2年度札幌市教育実践功績表彰 受賞者・校(札幌市 2021-02-01付)
札幌市教委は1月27日、ホテルライフォート札幌で令和2年度市教育実践功績表彰式を執り行った。学校教育の振興に貢献した11個人と2校が選ばれた。受賞者および受賞校の功績はつぎのとおり。=敬称略=
◆個人表彰
▼附田裕哉(宮の森小校長)
校長として、子どもの実態や家庭、地域のニーズを的確にとらえながら、札幌市の学校教育の重点や今日的課題等を踏まえた学校経営を進めており、教職員や保護者、地域から高い信頼を得ている。加えて、小学校長会において、新型コロナウイルス感染症にかかる臨時休業等に伴う教育活動などを、各小学校が安心して推進できるよう情報を集約、整理する役割を担い、対応の在り方等の適切な判断に資するよう努めた。
社会科教育の研究においても中心的な役割を担っており、これまで多くの小学校において授業協力や助言をしてきた。
札幌市教育研究推進事業では、区の研究部長等を歴任し、平成30年度、令和元年度には研究部会長として分かる・できる・楽しい社会科授業の普及に尽力するなど、札幌市の社会科教育の充実に貢献してきた。
指導主事として、札幌市民族教育研修会の内容の工夫改善、『アイヌ民族の歴史・文化等に関する指導資料第5集』の作成等をアイヌ関係団体の協力を得ながら進めるなど、札幌市の民族教育の推進に大きく貢献してきた。
▼秀島起也(中の島中校長)
歴任した中学校において、保健体育や道徳に関する実践研究を熱心に行い、教諭、指導主事、校長の立場で『札幌市中学校教育課程編成の手引』の作成に携わるなど、札幌市の保健体育および道徳教育の推進に貢献してきた。
札幌らしいオリンピック・パラリンピック教育の推進にかかる『札幌市オリンピック・パラリンピック教育実践事例集』の作成において、中心的な役割を担い、札幌市の小学校、中学校、高校における教育実践の普及に尽力してきた。
部活動指導では、赴任校で男女バスケットボール部を指導し、全道大会や全国大会への出場を果たすとともに、選抜チームを率いて、全国大会優勝の偉業を成し遂げている。
新型コロナウイルス感染症による臨時休業中には、生徒の心と体のケアを目的とした教職員によるダンス動画や、生徒会による医療従事者等への応援メッセージを作成し、学校ホームページや札幌市ホームページで公開するなど、コロナ禍においても学びを止めないための実践に臨むリーダーシップが全市のよい手本となった。
▼嘉多山葉子(石山緑小主幹教諭)
大倉山小学校勤務時には研究部に所属し、平成26~29年度の間、文部科学省による教育課程特例校(英語活動科)としての取組の推進役として従事し、カリキュラム編成および授業案の作成に貢献しており、他の教諭のよき手本となっている。
27・28年度に札幌市小学校外国語活動推進中核教員養成研修の講師として講義するなど、札幌市の小学校外国語活動および外国語教育の推進において中心的役割を果たしている。
30年度と令和元年度には、文科省の推薦によって、自治体国際化協会の主催するJETプログラム新規来日ALT研修東京における研修講師として招へいされ、ALT(外国語指導助手)とのモデル授業を披露するなど指導役としても活躍しており、人材育成に尽力している。
29年度の第14回全国小学校英語教育実践研究大会札幌大会授業者、元年度の第19回小学校英語教育学会(JES)北海道大会シンポジストとして参加しており、多くの参加者から好評を得ている。
▼大森洋子(かっこう幼教諭)
札幌市に採用されて以来、主体的に遊び・学ぶ子どもを育てるために、自園での教育実践に真摯に取り組むとともに、道国公立幼稚園・こども園教育研究会等の研究団体に所属し、熱心に実践研究を行い、自身の保育の研鑚に努めている姿は、幼児教育にかかわる多くの教諭の手本になっている。
幼児教育支援員として、区コーディネーターである市立幼稚園長をサポートし、区幼保小連携推進協議会の開催など、区の幼児教育施設と小学校の連携の推進に尽力しており、本市の幼児教育に大きく貢献している。
幼児教育相談における保護者への温かな支援を行い、私立幼稚園等の訪問支援においては、特別な教育的支援を必要とする幼児とのかかわり方についての適切な助言を行うなど、困り事のある幼児、保護者や教員への支援を充実させてきた。
幼稚園教諭としての優れた実践力と、特別な教育的支援を必要とする幼児に対する的確な子ども理解ときめ細かな支援によって、市立幼稚園・市立認定こども園の幼児、保護者、教職員はもとより、私立幼稚園等の幼児教育関係者や相談者からの信望も厚い。
▼西館裕巳(澄川南小教諭)
