【解説】ヤングケアラー　１２月調査へ

（解説 2020-11-11付）

　昨年３月に国が公表した『ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書』によると、ヤングケアラーを「年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負い、本来、大人が担うような家族の介護をすることで、自らの育ちや教育に影響を及ぼしている１８歳未満の子ども」と定義。国ではこれまで、全国規模の実態に関する調査は行っておらず、１２月にも全国の教育現場を対象とした初の実態調査を実施する予定。

　報告書では、自治体単位で教育関係を主とした調査や研究の調査レベルで中学生や高校生の実態調査が行われているものの、全国規模で行われていないこと、関係者の認識が不足していることから対応が遅れる傾向にあると指摘する。

　全国の要保護児童対策協議会（要対協）にアンケート調査を実施した結果（回収率４８・８％）、ヤングケアラーの概念を認識している要対協は２７・６％。概念を認識している要対協において子どもの生活実態を把握しているのは、政令指定都市・中核市で５５・６％、人口１０万人以上の自治体で３９・５％、人口１０万人未満で３０・６％となった。

　把握している内容は「兄弟のケア」が８３・８％と最多で、「食事の世話（買い物、食事をつくる、食べる介助、後片付けなど）」が６６・３％、「家の中の家事（掃除、洗濯、アイロンがけなど）」が５８・８％など。

　実態を把握していない理由は「家族内のことで問題が表に出にくい」が最も高く、「要保護児童の家族がヤングケアラーの問題を認識していない」「子ども自身が問題を認識していない」などと続く。

　ヤングケアラーの学校生活への影響は「学校にあまり行けていない」が３１・２％で、特に中学生の割合が高い傾向にある。性別は男性が３８・７％、女性が６１・０％となっている。

(解説 2020-11-11付)