国研指定校の札幌市二条小 授業公開 思考力・表現力など育成 来年2月に研究協議会
(札幌市 2020-12-17付)

国研二条小学校体育領域写真
実際のゲームを通して考えた

 国立教育政策研究所指定校事業の指定を受けた札幌市立二条小学校(遠藤利恵校長)は4日、公開授業および検証改善協力者会議を開いた。運動領域と保健領域で思考力、判断力、表現力などを育成する授業を展開。来年2月にオンラインで実施予定の研究協議会に向け、現在、研究内容の振り返りを実施している。

 前年度から2ヵ年計画で研究を進める同校は、教科等横断的な視点による指導内容の関連付けを図ることで年間指導計画を改善。

 児童の実態調査を独自で実施しているほか、外部有識者などを招き、実践を通した授業の在り方について検証する機会を設けるなど、児童の意識などの変容を把握し、実態に基づいた授業改善に取り組んでいる。

 本年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、授業内容をまとめたDVDを作成。関係者に配布したほか、参観人数を制限するなど感染症対策を徹底した上で、授業を公開した。

 研究の視点は、①児童が自ら思考を深め、目標を達成する姿を明らかにした教材化と単元構成②児童自ら課題を見付け、学び続けるための指導方法や評価方法の工夫―の2点を設定。

◆点数獲得への工夫思考し友達と交流 運動領域

 運動領域の研究授業は、浅野純子教諭が2年2組(児童数33人)体育ボールゲーム「お宝運びシュートゲーム」を指導。

 授業内で実施したゲームは、攻め3人、守り1人で、守りからボールを奪われないようつないでいくもの。攻めは守りを交わし、ボールを味方同士で最後までつないだあと、壁にボールを当てると点数として換算される。

 授業は6時間扱いの4時間目。本時の目標の重点は「ボールを通すための工夫について考えたことを友達に伝えることができるようにする」とした。

 児童はこれまで、広いコートと狭いコートでゲームを実施。浅野教諭は、狭いコートでは獲得点数が減っていることを児童に示した。

 児童は、「狭いコートの方が守りは簡単だった」「広いコートの方が点数は取りやすかった」などと発言。

 続いて、前時のゲームの様子を動画で提示。児童は「ボールを持っている時間が長すぎる」などと回答。狭いコートで点数を獲得するための動き方を考えさせた。

 実際にゲームを実施したあと、全体交流。

 浅野教諭は点数を獲得するための工夫点について、児童はコート図を示したプリントにボールを転がす方法を記入させた。

 児童は、「守り役の2人の距離を広げる」「コートが狭くなったことで、攻め役も守り役も周りをよく見ることが必要」と発表した。

 続いて、工夫点に気を付けながら2回目のゲームに取り組ませた。浅野教諭は点数を獲得した児童に対して、「うまくいったね」「よい調子」などと声かけ。得点につながらなかったチームには「離れてみよう」と声をかけるなど、守り役の距離間隔を広げることに気付かせた。

◆不安や悩みの対処経験等から思考 保健領域

保健領域の研究授業は本間大介教諭が5年2組(児童数27人)保健心の健康「Grow Up大作戦」を指導。

 本時は4時間扱いの3時間目。目標の重点は「不安や悩みへの対処について、自分の経験と学習したことを関連付けて考えたり選んだりした方法が適切である理由を書いたり、伝えたりする」とした。

 児童は心と体のつながりの学習について、不安や悩みがあるときは身体や心に影響を与えることを既習。本時では、「おなかが痛い」「やる気が出ない」「イライラする」など、心と体に影響が出ているダイスケくんについて、不安や悩みの解決策を考えさせた。

 本間教諭は、授業の導入として、同校6年生を対象に実施した不安や悩みに関するアンケート結果を提示。1学年上の6年生に対するアンケートを示すことで、これからの不安にどのように対処したらよいかという気持ちを引き出させるよう工夫した。

 ダイスケくんの身体と心に表れている3つの不安の原因について、6年生のアンケート結果にも含まれていることを説明。勉強や進学について悩みがあると設定し、対処法と理由について考えさせた。

 小交流後の全体交流で、児童は、「気分転換する」「友達と勉強する」などと発表。自分に合った悩みの対処法を考えさせた。

 本間教諭は新たな悩みとして「友達について」と設定。再度、対処と理由について児童に小交流させた。

 小交流で児童は、「経験がない」「難しい」などと交流。本間教諭は「自分のことに置き換えてみよう」などと声かけした。

 全体交流で児童は、「素直に謝る」「誰かに相談する」などと発表。

 本間教諭は「人によって対処法は異なる」とした上で、「自分の好きな方法であればどんな対処法でもよいのか」と児童にただした。

 児童は「傷つけたりするのはいけない」などと発表。不安や悩みへの適切な対応方法を考えさせた。

◆子とのかかわりを評価 改善協力者会議で国研調査官

 授業後の検証改善協力者会議では、国立教育政策研究所の塩見英樹教育課程調査官と横嶋剛教育課程調査官が助言。

 浅野教諭の授業について、塩見調査官は「話し合いばかりの授業ではなく、子どもたちが楽しさを味わえるゲームを大事にした授業展開がよかった」とし、うまくパスが通った際も「やったね」などと声かけするなどのかかわりが良かったと評価。また、「ボール運動であれば子どもに得点をつけさせるのも効果的」などと助言した。

 本間教諭の授業について、横嶋調査官は「5年のこの時期に心の不安や悩みに気付くことに学習の意味がある」とし、「導入時に6年生の悩みに関するアンケート調査などのデータを提示することで、子どもたちは引き付けられていた」と評価した。

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国研研究指定校二条小学校保健領域
本間教諭は自分に置き換えるよう促した

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