教育大附属札幌小中ふじのめ学級 研究紀要③ 擬音語で表現 文字で残す 小学校音楽 イメージに合う音色を
(札幌市 2020-12-25付)

◆小学校実践例3

音楽科(MT八島奈央教諭、T1山崎貴博教諭)ぴったりの音をつくろう!

【題材について】

 音楽においては、自分が好きな音楽を進んで聞く姿がみられる。

 しかし、歌うことや表現することに苦手意識をもっている児童が多く、音楽に対する関心が低く、受け身である。

 そこで、自分なりの思いをもって音にかかわったり、表現しようとしたりする気持ちを高めていく必要があると考えた。本題材では、様々な楽器の音色にふれ、その違いや特徴を生かしながら表現する音づくりの活動に取り組む。

 具体的には様々な楽器の音色を聴いたり、自分で鳴らしてみたりする活動に取り組み、楽器による音色の違いに気付くことができるようにする。

 さらに、楽器の音色の違いや特徴を生かしながら、動画の一場面に効果音を付ける活動を展開していく。自分だったらどんな音を付けたいか、どんな音だとイメージと合うかなどを考えながら、音を選択し、表現することができるようになると考える。

 楽器は、金属(トライアングルなど)・木(カスタネットなど)・皮(タンバリンなど)でできている打楽器を使用し、特徴や違いがとらえやすいものを扱う。

 表現したいと思える活動の中で、自分なりの思いで音をつくっていく姿を引き出していきたい。

【題材の目標】

▼それぞれの打楽器の音色を聴いて、特徴をとらえることができる

▼楽器による音色の違いを感じながら、自分なりの思いをもって楽器を選択し、表現することができる

【指導計画3時間扱い(本時2/3)】

▼主な学習活動

▽いろいろな楽器の音を知ろう

 自分が好きな打楽器を選び、自由に打つ。

 音だけを聞いて楽器を当てる楽器クイズに取り組む。

 簡単な動画に合わせて、好きな打楽器を打つ。

▽ぴったりの音をつくろう

 楽器の音色を確認する。

 楽器の特徴を生かしながら、動画の一場面に、効果音を付ける。

 考えた効果音を打ったり、友達の音を聞いたりして、感じたことを交流する。

【本時の目標】

▼それぞれの打楽器の音色の特徴を自分なりにとらえることができる

▼「さるかに合戦」の場面に合う効果音を考え、イメージに合いそうな打楽器を選択し、表現することができる

【本時の展開】

▼学習内容

▽本時の流れの確認

▽「ぴったりの音をつくろう」の活動内容について知る

 楽器を選んで、効果音をつくることを確認する。

 「さるかに合戦」のストーリーを確認し、本時で扱う場面について知る。

▽楽器の選択肢を知る

 本時で使用する楽器を知る(トライアングル、ハンドベル、タンバリン、カスタネット、キャンディドラム、すず、コンガ、クラベス、木琴)。

▽「ぴったりの音」を選ぶ

①短い動画を見て、場面について確認する

②どんな音が合いそうかを考える

③楽器を選び、発表する

④楽器を選択した理由や音がイメージと合っていたかを発表する

 ①~④の流れで、考えて、発表する。

▼教師のかかわり

▽本時の流れを提示する

▽効果音をつくる場面を確認する

▽楽器を提示する

▽児童が順番に楽器を選択し、発表することを伝える

▼支援

▽活動の見通しがもてる支援

 本時で取り上げる3つの場面をイラストで提示する。

 3つの枠を用意し、1つの場面が終わるごとに、カードで埋めていくことで、活動のどの段階をしているか、また、活動の終わりがみえるようにする。

▽場面のイメージをもつための支援

 自分なりの場面のイメージを、擬音語などを使って表現し、どんな音をつくっていくのかを明確にする。

 イメージした擬音語を場面のイラストカードに文字で書いて残す。

【考察と今後に向けて】

▼授業の成果と課題

 本授業では、効果音をつくるという活動を通して、ストーリーの中に入り込むことを楽しみながら、音をつくり、表現する姿がみられた。

 楽器を選択する際に、場面のイメージと合っているかを、実際に楽器を鳴らしながら確かめる姿がみられ、自分のイメージに合う音色を見付け、表現しようとする姿を引き出すことができた。

 しかし、場面のイメージを、擬音語を使って表現したときや、選択した楽器で発表したときには、児童が自分の考えたことを伝えるだけで終わってしまい、他の児童の表現に目を向けている児童は少なかった。

 自分と友達の表現の違いを楽しんだり、学級全体で共有したりできるような工夫や支援をしていくことで、さらに、表現の幅を広げていくことができると考える。

▼研究の視点から振り返って

 「さるかに合戦」の効果音をつくる場面を短い動画で提示したが、実態把握の段階で、場面のイメージをもつことが難しい児童がいること、さらに、そのイメージと楽器の音色のイメージを合わせていくことが難しい児童がいることが予想された。

 そこで、一度、擬音語で表現し文字で残すことで、楽器の音色とつなげていけるよう支援をした。

 擬音語で表現したことで、イメージを明確にできたこと、さらに楽器を選択する際、「チクッという音に似ているから」などと、根拠をもって表現する姿につなげることができたと考える。

(札幌市 2020-12-25付)

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