【PICK UP2020】No.2 支援求める家庭への取組 札幌市 コロナ禍の自主休校(札幌市 2020-12-15付)
◆本人や家族の意思
新型コロナウイルス感染症が流行する中、「大人数で授業を受けるのが怖い」「自分が感染して家族にうつしたらどうしよう」と不安感を抱く児童生徒は少なくない。札幌市立学校では、感染の不安から本人や家族の意思で登校を控える「自主休校」を選択する家庭もある。
道と札幌市は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月12日に緊急共同宣言を発表。札幌市は、市所管の小学校、中学校、高校などを対象に4月14日から5月31日まで一斉休業の措置を講じた。
札幌市教委は一斉休業を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の影響で登校できない子どもたちの学習保障に向けた施策として、さっぽろっ子学習サポートシステムを市ホームページに開設。学校が対象となる児童生徒の取組を評価するとともに、家庭での学習状況を把握し、指導要録上の出席扱いを可能とする仕組みを構築した。
ある民間企業の調査によると、コロナ禍において自分の子どもを登校させることについて、6割以上の保護者が「抵抗はあるが、登校させている」と回答。「抵抗があるので、登校させていない」と回答した保護者も一定数確認されている。
◆自主休校の実態
札幌市内のある小学校の女子児童は、6月の学校再開以降、大人数で勉強することで感染するのではないかという不安から自主休校を選択。現在も登校せず、自宅での学習を続けている。
毎日、さっぽろっ子学習サポートシステムと学校独自で作成している課題を併用しながら学習。週に一度、全校児童が下校したのち、保護者と学校に出向き、1週間分の課題を提出しているほか、自宅学習での取組を報告し、日ごろ不安に思っていることなどを話している。
担任の教諭は週に一度の機会を大切にし、心のケアにも尽力。自宅学習での不安なことなど、児童と保護者の話に耳を傾け、様子を見守り続けている。
◆“経験”の不足懸念
市内のある中学校では、1年男子生徒、2年男子生徒がそれぞれ自主休校を選択。いずれも基礎疾患のある家族と暮らしており、「子どもが感染し、家族に広がったら大変」と感染に対する不安感を強く抱いている。
両校の関係者は「通常どおり登校できないことで、同学年の生徒と過ごす時間が圧倒的に少なくなってしまう。学校行事にも参加できず、社会的な学び、経験が不足してしまう」と自主休校の影響を懸念。
自主休校について、両校は「家庭の協力がないと成り立たない」と口をそろえ、「保護者の協力は不可欠であり、共働きの家庭において子どもだけで自学させるのは難しい」と、自主休校が長引くことを危惧する。
また、中学校は小学校と違って学期末に定期テストがある。これまでの2度のテストは、換気した別室で受けさせたというが、当該2年の生徒は「来年になったら高校受験を控えているので、このまま自宅学習だけで、ちゃんと受験に臨めるのだろうか」と不安の声を漏らしているという。
◆システム充実を
さっぽろっ子学習サポートシステムは、年度当初に感染への不安などから登校したくてもできない児童生徒に向けて開設したもので、臨時休業期間には、すべての児童生徒の学習保障の手立てとして活用された。
現在は、自主休校の児童生徒のほか、感染症にかかわる学級閉鎖や出席停止によって登校できない児童生徒の学習機会保障の手立てとしても活用されている。
実際に一斉休校中にシステムを活用した学校から「学校で宿題や課題を作成するには大きな負担となるので、年度当初、早々にこのシステムを構築してもらい、大変助かった」との声も多く寄せられ、システムの需要は高まりつつある。ある教委関係者も「終息の兆しが一向にみえないコロナ禍で、自主休校を講じる家庭にとってこのようなシステムがあることは大きな救いとなっている」と話す。
市教委は「引き続き、様々な形でコロナ不安で登校できない子どもたちの学びを保障していく」としており、システムのさらなる充実・発展に努めていく方針だ。
(札幌市 2020-12-15付)
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