1年単位変形労働時間制 長時間労働解消こそ先行を 道高教組と道教組が要請書(関係団体 2020-12-28付)
道高教組(尾張聡中央執行委員長)と道教組(川村安浩執行委員長)は24日、道教委に対し、1年単位の変形労働時間制に関する要請書を提出した。制度導入の前提となる教員の長時間労働が解消されていないこと、学校現場が新型コロナウイルス感染症対策に忙殺されていることから、長時間労働解消のための施策に集中すること、環境が整うまでは性急に制度導入の手続きを進めないことを要請した。概要はつぎのとおり。
12月11日の道議会第4回定例会本会議において、北海道の公立学校教員に1年単位の変形労働時間制導入を可能とする給特条例改正案が可決された。1日8時間労働という大原則を壊す労働法制の大改悪となる条例改正案を、当事者である現場教職員の意向を聞くことなく成立させたことに対し、私たちは断固抗議する。
民間では必須とされる労使協定を条例に置き換えるならば、少なくとも、当事者である教職員の意向を丁寧に確認することが重要であり、文科省も、条例制定の前に「まずは、各学校で検討」するという手順を示している。
にもかかわらず、道教委が「必ずしも従う必要はない」として、教職員の意向を確認せずに条例提案をしたことは、国会審議の到達点を無視したことにほかならず、民主主義を否定する行為である。
制度の活用には在校等時間の上限順守などの厳しい制約が課されているが、道教委が6月に公表した教育職員の時間外勤務等にかかる実態調査によると、上限を超えている割合は教職員全体で55・3%にものぼる。
こうした状況に加えて、ことしは新型コロナウイルス感染症への様々な対応が加わり、現場の教職員は深刻な長時間労働のもとで必死の対応を続けている。
深刻な長時間労働が続く学校現場は、そもそも制度導入の前提がない。
道教委は、長時間労働を解消し、教職員の命を守る抜本的改善の対応に集中するべきであり、制度導入の手続きを性急に進めることは許せない。
制度の導入への手続きに当たっては、昨年の国会審議において萩生田文部科学大臣が「職員団体との交渉を踏まえつつ検討」と答弁しており、加えて、「地方公務員法においては…法令等に抵触しない限りにおいて書面による協定を結ぶことができる旨が規程されており」とも言及している。
今後は、人事委員会規則や服務監督教育委員会規則等の諸手続について、それぞれ、書面による協定も含めて、私たちと誠実に話し合うべきである。
以上の観点から、つぎの点を要請する。
▼深刻な長時間労働が続く学校現場には、そもそも制度導入の前提がないことから、まずは、長時間労働を解消するための施策に集中すること。また、導入の前提が整うまでは、制度導入の手続きは進めないこと
▼制度について、現場教職員に十分な説明が行われておらず、混乱や戸惑いが生じている。早急に制度について正確かつ丁寧な説明を行うこと
▼感染症対策等に必死の対応を続けている学校現場は、制度導入について丁寧な議論、検討を行える状況ではない。丁寧な議論、検討が行える環境が整うまでは、性急に手続きを進めないこと
▼制度の導入への手続きはすべて交渉事項であり、人事委員会規則や服務監督教育委員会規則等について誠実に話し合うこと。また、規則等について、本年度中に整備するのであれば、組合に対して速やかに提示を行うこと
(関係団体 2020-12-28付)
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