札幌市教委 教員長期社会体験研修で情報紙の編集など 時代に合わせた挑戦必要 平岡公園小の宇賀神教諭(札幌市 2021-02-25付)
研修中の宇賀神教諭(右)
札幌市教委が実施している教員長期社会体験研修。令和2年度は、平岡公園小学校の宇賀神智哉教諭が昨年4月から約1年間、㈱アドバコム(札幌)で子ども向けの情報紙の編集や動画制作などに取り組んでいる。市環境局と共催で行った環境さっぽろ2020バーチャルツアーの企画・運営なども経験。コロナ禍の中、前例のない企画に多く取り組み、時代に合わせた取組への挑戦の必要性を実感したという。多岐にわたる業務内容や、これまでの研修の成果を聞いた。
アドバコムは、各学校に無料配布している子ども環境情報紙『エコチル』の発行や広告代理業を展開している。企業理念は「コミュニケーションビジネスで社会課題解決に貢献できる企業」。
宇賀神教諭は、教員生活の中で、他の職種の人とかかわる機会も多く、広い視野や知見を身に付けたいとの思いから、研修に参加した。
所属先はエコチル編集部。研修当初は誤字・脱字などの確認、情報紙の色味の確認・調整を行う校正作業に携わった。「教育現場においても家庭に向けた文書の作成などがある。正確な情報を発信するための校正作業の重要性をあらためて感じた」と振り返る。
新型コロナウイルス感染症の影響によって学校が一斉臨時休業となった期間、何かできることはないかと考え、オンライン授業動画「エコチルオンラインスクール」を制作した。
市内各校が休校中に取り組んでいる活動や学習課題について、動画などにまとめて紹介する取組。子どもが家庭で取り組むことができるワークシートも作成し、ホームページからダウンロード可能とした。SNSやラジオなど様々な媒体で発信した結果、大きな反響が寄せられた。
昨年7~9月にかけては、道企業局からの依頼で、水力発電所の仕組みや工業用水ができる過程を伝える動画を、YouTuberと制作。道環境局と連携し、プラスチックごみの排出抑制キャンペーンとして、「道レジ袋チャレンジ」を企画した。
宇賀神教諭は研修で、「官民連携の重要性を実感した」と語る。プログラミング教育、キャリア教育など、学校と民間企業が連携することがこれから増えてくる。「積極的に民間企業の力を借りるべきではないか」と話し、多くの人とコミュニケーションを取ることの大切さを再確認したという。
1月9~14日にかけて市環境局と主催し、環境広場さっぽろ2020バーチャルツアーを開催。本年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、初のバーチャル開催となった。
宇賀神教諭は、バーチャル動物園とバーチャルミュージアムを担当。出展交渉や展開イメージの提案、バーチャル空間制作会社への制作依頼などを行った。バーチャル動物園は、複数の動物園から1頭ずつ代表の動物を展示し、紹介文、写真、動画を展開していく企画。道、東京都、横浜市の動物園に出展交渉を行った。
その結果、バーチャル動物園には円山動物園、上野動物園など11園が、バーチャルミュージアムには、国立科学博物館、札幌市青少年科学館など7館が参加。環境広場には、約2万件のアクセスが寄せられた。
宇賀神教諭は、この経験を踏まえ、コロナ禍によってイベントの開催を諦めるのではなく、時代に合わせた挑戦が重要と強調。「学校現場でも、感染症対策を考慮して、授業や行事などの取り組み方を変更しなければならないことが多くある。感染の恐れがあるからやらないのではなく、感染症対策を万全にしつつ、取り組める方法はないかと模索することが大切」と話す。
さらに、ICTでできることはないかということも同時に考えていく必要性を指摘。コロナ禍という大きな変化に対応するために、「1年間の各学校での実践を共有し、学校の実態に応じて積極的に取り入れていくことが大切ではないか」とした。
宇賀神教諭は、3月まで研修に参加。今後、まとめを市教委ホームページで紹介する。
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バーチャル動物園
(札幌市 2021-02-25付)
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