようにするためには学校施設の耐震化が急務であるが、多額の資金を必要とする当該工事は、厳しい経営を余儀なくされている私学にとって極めて大きな負担となっている。
しかしながら、国の助成制度の補助率は3分の1以内(Is値0・3未満の施設は2分の1以内)であること、IS値0・3未満や耐震補強が困難な建物に限られ、補助率も3分の1以内であることから自己資金の調達が難しく、工事の実施になかなか結び付いていないのが現状にある。
このようなことから、令和2年度までとなっている私立中学・高校の耐震改築工事にかかる補助制度の再々延長とともに、国の補助率を国公立学校と同水準化するよう、道から要請していただきたい。
国民の生命を守り安全を確保するのは国の責務であり、国の支援で一日も早く私立高校等施設の耐震化を完了していただけるよう、大幅な増額など補助内容の拡充強化について道から要請していただきたい。
併せて、道の私立学校施設耐震化支援事業費補助金についても、充実していただきたい。
▼私立高校等におけるICT環境の整備促進
このたびの新型コロナウイルス感染症対策において、オンライン授業への対応など、ICT環境の整備の重要性が再認識され、先進的な施設・整備の導入が急務となっている。
すでに、国はGIGAスクール構想の実現に向けたICT関連の経費を予算化しているが、私立学校についてはこれまでと同じく実質2分の1補助にとどまったままであり、同構想を実効性のあるものにするためには、1人1台とされる端末の取り扱いについても、児童生徒に個別の使用を認め、家庭学習においても活用できるようにするなど、運用方法の抜本的な見直しが必要である。
このようなことから、すべての児童生徒がICTの活用能力を習得できるよう、教育のICT環境の整備にかかる経費については、公私を区別することなく、所要経費を全額国で負担するなどの新たな仕組みを検討するよう、制度の抜本的な見直しと強化を国に要請していただきたい。
【公私間の納付金負担格差の縮小是正と保護者負担軽減施策の充実】
▼道の私立高校授業料軽減補助制度
2年度から国による私立高校授業料の実質無償化が実施され、年収目安590万円未満の世帯への支援金の上限額は年額39万60000円(月額3万3000円)まで引き上げられたが、施設整備費等は対象外となるなど、私立高校の学納金の実態にそぐわず、道からの軽減補助金による上乗せもわずかの額にとどまっている。
また、年収590万円以上の世帯の支援上限額については、平成22年の制度発足時の公立高校授業料の年額11万8800円(月額9900円)のままであることから、共働きなどで年収目安である590万円をわずかに超えていることによって、授業料無償化の対象とならなかった世帯と無償化になった世帯との経済的な不平等が生じる結果となっている。
こうした不平等を是正し、修学支援金の支給格差を是正するため、授業料無償化の年収目安となっている590万円の引き上げと、年収590万円以上の世帯の支援上限額(年額11万8800円)の増額を国に要請していただきたい。
また、道にあっては、年収590万円未満世帯の生徒に対し、国の就学支援金と道の授業料軽減補助金を組み合わせて最大3万3500円(月額)となっている補助の引き上げと併せて、年収590万円以上910万円未満の世帯に対しても道の授業料軽減補助の対象となるよう制度の拡充を図っていただくことを要望する。
▼入学一時金軽減補助制度等の創設
元年度の私立高校入学一時金は、依然として公立の約35倍となっており、公私間の納付金負担格差が非常に大きく、一時的に多額の資金を必要とすることから保護者の負担が極めて重く、この点が大きな壁となっている。
すでに多くの府県において、公私間の負担格差解消を図るため、入学一時金の軽滅措置が講じられている状況にあることから、入学一時金の格差縮小是正を図る道独自の入学一時金軽滅補助制度を創設していただくよう要望する。
▼国の私立中学校等の生徒等への就学支援金制度
当該制度は平成29年度から、私立中学校等に通う生徒等のうち、年収400万円未満世帯の授業料負担に対し、5年間の実証事業とし、年額10万円の公的支援制度が開始されたが、支援金としてはわずかに過ぎない。私立中学校等の生徒等への経済的な支援策については、実証事業の結果などを踏まえ、今後、幅広く検討し、制度の恒久化を図るとともに、支援額の引き上げについても検討されるよう、道から要請していただきたい。
