変形労働活用は各校判断 道小第4回理事研 神谷会長あいさつ
(関係団体 2020-12-17付)

道小理事研・あいさつ
神谷敦会長 

 14日、ホテルライフォート札幌で開かれた道小学校長会の第4回理事研修会(16日付1面既報)では、神谷敦会長が、11月の全国連合小学校長会第7回常任理事会の報告を踏まえ、財務省と文部科学省における少人数学級の実施に関する議論などの教育動向について説明した。1年単位の変形労働時間制に関しては、各学校での判断となるとし、今後の動きを注視する必要性を示した。概要はつぎのとおり。

▼中央教育審議会「令和の日本型教育の構築を目指して」(中間まとめ)への意見

 全国連合小学校長会の中間まとめに対する意見書には、項目「学校教育の基本に立ち返ること」が追加された。

 主な主張点は、「学校は単なる知識伝達の場ではなく、思考力・判断力・表現力や学びに向かう力を育む場であること。生きる力となる非認知能力は、人とのかかわりの中でしか育むことはできないこと。学習の個別化や個性化は協働的な学びとの往還によって初めて意味をなすものであること。こうしたことから、学校教育の基本である集団で学ぶ意味や意義について言及されることを強く希望する」という点である。

 このほかに、「これまでの教育改革の総括の必要性」「日本型学校教育の課題解決を先決すべき」なども述べられている。

 同じ会議の全日本中学校長会からの意見でも、同様に、ICTありきではなく、基本は対面・集団での学びが欠かせないものであるという見解が示されている。

▼財政審における少人数指導の否定

 財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会資料についての文部科学省の見解(教職員定数関係)では、財務省の主張と文科省の主張の対立を読み取ることができる。

 財務省は、「教員は増えていることや少人数指導と学力の相関関係のエビデンスがない」と主張している。

 これに対して、文科省は「学級規模が学力に与える影響については、社会的経済的背景が低い子どもが多い学校や非認知能力の観点からは効果があるなど様々な研究結果がある」「現場からは、個別最適な学びの実現や、感染症対策等の観点からも少人数学級を求める声があり、教育再生実行会議においても首長や教育長、関係団体等から効果や必要性について多くの意見が発表されている」などの根拠を述べて反論している。

▼課題と解決策の共有~今、校長として何をすべきか

▽子どもたちの育ちの確認

 コロナを理由に止めてきたことやできなかったことによって、子どもたちの育ちに欠けているものはないかを校長としてしっかりと把握することが必要である。

 コロナ禍の中で学校長判断が求められることが多くなっており、我々校長の学校経営が独断的になってはいないか。

▽来年度の教育課程の構想

 前例踏襲や今までの当たり前を見直し、行事などを改革するよいチャンスととらえることが必要。

 子どもたちの非認知能力や人間関係能力育成に向けて特別活動を重視してほしい。

 主体的・対話的で深い学びを視点とする授業改善を目指すことが必要である。

▽これからの日本の教育の在り方

 今までのようにAかBかという二者択一の考えから、AとBそれぞれのよいところを生かすという考え方を大切にし、二項対立による陥穽、落とし穴に陥ることがないような取組を進める必要がある。

 具体的には、個別最適な学びと協働的な学びの往還が生まれる学習、履修主義と習得主義との組み合わせ、デジタルとアナログの併用、多様性と包摂性を意識した考え方などが今後の令和の日本型の教育の実現には必要となってくる。

 働き方改革に関係する1年単位の変形労働時間制の制度化に関しては、この制度が成立するための条件である、勤務時間の上限月45時間が守られていない現状は全国的にみられているとのことであり、全連小の喜名朝博会長は次年度すぐの実施は難しいとの見方をしていた。

 しかし、北海道では11日の道議会で改正条例が可決されたことを受け、来年度から札幌市以外では導入が可能になった。

 実際の活用は各学校での判断となるが、今後の動きに関しては道中などとも連携して注視していかなくてはならない。

▽人材不足への対応

 教員採用試験の倍率低下や教員の人材不足は日本全国の問題であり、この問題の解決に向けて、全連小は教員免許更新制に関して、廃止や研修の振り替えも含め抜本的見直しを訴えていく考え方を示している。

 先日行われた中教審教員養成部会「教員免許更新制」に関するヒアリングにおいて、全連小の対策部長がこの制度の問題点を全連小のアンケート結果をもとに説明している。

 学校教育における著作権使用料にかかわっては、来年度、動きがありそうなので分かり次第お伝えする。

▼デジタル教科書の今後の在り方に関する検討会議

 デジタル教科書の積極的使用を推進し、授業時数の2分の1未満という基準を撤廃しようという動きに対して、全連小では、子どもの健康面への影響、低学年での鉛筆やノート指導の重要性を踏まえ、デジタル教科書さえ活用すれば良い授業といった間違った認識が生まれないよう、慎重に論議してもらいたいとの立場である。

(関係団体 2020-12-17付)

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