札幌市教育研究推進事業において、小学校の音楽研究部長を5年間務めるなど、長年にわたり同部の研究推進の中核を担うとともに、学習指導の実践的研究について大きく貢献しており、小学校音楽教育の発展のために尽力している。
令和元年度『札幌市小学校教育課程編成の手引(音楽)』の作成委員として携わり、札幌市における音楽科教育の質の向上に貢献している。
道音楽教育連盟に所属しており、札幌市内外の音楽科教育に対して指導助言を行ってきた。
また、現在は研究部長として札幌市のみならず、北海道の音楽科教育においても充実・発展に大きく寄与するなど、教育関係者からも非常に高く評価されている。
教科の研究に関する確かな理論と実践に基づき、授業づくり等に工夫して取り組んでおり、研究部長の役職についても周囲の教職員との協働性を大切にした研究推進を続けるなど、他の教職員からの信頼も厚い。
▼髙橋文(あいの里西小教諭)
小学校高学年における外国語活動の導入以来、中学年への拡大や教科化も視野に入れ、児童が主体的に英語を使ってコミュニケーションを図ろうとする授業実践や指導法を追究するとともに、補助教材の開発や評価方法の工夫を行うなど、常に自己研鑚を積み重ねている姿は、他の教職員のよき手本となっている。
また、札幌市教育センターにおける平成29年度札幌市小学校外国語活動推進中核教員養成研修の講師を務めるなど、指導者として人材育成に尽力するとともに、札幌市教委発行『札幌市小学校における英語教育推進のすすめ』の作成に携わり、豊富な研究・実践を提供するなど、小学校における外国語教育推進の中心的な役割を担った。
札幌市教育研究推進事業においては、27・28年度の2年間、小学校外国語・外国語活動部会の立ち上げにかかる準備委員として、小学校外国語活動の実施に向けた研究内容や研究体制の基盤を創り上げた。
令和2年度は英語専科教員として複数校で外国語の授業を担当し、他の指導者から頼りにされるなど、札幌市の英語教育をけん引する存在である。
▼伊藤信之(屯田北中教諭)
社会科教諭として模範となる実践をしており、平成11・18年度発行『札幌市中学校教育課程編成の手引』の作成委員を務めるなど、札幌市の社会科教育の発展に貢献している。
また、道社会科教育連盟の研究大会で複数回公開授業を行ったほか、国税局の租税教育に携わり、授業を公開するなど、北海道の社会科教育の発展にも寄与している。
これまで勤務校において、学年主任や生徒指導主事等を歴任し、学校運営の中心として活躍しており、現任校においても生徒指導の中心として学校を支えている。生徒、保護者や同僚からの信頼も厚い。
また、野球部の顧問として部活動の指導に当たっており、技術指導のみならず、スポーツを通した人間教育に主眼を置いた指導によって、豊かな心をもつ自立した生徒を育成している。
指導者としての姿は、すべての部活動の指導者にとって模範となるものであり、経験の浅い教員に対する適切な指導助言を行うなど、人材育成に努めている。
このような各分野での活躍は、札幌市が目指している“自立した札幌人”の育成に大きく貢献しており、教育関係者から高く評価されている。
▼宮森正人(市立札幌開成中等教育教諭)
歴任した高校では、生徒が学習や生活において主体的に行動できるようになるための教師のアプローチ方法を工夫・実践し、生徒、保護者、同僚から高い信頼を得てきた。
その豊富な実践に基づき構築した教育理念を「SELF(Stimulating Experience and Learning for the Future~“刺激的な経験と未来へ向けた学び”の略)」の名称として確立し、現在の札幌開成中等教育における生徒育成の中心となる理念となっており、「自分事化」「戦略的見守り」など、新しく魅力的な着眼や発想、確実な実践によって、学校評価アンケート等では生徒の自尊感情や社会貢献への意識が目に見えて高まるなどの成果を上げている。
この教育理念は、鳴門教育大学の全国教育実践活動コンテストで最優秀賞(最高賞)を獲得するとともに、市内・道外の学校等での講演も多数行うなど活躍している。
札幌開成中等教育の開校に際しては、前身の札幌開成高校からの教諭として、「SELF」の実践および学年主任や生徒支援部長などのリーダーとしての役割を歴任しており、特に、同僚性を高め、能動的に目標を達成しようとする集団づくりの戦略的実践には特筆すべきものがあり、併せて、働き方改革の視点も大切にした業務推進の在り方も率先して工夫するなど、学校教育の充実に貢献してきた。
▼添田裕一(市立札幌啓北商業高教諭)
