近美コレクション同時開催 表現の移り変わりを 本道ゆかり版画家作品を紹介(道・道教委 2021-03-16付)
道立近代美術館は近美コレクション「池田良二展」「一原有徳展」を開催している。現代日本画を代表する北海道ゆかりの版画家2人の作品をそれぞれ個展形式で紹介。展示担当者は「表現方法の移り変わりを感じられる」と、鑑賞の見どころを話す。4月4日まで。
池田良二(1947年~)は根室市出身。武蔵野美術大学で油彩を学んだあとに銅版画の技法を独学。フォトエッチングを中心に様々な銅板技法を駆使し、アントニ・タピエス展に刺激を受け、タピエスをオマージュしたシリーズを制作した。1985年、母の死に伴い帰省した際に廃墟となっていた旧落石無線送信局と出会い、その外観と内観を撮影した写真を使用し始めた。2004年以降は、「円環」をテーマに、焔、石、卵を使ったインスタレーションを撮影した写真を取り込むなど、生と死、存在と不在を暗示する独自の作風を確立した。
同展では23作品を展示し、池田の著作や作品についてまとめた資料をもとに、作品ごとの「作家の言葉」をパネルで紹介している。
一原有徳(1910~2010年)は徳島県に生まれ、3歳のとき、家族とともに北海道に渡り、小樽を拠点に版画制作を行った。1950年代後半から、石版石を使い一度しか刷れない技法である「モノタイプ」に着手。その後も一貫してモノタイプを制作し、金属凹版による実験的な版画作品やオブジェなど、様々な表現を追求し、国際的にも高い評価を得ている。
展示している44作品の中には、一原と長年交友があった詩人・児童文学者の友田多喜雄氏が所有する一原作品9点も並ぶ。活動を始めた1960年から、晩年に当たる2000年代制作の作品がそろっている。
担当者は「表現方法の移り変わりを感じられる展示となっている」と鑑賞の見どころを紹介している。
両展に加え、「日本のガラス―江戸から現代まで」
を開催。
江戸から明治・大正にかけての和ガラスに始まり、岩田藤七と各務鑛三を先達とする昭和のガラス工芸作家、そして伊藤孚や扇田克也ら現代ガラス作家の作品によって、日本のガラス芸術の歩みをたどる。
また、5000点を超える同館コレクションの中から学芸員が1点を選び、多角的な研究を通して作品の奥深い魅力を紹介するコーナー「この1点を見てほしい。」では、岩田藤七の「水差・花」を展示している。
4月4日まで。毎週月曜日休館。
観覧料は一般510円、高大生250円。中学生以下と65歳以上および障害者手帳所持者などは無料。高校生は土曜日無料。
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(道・道教委 2021-03-16付)
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