札幌市中央中 別室登校の生徒支援 各学校つなぐ機能に期待 ICT活用 学ぶ機会保障へ
(札幌市 2021-02-12付)

 札幌市立中央中学校(木村佳子校長)は1月下旬から、別室登校の生徒に対する支援にICTの活用を開始した。学習面での支援のほか、担任教諭からの連絡事項などをスムーズに伝達する手段としても活用。別室登校の生徒と各学級をつなぐ機能によって高い教育効果が得られるものと期待している。一方、通級指導教室に通う生徒に対しては、タブレット端末を使用する際のルールづくりなどの課題がある中で、様々な可能性を探り、すべての生徒の学ぶ機会の保障に向けた支援体制の整備に挑戦している。 

 文部科学省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によると、令和元年度の道内中学校の不登校生徒数は5558人。校種別にみても中学校が最も多い状況にある。

 札幌市教委は、市内においても中学校の不登校生徒、別室登校の生徒が多いことから、GIGAスクール構想における1人1台端末活用モデル校の中央中と連携。別室登校の生徒に対するタブレット端末を活用した支援を1月下旬から開始。併行して検証作業も進めている。

 別室登校の生徒は、個別の学習状況に応じたドリル形式のタブレット活用ソフトを通して、漢字や計算などの学習に活用している。

 また、担任教諭は朝の会などで伝える連絡事項をタブレット端末のアプリで素早く伝達。

 伊達峰史教頭は「別室登校の生徒と各学級をつなぐツールにもなる。自分の意見を言葉にすることが苦手な生徒でも、タブレット端末がコミュニケーションの手段となる可能性が膨らむ」と期待を寄せる。

◆通級指導支援にも

 同校はこれまで、通級指導教室に通う生徒に対して、学校と生徒の自宅のICT機器を活用し、メールのやり取りやウェブ会議システムZoomを活用し、オンライン交流などを行ってきた。

 今回は、通級指導教室に通う生徒に対する支援も構想。1人1台端末の整備が進んだ現在は、通級指導教室に通う生徒間での共同学習にも活用することを計画している。

 しかし、市立学校におけるタブレット端末は基本的に生徒の在籍校でのみWi―Fiが使用可能となっており、在籍校が異なる生徒は通級指導教室にタブレット端末を持ち込むところまでは至っていない。

 伊達教頭は「タブレット端末の持ち出しが可能となったり、通級指導教室用のタブレット端末が整備されたりすれば、共同学習が可能となる」と話す。通級指導教室に通う生徒の支援に向けたタブレット端末活用のルールや環境整備が求められている。

 同校は取組の実現に向け、市教委と連携し、環境整備や検証を進めていく。

 市教委は研究の成果を年度末に策定する1人1台タブレット端末活用のガイドラインに盛り込むほか、タブレット端末活用に際してのルールなども示す予定だ。

(札幌市 2021-02-12付)

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