現任校に着任以来、商業・マーケティングの専門家として学校と地域の連携に尽力してきた。現任校が文部科学省研究開発事業「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)」の研究指定校(平成29年度~令和元年度)となった際は、企画立案の統括、渉外調整などの中心的な役割を担い、SPH事業を推進するとともに、札幌市を中心とした企業や外部教育機関、行政、地域社会と連携を図りながら、「マネジメント能力を身に付けた職業人の育成~札幌の未来を担う人材の育成に関する教育プログラム」を開発し、札幌市の未来を担う人材育成に大きく貢献した。
その成果については、文科省はもとより札幌市経済観光局や道内経済界等から高い評価を受けるとともに、元年度には、第61回全国産業教育振興大会において、全国から集まった専門高校の生徒および教員に発表し、全国の産業教育の発展に寄与した。
校内においては、組織のマネジメントについて研究するとともに、道高校教育研究大会や札幌市立高校教育研修会等に参加するなど、これからの商業教育の在り方について日々研究を続けている姿は他の教職員のよい模範となっている。
▼三谷純子(北野小栄養教諭)
栄養士および栄養教諭として長年にわたり勤務し、子どもたちに親しまれる栄養管理された給食と食に関する指導を一体として実践する姿や、食育に積極的に取り組む姿勢は、他の栄養教諭、栄養士の模範となっている。
勤務校では、札幌市特有のフードリサイクルの仕組みを生かし、フードリサイクル堆肥を使用した教材園において全学年で作物を育て、収穫した野菜を使ってつくったカレーを地域の人と一緒に食べる「北野のカレー」を実施するなど、栽培活動、地産地消、環境教育を合わせた食育推進を組織的に実践し、学校・家庭・地域が連携して子どもの食生活の改善を図るために尽力している。
研修講師や長年にわたりブロック長を務めるなど札幌市の食育指導をけん引しており、特に、ブロック運営では総括を行うとともに、地域の生産者やJAと情報交流を図り、清田産の野菜を清田区の全学校の給食に取り入れるなど、清田区の児童生徒の地産池消の理解や知識の定着に尽力し、給食の献立作成や食に関する指導等の充実に大きく貢献している。
▼平野正志(円山小事務長)
学校事務職員の共同実施について、準備段階から中心となって教育委員会等との調整や検討を進め、令和元年度『学校事務共同実施の手引き』の改訂に携わるなど、共同実施組織の体制づくりに大きく貢献した。
現在は、学校運営支援室の事務長として、学校事務の効率化や学校事務職員の職域拡大を行うことで、事務職員が校務に一層参画し、教員がこれまで以上に教育活動に専念できるよう尽力している。
また、新採用学校事務職員の指導を積極的に引き受け、信頼される学校事務職員像を率先して示す姿によって、学校運営へ積極的に参画しようとする職員を数多く生み出している。
勤務校では、学校業務の改善について様々な提案を行い、職員室のレイアウト変更や教職員の印刷環境整備など、教職員が授業準備や児童と向き合うための時間を生み出すための努力をしている。
また、学校ホームページで日々の教育活動を積極的に発信するなど、他事務職員のみならず学校関係者からも高い信頼を得ている。
◆学校表彰
▼札幌市立北九条小学校(紺野高裕校長)
平成27年度から3年生以上の体育のカリキュラムにスノーホッケーを組み込み、冬の体力向上を図るとともに、令和元年度には札幌らしい特色ある学校教育推進事業(雪に関する教育課程)にかかる研究実践校として、スノーホッケーに加え生活科や総合的な学習の時間における雪に関する実践を発信するなど、体力向上と雪に関する教育を関連させた創意工夫ある教育を推進している。
平成30年度の札幌市研究開発事業における子どもの体力向上にかかる実践研究推進校として、東京女子体育大学から講師を招いて先進的な授業研究を推進するとともに、全市の教職員を対象とした授業公開を実施し、各学校における体力や健康の向上にかかる取組の充実を図る上で多大な貢献を果たしている。
新型コロナウイルス感染症の影響で休業となった期間には、児童の心と体のケアを目的とした児童向けのメッセージ動画および学習課題のサポートを目的とした学習動画と毎日の時間割「今日の学習」をいち早く教職員が作成し、学校ホームページに公開した。
動画については、休業期間が終了する5月末までに49本を公開するなど、休業中の児童の学びの保障に向けて積極的な取組を行い、その取組は札幌市のモデル的な役割を果たした。
▼市立札幌山の手支援学校(沼口明夫校長)
昭和38年に山の手養護学校として設立されて以来、約60年間にわたり、道医療センター(旧称:国立病院機構西札幌病院)と連携・協力し、札幌市の病弱教育の中心的な学校としてその職責を担ってきた。
