【解説】ＯＥＣＤ　授業ビデオ研究報告書

（解説 2020-11-19付）

　国立教育政策研究所は、ＯＥＣＤが進める新しい国際調査であるグローバル・ティーチング・インサイト（ＧＴＩ、授業ビデオ研究）報告書の概要を公表した。日本の数学の授業における平均スコアは「授業運営」「社会的・情緒的支援」「教科指導」の３領域でいずれも首位。まとめ、規則性・手順・公式の適用を求める問いや分析の問いに力点を置く傾向があり、教員の問いかけの質が比較的高い授業が多いと分析している。

　ＧＴＩは、授業ビデオを分析し、指導実践や学習状況に関する客観的なデータを得ることが特徴。授業を受けた生徒にテストを実施し、指導と生徒の学習成果の関係を分析するもの。

　今回、数学の二次方程式を指導する教員と生徒（日本では中学３年生）を対象とし、一人の教員につき授業を２回撮影するとともに、指導案などの授業資料を収集。質問紙調査、テストなどを行った。

　参加国・地域は、日本（静岡市、熊谷市、戸田市等）、チリ（ビオビオ・首都州・バルパライソ）、コロンビア、イギリス（イングランド）、ドイツ、スペイン（マドリード）、メキシコ、中国（上海）の８ヵ国・地域。

　「授業運営」「社会的・情緒的支援（敬意、励ましと温かさ、粘り強さ）」のほか、対話、教科内容の質、生徒の認知的取組、生徒の理解に対する評価・対応を統合した「教科指導」の３領域で分析。実践の出現頻度や質の高さを１～４のスコアで示した。

　平均スコアは「授業運営」の領域で日本（３・８１）、中国（３・７５）、イギリス（３・７４）が上位３位。

　「社会的・情緒的支援」領域では日本（３・２６）、スペイン（３・２４）、イギリス（３・１４）、「教科指導」領域では、日本（２・２４）、イギリス（２・２３）、ドイツ（２・２０）となった。

(解説 2020-11-19付)