▼奨学のための給付金(高校生等奨学給付金)制度
当該制度は、教育費負担割合が大きい、所得の低い世帯の生徒を対象に26年度に創設され、その後、毎年度支給額が一部増額されるなど改善が図られてきた。
給付金によって、授業料以外の経費が大幅に軽減されており、今回の新型コロナウイルス感染拡大などの影響で収入が著しく減少している世帯を救済する必要性からも、給付金制度の一層の充実を要望する。
【公立高校の定員調整等】
▼これからの高校づくりに関する指針の着実な実行等
公立高校の定員調整については、道教委が30年3月に策定したこれからの高校づくりに関する指針において、「私立高校所在学区にあっては、公立高校において、中学校卒業者数の増減に応じ、私立高校の配置状況に配慮した定員調整を行うこととし、調整に当たっては、公立高校と私立高校の定員比率を勘案するとともに、道公私立高校協議会などにおいて、私学関係者と協議を行う」と規定されているから、道教委自らが責任をもって着実に実行していただきたい。
また、過疎化の進行や中学校卒業者数の大幅な減少など本道教育を取り巻く環境が著しく変化していることから、公教育の在り方や公私立の役割分担などについても十分議論を進め、公私協調の視点に立って本道教育の充実・発展に取り組んでいただきたい。
▼公立高校の第2次募集による私立高校入学手続き完了者の辞退防止対策
公立高校の第2次募集によって、私立高校を合格し入学手続きを完了した100人を超える生徒が、新学期開始直前に辞退していくことが長年にわたって繰り返されており、経営面はもとより、学級編制や教師数の確定など、私立高校の学校運営に大きな支障が出ている。
第2次募集制度は、本来、高校進学を希望しながら高校進学が決まっていない生徒のセーフティネットとして認められているものであるが、道内の公立高校では、欠員補充手段として行われている例が多く、公私間の信頼関係を大きく損なう要因となっている。
このようなことから、公私間の不公平を早急に改善するため、第2次募集の出願を認めない者として、高校に進学が決まっている生徒は公立・私立の区別なく、応募資格から除外すべきであり、道教委が定めている入学者選抜実施要項の出願資格を認めない者として、公立高校の合格者と同じく「入学手続きを完了した私立高校合格者」と明記することを強く要請していただきたい。
【道私学振興基金協会が行っている私立高校に対する経営安定資金貸付制度の継続】
▽経営安定資金貸付金=9億円(令和2年度9億円)
▽短期経営安定資金貸付金=2億5000万円(2年度2億5000万円)
私立学校の経営は、経常経費等の増加、生徒数の減少、生徒納付金の値上げ抑制等によって厳しい状況にあるので、経営安定資金の継続貸付について、格別な高配をお願いする。
【道私学振興基金協会が行っている私立高等学校等の教育施設整備事業に対する貸付制度の継続】
▽貸付金=1億円・限度額(2年度1億円)
私学経営は、急速な少子化などによってますます厳しい環境になっているが、老朽校舎・園舎の改築や補修等、私学教育の環境整備の事業が円滑に実施できるよう貸付金の継続貸付について、格別な高配をお願いする。
【道私学退職金社団が行っている教職員退職金資金給付事業に対する補助金】
▽補助定率=1000分の36(2年度1000分の29)
▽補助金額=2億9255万円(2年度2億3524万円)
道私学退職金社団は、北海道の私立学校の教職員等に対する退職金資金の給付事業を実施している。
当社団の会員からの負担金は、3年ごとの財政再計算に基づき逐次見直しており、現在の負担金率は平成20年4月に改正し、全国で最高水準の標準給与総額の1000分の171の額を徴収している。
これは、道から、標準給与総額の1000分の36の補助金額が交付されることを前提にしている。
当社団は、26年4月に公益社団法人に移行したが、退職金資金給付事業における要支給額に対する積立金の割合は、いまだ全国平均を下回っており、公益法人として、今後さらなる積立金の充実が求められている。
ついては、道内の私立学校の教職員等の安定的な人材確保のために令和3年度以降は、地方交付税で財源措置が講じられている私立中・高校教職員等の標準給与総額の1000分の36相当額の道補助金の復活をお願いする。
【道高校奨学会が行っている奨学金等の貸付】