令和2年8月に新校舎へ移転し、校名を「市立札幌山の手支援学校」に改称。現在は小学部・中学部・高等部を設置し、病弱・身体虚弱とともに知的障がい等を有する重複障がいの児童生徒も在籍している。
学校教育目標「心身の健康回復や改善を図り、一人ひとりの可能性を伸ばし、心豊かにたくましく生きぬく児童生徒を育てる」のもと、「夢」「挑戦」「自立」の3つのキーワードを全教職員が常に心にとどめ、学校全体で教育の推進に当たっている。
昭和59年、平成7・16・25年には全国病弱虚弱教育研究連盟研究協議会北海道大会、28年には全国特別支援学校病弱教育副校長・教頭会研究協議会北海道大会を同校で開催しており、参加者から高く評価された。
2年2月末からの新型コロナウイルス感染症に伴う全市的な臨時休業の際には、いち早くテレビ会議システムを使用したオンライン上での学習体制を整え、自宅にいる子どもや入院中の子どもの学習の保障や心理的な安定を図るとともに、札幌市のオンラインシステムを使用した学習環境の整備促進に多大なる貢献を果たした。
(札幌市 2021-02-01付)
その他の記事( 札幌市)
SGSC スキー学習支援事業 児童の安全確保に一役 三角山小5・6年を補助
さっぽろグローバルスポーツコミッション(=SGSC、会長・秋元克広札幌市長)は1月29日、さっぽろばんけいスキー場で小学校スキー学習支援事業を実施した。三角山小学校の5・6年生約80人が参...(2021-02-02) 全て読む
札幌市 2年度就学援助世帯 9月まで認定期間延長 3年度申請手続は6月から
札幌市は、本年度就学援助を受けている世帯の認定期間を令和3年9月まで延長する。就学援助制度の改正に伴うもので、延長のための手続きは不要。3年10月以降分の申請手続きについては、6月ころに決...(2021-02-01) 全て読む
札幌市教委 学習サポートシステム更新 小3理科 調べ学習提起
札幌市教委は1月28日、さっぽろっ子学習サポートシステムを更新した。小学校対象のうち、3年生理科では、身近な物質を活用し、磁石に付くものを調べる課題を提示。中学生対象では、地震が発生した際...(2021-02-01) 全て読む
読書活動推進等計画の素案審議 内容充実へ多様な意見 札幌市図書館協議会第4回会合
第8期札幌市図書館協議会は1月27日、中央図書館で第4回会議を開いた。委員13人が出席。仮称・札幌市読書活動推進・図書館振興計画素案を作成するため、骨子案に肉付けしたものを提示して内容につ...(2021-02-01) 全て読む
3年度事務点検・評価実施要領案 前年度同様3章構成に 札幌市教委 9月議会提出へ
札幌市教委は、令和3年度教育委員会事務点検・評価実施要領案をまとめた。3年度報告書は、前年度同様、「教育委員会の概要」「点検・評価の概要」「点検・評価の結果」の3章構成とし資料編を添付。今...(2021-02-01) 全て読む
札幌市教委 厚別もみじ台の2中学校 4年4月目途に統合 小中一貫校設置検討
札幌市教委は、令和4年4月を目途に、少子化が進む厚別区もみじ台地域にある、もみじ台中学校ともみじ台南中学校を統合する意向を示した。もみじ台地域学校規模適正化検討委員会の意見書を受けて表明。...(2021-02-01) 全て読む
札幌市議会文教委員会(令和3年1月26日)ダイジェスト
◆保護所増設等進め子の安全を確保 児相の一時保護体制 26日の札幌市議会文教委員会では、児童相談所における今後の一時保護体制について質疑が行われた。 山本健晴児童相談所担当局長は、子...(2021-01-29) 全て読む
30人程度を募集 札幌市教委 3年度学校司書
札幌市教委は、4月から任用する札幌市会計年度任用職員(学校司書)を募集している。採用予定人数は30人程度。市立中学校において、生徒の読書活動に関する教職員の業務への支援や学校図書館および図...(2021-01-29) 全て読む
札幌市教委が教育実践功績表彰式 11個人・2校たたえる 自立した札幌人育成へ決意新た
札幌市教委は27日、ホテルライフォート札幌で令和2年度市教育実践功績表彰式を執り行った。学校教育の振興に貢献した11個人と2校に長谷川雅英教育長が表彰状と記念品の盾を授与。受賞者を代表して...(2021-01-29) 全て読む
札幌市議会文教委員会(令和3年1月26日)ダイジェスト
◆バリアフリー前提 総合的判断で決定 公立夜間中学設置 資生館小への理由 26日の札幌市議会文教委員会では、公立夜間中学を資生館小学校に設置する理由について質疑が行われた。 令和4年...(2021-01-28) 全て読む