課題解決型授業実践校の旭川市朝日小 ICTで思考活性化 端末活用した理科授業公開(学校 2021-01-15付)
解説を交えながら授業動画を視聴した
【旭川発】道教委「課題解決型授業(主体的・対話的で深い学び)に関する調査研究プロジェクト」実践推進校などに指定されている旭川市立朝日小学校(橋本彰校長)は昨年12月下旬、上川合同庁舎で「朝日の教育」実践発表会を開いた。本年度から旭川市教委の指定で取り組んできたGIGAスクール構想の実現に向けた研究などを踏まえ、タブレット端末を活用した理科の授業を動画で公開。指導のポイントなどをその場で解説しながら、これまでの授業改善の成果を発信した。
朝日小は、平成27年度から道教委「課題解決型授業(主体的・対話的で深い学び)に関する調査研究プロジェクト」実践推進校として、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた実践研究を推進。また、本年度からは旭川市教育実践推進事業実践推進校として、「GIGAスクール構想の実現に向けた1人1台端末を活用した指導方法に関する実践研究」を進めている。
研究主題「子どもが主人公の学習を創造する~主体的・対話的で深い学びを実現する授業改善を通して」のもと、本年度は、①評価と指導の一体化を目指す評価の工夫②主体性を生む課題解決型学習の工夫③学びを深める授業力の向上―の3つを研究内容に設定。
これまでの研究の普及・啓発や指導力の向上をねらい、実践推進校の同校と旭川市立中央中学校のほか、連携協力校の旭川市立知新小学校、帯広市立柏小学校の4校で組織される調査研究チーム「ALPS―w(アクティブ・ラーニング・プロジェクト・スタッフ―ワイド)」を中心に取り組んできた。
①では、単元を大きなまとまりとしてとらえ、3つの観点をバランスよく評価する評価計画を作成。単元の指導計画と組み合わせ、「いつ、何を、どのように」評価するか具体的に設定した。
②では、子どもが活用できる思考スキル「思考のミカタ」を開発。必要なスキルを子どもたちが自ら選択して使うことで、思考を活性化して問題解決していく姿を目指した。
③では、特に指導の効果を高めるICTの活用を工夫。発達段階に応じて身に付けたいスキルを学習事項等とともに整理したICTスキル表や、学校全体のICT活用構想「Asahi GIGA」などを作成した。ICTの力を十分に発揮できる教室環境の基本モデルや、タブレットの活用パターンも提示。全学級の授業で、教科の特性に合わせたICT活用の幅を広げている。
この日、同校教職員を含めて約50人が参加。感染拡大防止の観点から、事前に録画した授業動画を視聴した上で研究協議する形態をとった。
実践発表では、研修部長の紺野愛子教諭が授業の見どころなどを説明したあと、鎌田喜美子教諭による4年2組(児童数23人)の理科「ものの温度と体積」の授業動画を視聴した。
動画は、本時を中心として単元8時間分をダイジェストで編集。紺野教諭は、単元を大きなまとまりとしてとらえた指導計画や評価方法等の説明を交えながら、授業でポイントとなる部分をその都度解説した。
3時間目に当たる本時は、空気の温度による体積の変化について調べるため、前時にグループごとに考えた方法で実験。全体交流では、各班の児童がタブレット端末で撮影した実験動画を大型テレビで共有し、実験結果や考察の交流を踏まえて結論をまとめさせた。
終末では、単元のパフォーマンスシートを1人1台の端末に配信し、それぞれが本時の振り返りを入力。鎌田教諭は、端末を通して提出された児童全員のシートを見取り、「二重丸にするにはどうしたらよいか」など、その場でフィードバックした。
研究協議では、「本時の評価の見取り方、内容、場面は適切だったか」「本時の“思考のミカタ”の意図的な活用やICTの活用によって、児童の思考が活性化し、主体的に学習に取り組むことができたか」の2つのテーマを柱に、4グループで交流。
全体共有のあと、上川教育局の望月俊綱義務教育指導班主査、旭川市教委教育指導課の秋元秀夫課長補佐が助言した。
秋元課長補佐は、児童による端末での実験記録や発表、教師による児童の振り返りの即時的なレスポンスなどを取り上げ、これまでの実践を生かしながら目的に応じた場面でICTを活用していた点などを評価した。
望月義務教育指導班主査は、本時のみならず単元全体のダイジェスト動画を視聴した今回の研修形態が研究の成果を紹介する上で有効であったと評価。コロナ禍にあっても、工夫してより効果的な発信につなげた同校の学校力に敬意を表した。
このあと、元国立教育政策研究所学力調査官・教育課程調査官で、道教育大旭川校の山中謙司准教授が「指導と評価の一体化を目指した評価の在り方」と題して講演した。
(学校 2021-01-15付)
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