▽奨学金貸付月額=1万円、1万5000円、2万円、2万5000円(公立上限)、3万円、3万5000円(私立上限)。上記金額から希望額を選択
▽償還期間=12年以内(据置1年)
▽事務局体制=事務職員8人
道高校奨学会は、向学心に富み、かつ経済的理由によって修学困難な高校生等に対して奨学金等の貸付を行うなど、有用な人材を育成する事業を実施している。
3年度においても、奨学金の貸付や償還など、事業の運営に当たり支障が生じることのないよう、格別な高配をお願いする。
◆道私立幼稚園協会 道私立幼稚園振興会
【私立幼稚園管理運営費補助金】
▼園児1人当たり単価の増額=20万251円(交付税+国庫補助+教育改革推進費)、令和2年度単価19万7654円
▼満3歳入園児に対する補助の別枠措置=元年度約650人
私立幼稚園管理運営費補助金は、幼稚園の経営安定と教育環境の維持向上などに大きく寄与し、私立幼稚園にとって極めて重要な役割を果たしている。
国においては、幼児教育の質の向上、環境整備の充実に向けた取組が進められており、2年度には地方交付税および国庫補助金共に前年度を上回る予算措置が行われた。
一方、道では私立幼稚園の新制度園への移行が進み、私学助成園は2年度51園(11・5%)となり、保護者からは一層の教育環境の整備・充実、教職員の資質向上などが望まれている。
国が進める「幼児教育の質の向上・環境整備の充実」などの趣旨を理解し、3年度においても、本年度同様、国庫補助および交付税措置などを考慮した補助単価となるよう要望する。また、前年度、別枠で措置した満3歳入園児の補助については、要望の趣旨を推測し、前年度同様、別枠の措置とするようお願いする。
【私立幼稚園管理運営費(特別支援教育対策分)補助金】
▼補助金単価の増額
▽2人以上在園にかかる補助単価の増額=78万4000円(国と同額)
▽1人在園にかかる補助単価の増額=39万2000円(国単価の2分の1)
▼申請書類の簡素化
現在、私立幼稚園における障がい児の日常保育は、健常児と同様に実施されており、対象児は年々増加し、小学校においても同様の傾向となっている。
また、特別な支援を要する場合、幼児期からの取組が望ましいとされており、国および道からは、特別支援を含め幼・保・小の密接な連携による教育の円滑な接続に配慮するよう求められている。
特別支援教育の実施に当たっては、担当教員の特別支援教育への理解および適切な配置が最も重要であり、障がい児に対し適切な教育が実施できるよう、国の措置単価と同額となるよう強く要望する。
特別支援教育の補助金申請に当たっては、保護者の心労および経済的負担などの軽減が図られるよう、認定手続きなどの簡素化について併せて要望する。
【私立幼稚園教職員退職手当資金給付事業補助金】
▼補助対象および補助率の拡充
▽学校法人が附帯事業として行っている保育所の職員
▽幼稚園・幼保連携型認定こども園の教職員
協会では、公私間格差の是正および優秀な教職員の確保に向けて、昭和45年度の設立と同時に私立幼稚園教職員退職手当資金給付制度を創設し、道から補助をいただきながら、教職員の安定的な雇用や安心して働くことのできる良好な環境づくりに努めている。
本制度の加入教職員は5450人(幼稚園5104人・保育所346人)を数え、次代を担う子どもたちの教育環境の充実強化のためには、質の高い教員による教育が最も重要な役割を果たすものと考えている。
平成27年度からスタートした子ども・子育て支援新制度による幼保連携型認定こども園の保育所部門で働く教職員に対しては、幼稚園と同一の補助率で財源措置された。
しかし、学校法人が幼稚園の附帯事業として設置する保育所で働く教職員に対しては、今もって財源措置がなく、前述の経緯ならびに設置主体が学校法人であることや法人内の人事異動も考慮され、すべての教職員に対して同一の財源措置がなされるよう要望する。
補助率については、地方交付税で措置されている1000分の36に拡充するよう要望する。
【人材確保のための補助金】
▼私学助成園に勤務する教員の処遇改善にかかる補助金の継続および拡充
▽処遇改善=月1万円×12月の継続措置
▽拡充=園負担のない処遇改善
▽私立幼稚園管理運営費補助金(一種免許保有促進費)の充実
▽優秀な人材の確保、教員の資質向上等を目的とした研修会参加費用に対する補助金の充実
