札幌市中学校長会各部の2年度研究成果第4回 コロナ休業中の実態調査・分析 保健体育部 ICTで指導可能性(札幌市 2021-03-16付)
第4課題「新たな未来を紡ぎ、よりよい社会を創る力を育む体育・健康に関する指導―新たな未来を紡ぎ、よりよい社会を創る力を育む体育・健康に関する指導の充実」
▼研究の視点
▽体育・健康に関する指導における課題
①体力・運動能力に関する課題
②健康に関する課題
③生徒の心身に関する課題
▽体育・健康に関する指導における実態把握
①教育課程への位置付け
②健康教育推進の実践
▽体育・健康に関する指導における連携
①校内における教師間の共有
②教師と子どもとの共有
③学校間の共有
④学校と家庭・地域・外部人材との共有
▼研究内容
▽体力・運動能力の向上に向けた取組
前年度の研究では、各校が実践している体力・運動能力の向上に向けての取組にかかわって、さっぽろっ子「健やかな体」の育成プランの「健やかな体」育成プログラムは、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果などを活用しながら、教務部や保健体育部、教育課程検討委員会等が中心となって作成され、職員会議や校内研修会などによって校内の教師間で共有が図られていることが分かった。
また、体力・運動能力の向上に積極的に取り組んでいる小学校に対する聞き取り調査の結果、中学校としても、小学校で実践している体力・運動能力の向上に向けた取組の把握を進め、「健やかな体」育成プログラムの小中の交流に取り組むことの大切さを示した。
これらの研究をさらに深めたかったが、新型コロナウイルス感染症予防という視点を外すことはできない状況となった。
今まさに各学校においては、日常生活や授業、部活動などで予防策を講じながら、様々な実践方法について試行錯誤を繰り返している。
そこで、新型コロナウイルス感染症による臨時休業期間の生徒の体力・健康と心情への影響について調査し、考察することとした。校長会保健体育部13校の生徒(1年生390人、2年生404人、3年生389人)と校長を対象にアンケートを実施。
結果については、健康に関する意識の向上に向けた取組や健やかな心の健康に向けた取組の考察にも用いた。
▽健康に関する意識の向上に向けた取組
前年度は、札幌市における健康3原則に対する意識の経年変化から「運動」「食事」「睡眠」が大切だと考える生徒の割合は3つの項目すべてにおいて上昇傾向にあることが分かった。
ただし、睡眠に関しては、全国よりも低い結果にあり、今後、家庭・地域とさらに連携し、外部人材や専門家などの活用も視野に入れ、睡眠時間と併せて、睡眠の意義や質の向上についても実践・検証していくなど、研究を深めていく必要があるとまとめている。
感染症を予防する上でも、免疫力を高めるため、適度な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠の調和の取れた生活を続けることが有効であるとされている。
そこで、「休業期間中に新型コロナウイルス感染症の予防対策として生徒が意識して取り組んだこと」を調査し、健康3原則に対する意識との関連性を考察した。
▽健やかな心の健康に向けた取組
令和元年度からの3ヵ年研究計画では、不登校の要因分析についての研究に加え、外部人材の活用についての視点も盛り込まれている。
本来であれば元年度に取り組んだ要因分析についてさらに、研究を深める予定であったが、長期間の臨時休業が生徒の心情に与えた影響について、不登校生徒も含め、調査を行うこととした。
また、外部人材との連携状況やフリースクールの活用の実態を把握し、コロナ禍での不登校生徒支援に求められる視点を示したい。
▼次年度への課題と展望
本年度、体力・運動能力の向上に向けた取組と健康に関する意識の向上に向けた取組については、コロナ禍における実態把握から、健やかな心の健康に向けた取組については指導における外部人材の活用視点から研究した。
体力・運動能力向上のための取組については、授業や部活動に依存していることが明らかとなった。
また、健康に関する意識の向上に向けた取組としては、健康の維持・増進と感染症予防のそれぞれの視点から、学校のかかわり方・発信することの重要性が明らかになった。
これまでの課題として、「子どもの体力が低い水準で推移している」「運動する子どもとそうでない子どもの二極化傾向が進んでいる」「子どもの生活習慣の乱れ(睡眠・食事)」が影響している」などが指摘されている。
したがって、各学校においては、保健体育の授業をはじめとして、生徒会や各学年が主体となった活動などを教育課程にしっかり位置付け、部活動等を活用しながら、体を動かす楽しさや心地よさを味わわせることが大切である。
また、健康3原則に基づいた生活習慣の形成を推進し、子どもの運動意欲や健康に対する意識を高めるとともに、心と体の一体化を図る取組が、小中一貫した教育のもとで行われることが求められる。
健やかな心の健康に向けた取組については、一人ひとりの不登校の要因分析や段階把握が、不登校生徒への支援の基本であると考える。
本年度はそれに加えて、ICTの活用によって、学校という空間にとらわれない指導の可能性が多々みえてきた。
コロナ禍では、学校と家庭のICT機器等の充実が望まれるが、不登校生徒への支援の重要なツールとしても活用を推進したい。
また、小中一貫した視点や外部人材を含めた支援チームの活用も不可欠である。学校の基本姿勢は、あくまでも家庭への寄り添いと、子どもの社会的自立への長期的な視点での支援である。多様な人とのかかわりから子どもが自己肯定感を高め、自己決定力を育んでいく。それらを支援する仕組みづくりを校長のリーダーシップのもとで構築するための研究を推進していきたい。
(札幌市 2021-03-16付)
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