給特条例改正に抗議声明 長時間労働の解消を 道高教組、道教組、道労連
(関係団体 2020-12-15付)

 道高教組(尾張聡中央執行委員長)、道教組(川村安浩執行委員長)、道労連(三上友衛議長)は11日、1年単位の変形労働時間制導入を可能とする給特条例改正案が4定道議会で可決されたことに対し、抗議声明を公表した。「過酷な長時間労働を固定化し、助長することになりかねない」と批判。「教職員の長時間過密労働を解消するための抜本的な対策を講じるべき」と訴えている。声明の概要はつぎのとおり。

 道議会第4回定例会本会議において、道内の公立学校教員を、1年単位の変形労働時間制によって1日8時間を超えて働かせることを可能とする給特条例改正案が可決された。

 1日8時間労働という大原則を壊す労働法制の大改悪となる条例改正案を、現場教職員の意向を聞くことなく、わずかな審議時間で、全国に先駆けて性急に採決したことに対し、断固抗議する。

▼道教委は、深刻な長時間労働を解消するための抜本的改善の対応に集中するべきである

 ただでさえ深刻な長時間労働が社会問題化している学校現場に、新型コロナウイルス感染症への様々な対応が加わり、現場の教職員は深刻な長時間労働のもとで必死の対応を続けている。

 対応に当たる教職員は、長時間労働による身体的な負担が大きいだけでなく、この過酷な業務がいつまで続くのか先がみえないことによる精神的な負担が非常に深刻である。

 そうした状況下での1年単位の変形労働時間制導入は、今の過酷な長時間労働を固定化し助長することになりかねず、断じて認めることはできない。

 道教委は、深刻な長時間労働を解消し、教職員の命を守る抜本的改善の対応に集中するべきである。

▼不正確な説明をもとに、審議不十分なままの採決は許されない

 道教委は、給特条例改正案について、「市町村教委と道立校長を対象にしたアンケートで約8割が活用を希望したことなどを踏まえた」(11月24日道議会文教委員会)、「意向調査は、現場の教職員の実情を踏まえて答えている」(12月8日道議会予算特別委員会)という趣旨の説明を繰り返した。

 道教委が9月に道立学校長と市町村教委教育長に対して行った意向調査は、1年単位の変形労働時間制の活用を「検討」するかどうかの調査であり、「活用を希望した」との道教委の説明は不適切である。

 また、「現場の教職員の実情を踏まえた」と説明した意向調査については、私たちが独自に行ったアンケート結果からも、現場教職員の意向が確認されていないことは明らかである。

 このような不正確で誤解を生じさせる説明をもとに、審議不十分なまま採決を行ったことは、到底許されるものではない。

▼当事者である教職員を無視した手続きによる条例制定は、民主主義を否定する行為である

 1年単位の変形労働時間制導入は、8時間労働の原則を壊す重大な不利益変更である。

 そのため、労働基準法は労使協定の締結を厳格に求めている。

 これを教員に適用させるため、勤務条件条例主義をもち出して条例の定めによって適用できるようにしたこと自体が、労働法制の理念に背き、憲法の定める労働基本権を逸脱する重大な問題である。

 労使協定を条例に置き換えるならば、条例制定に当たっては、少なくとも当事者である教職員の意向を丁寧に確認することが重要である。

 文部科学省も、条例制定の前に「まずは、各学校で検討」するという手順を示している。

 にもかかわらず、道教委が「必ずしも従う必要はない」として、教職員の意向を確認せずに条例提案をしたことは、国会審議の到達点を無視したことにほかならず、民主主義を否定する行為である。

 また、勤務条件条例主義を理由に「住民代表たる地方議会での条例制定で導入」することとしながら、議会へは不正確な説明を繰り返す道教委の姿勢はあまりにも不誠実である。

▼性急な条例制定に厳しく抗議し、各学校への導入を許さない取組を広げる決意である

 道教委は、「働き方改革を進めるための一つの選択肢」と、まるで教職員のために制度導入をするかのように説明しているが、この制度が日々の教員の業務や勤務時間を縮減するものではないことは道教委も認めている。

 介護や育児がある教職員には配慮するとしているが、その配慮が不公平感を生むような制度では魅力ある職場にはならない。

 そもそも、時間外勤務を強いられていることそのものが違法であり、本来ならば、道教委は、緊急に教職員の長時間過密労働を解消するための抜本的な対策を講じるべきである。

 ますます深刻化する教職員の超過勤務の実態を放置したまま、現場教職員の声を聞くこともなく、性急に給特条例改正案の採決を行ったことに厳しく抗議するとともに、職場・地域における対話・学習を重ね、各学校への導入を許さない取組を大きく広げていく決意である。

(関係団体 2020-12-15付)

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