質の高い幼児教育を維持するためには、優秀な教員の安定的な確保が大変重要だが、全道の私立幼稚園では、教員のなり手不足などによる人材確保が大きな課題となっている。
道においては、私学助成園の人材確保対応として新たな処遇改善のための補助制度が新設されたが、全道私立幼稚園等の教員間に処遇格差が生じることのない補助制度の継続措置とともに、新制度移行園と同様、私学助成園についても園負担を伴うことのない均衡ある処遇改善を要望する。
各園では教員の質の向上あるいは特色ある教育を目指し、一種免許保有者の採用が徐々に増えてきている状況にあるが、一種免許保有者を確保するためには教員の処遇改善、環境整備が必要となっている。しかしながら交付されている一種免許保有促進費は、教員1人当たり年間約6600円と低額な状況にあることから、補助単価の増額を要望する。
全道各園では優秀な人材の確保に当たり、教員の資質向上や離職防止を図るため、北私幼などが開催する研修会への積極的受講を進めている。しかしながら、現在配分されている研修経費に関する補助は、園の規模や教員数、参加状況にかかわらず1園当たり約6400円と低額な状況にあることから、補助単価の増額を要望する。
◆道私立専修学校各種学校連合会 道学校法人立専修学校協会
【私立専修学校等管理運営対策事業補助金の増額】
▼生徒1人当たりの単価の増額
▽専門・一般課程補助単価3万1800円(平成17年度同額)
▽技能連携等補助単価7万6900円(17年度同額)
▽高等課程補助単価4万8600円(17年度同額)
私立専修学校等管理運営対策事業費補助金は、専修学校各種学校の経営安定と教育環境の維持向上、教育費の保護者の負担の軽減を図る上で極めて重要な役割を果たしている。
道内の新規高校卒業者の専修学校への進学率は21・8%で、全国平均の16・4%を上回り、大学に次ぐ進学先となっている。
本年3月に専修学校を卒業して就職した者のうち、道内就職者の占める割合が81・3%で他の学校種よりも高く、本道の産業・経済の発展や文化の振興等に大きく貢献している。
令和2年度の私立専修学校等に対する道の管理運営対策事業補助金については、さらなる助成の充実が求められている中にあって、前年度対比0・9%の増加にとどまっている。
ついては、上記とおり助成措置を講じていただくよう、特段の配意をお願いする。
【職業実践専門課程認定校に対する新たな助成措置の創設等】
▼職業実践専門課程認定校に対する新たな助成措置
▽学生1人当たり補助単価7000円
道内の私立専修学校各種学校は、地域社会のニーズに応え多種多様な職業実践教育を行い、より多くの専門的な職業人の育成に努めている。
平成25年8月30日に公布施行された専修学校の専門課程における職業実践専門課程の認定に関する規程に基づいて、道内では69校182学科が認定を受け、産業界と連携を図り、地方創生を進める上で重要となる地域産業を担う高度な専門的職業人材の育成に努めている。
この職業実践専門課程制度は、専修学校の専門課程における職業教育の水準の向上を図ることを目的としたものであり、管理運営対策事業費が伸び悩む中で、国や道の助成措置が講じられていないことから、専修学校にとって企業等との連携にかかる経費など重い負担を伴っているのが実情。また、専修学校は、国を挙げて取り組んでいる地方再生に向けた地元学生定着促進プランや道総合教育大綱(施策番号16・産業人材の育成)に寄与すべく積極的に取り組んでいる。
ついては、道において管理運営対策事業補助金において、新たに職業実践専門課程に関する経費を配分基準に盛り込んでいただくよう配意をお願いする。
【職業実践専門課程教員研修事業補助金の継続】
文部科学省では、専門学校のうち、企業等と密接に連携して、最新の実務の知識、技術、技能を身に付けられる実践的な職業教育に取り組む学科を職業実践専門課程として認定することによって、専修学校専門課程における職業教育の水準の向上を図っている。
道内の専門課程を有する専修学校は、認定制度に呼応して、現在69校182学科が認定を受け、企業等と連携して地域を担う高度な専門的職業人材の育成に努めている。
職業実践専門課程の認定に当たっては、専門学校が企業と連携して、最新の実務や指導力を修得するための教員研修の実施が要件の一つとなっている。
このため、当連合会としては、道内の専修学校の研修の機会を継続的に確保し、地域産業を担う高度な職業人の育成を図ることができるよう、研修会を開いている。
ついては、私立専修学校の教員の研修機会を確保することによって、教員の指導力向上に寄与し、安定した生徒の確保等が図られるよう、引き続き研修事業の開催にかかる財政支援措置を講じていただけるよう配意をお願いする。
【私立専修学校各種学校教職員退職資金給付事業補助金の増額】
▼補助金の増額
▽補助定率=1000分の36(令和2年度・1000分の25・45)
▽補助額=4105万6000円(2年度・3002万3千円)
給付資金は、安全を第一とした運用を行っているが、長期にわたる低金利のもと、厳しい運営を強いられている。承知のとおり、私立専修学校等は、地域振興のための人材輩出にはなくてはならない教育機関であり、質の高い職業教育の提供に努めるためには、その環境を早急に整える必要がある。
現在の補助率は、教職員の標準給与総額の1000分の25・45だが、質の高い職業教育の確保に向けて1000分の36相当額の助成措置を講じていただくよう、特段の配意をお願いする。
【専修学校高等課程生徒に対する授業料軽減措置の拡充】
▼年収目安590万円以上世帯への支援の拡充
▼入学一時金への支援措置
国においては、平成22年度から世帯の所得に応じて授業料の軽減措置を開始し、道においては、支援金の上乗せを行い、専修学校の高等課程の生徒は、27年度から支援対象とされた。
今般、国においては、令和2年度から年収目安590万円未満世帯の生徒を対象に修学支援金の上限額が引上げられたが、年収目安590万円以上世帯の生徒は据え置かれたままであり、年収目安590万円を境に大きな格差生じていることから、制度の充実をお願いする。
入学一時金の公私格差が大きく保護者の負担が重いことから、格差縮小是正を図る支援措置を講じていただくようお願いする。
◆私立大協会道支部 私立短大協会道支部
【私立大学・私立短期大学の教職員に対する年金給付事業掛金の道費補助金復活】
道費による日本私立学校振興・共済事業団への助成については、道内の私立大学・私立短期大学に勤務する教職員には、年金給付事業の加入者分助成として加入者保険料の報酬月額の100分の0・8相当額の補助金交付を受けていた。
しかし、平成11年度になって、その補助金は2分の1に減額(10ヵ月分から5ヵ月分に減額)になり、さらに12年度からは補助なしが続いている。
同一学校法人に勤務する高校以下の教職員には補助(10ヵ月分)があり、所属する学種によって事業の掛金負担に不均衡が生じている。私立大学・私立短期大学の教職員に対する補助が、10年度並みに復活が図られるよう、特段の配慮をお願いする。
【私立大学・私立短期大学における外国人留学生支援の拡充】
外国人留学生の受け入れに関しては、国際化の中、留学生の交流は長期的にはさらに増加すると思われ、北海道の国際貢献の視点からも優秀な人材の受け入れ促進と育成に特化した協力支援活動を行っていただきたい。ついては、道としてつぎのような施策を講ぜられるよう要望する。
▼道外国人留学生国際交流支援事業助成金の対象枠の拡充
道外国人留学生国際交流支援事業助成金は、大学院生に支給されているが優秀かつ勤勉な留学生を支援する事業として、対象枠を学部学生・短期大学生まで拡充をしていただくようお願いする。
▼留学生宿舎の安定的確保
北海道で学ぶ留学生が安心して学べる充実した留学生生活を送るため、低廉で良質な宿舎を確保していただくようお願いする。
【奨学金を活用した大学生等の地方定着促進の取組】
地方大学等に進学する学生や特定分野の学位を取得しようとする学生に対して、無利子奨学金の地方創生枠への推薦を行うとともに、地元企業等に就業した者の奨学金返還を支援するための基金を設置することとしている。
北海道における人口減少は急激なペースで進んでおり、この人口減少をどう阻止するかが大きな問題となっている。
特に、新型コロナウイルス感染症で露見した都市部の大学・企業のぜい弱性は、これまで道外への進学を希望していた受験生の中に不安を抱く契機となったことは明らかであり、このことで道内にとどまり進学を考える層が相当数出現することが予想される。
この機を逃すことなく、奨学金を活用した大学生等の地方定着の促進を図るため、ぜひこの取組について、積極的に推進していただきたい。
(道・道教委 2020-11-11付)
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