教職員の協力を高める学校づくり〈No.62〉 解決策 代替案の提示を 保護者との信頼関係築く対応 6
(教職員の協力を高める学校づくり 2021-03-30付)

 前回説明した事実確認のあとに必要なのは、問題の解決策や代替案の提示です。

 この場合、特に気を付けたいことは、学校の立場を一方的に告げてしまうことです。保護者に、「今まで話してくれたことは、何だったのか」「結局、学校は理解してくれない」という不信感をもたせてしまいます。

 問題の解決策や代替案の最初に「〇〇さんのお話は、大変よく分かりました。

 また、不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません。お詫び申し上げます」と、この場面でお詫びをします。

 対応中、何度もお詫びし頭を下げるのではなく、事実関係を明らかにしたあと、お詫びをするようにします。保護者から「謝罪すべきだ」との発言があった場合は、「まず、事実をお聞かせください」「お気持ちはよく分かります。〇〇について、もう少しお話をお聴きしていいでしょうか」と述べ、保護者の話を促すようにします。

 事実確認については、前回で説明している内容を参考に、「〇〇について、〇〇ということですね」「〇〇について、〇〇のように問題を感じたということですね」「〇〇について、〇〇のように改善を図るべきということですね」などと話を確認します。

 つぎに、保護者の言い分を理解し誠意ある説明をします。

 「〇〇については難しい」「〇〇についての要求は学校で受け入れられません」など、保護者の意見を否定するような言い方は怒りを買うことになります。

 問題の解決策や代替案での話し方では、「〇〇さんより、お話をお聞かせいただきありがとうございました。私どももよく理解することができました」「〇〇さんのこれから学校や教師がどうあるべきかという貴重なご意見、大変ためになりました」「〇〇さんのように、きたんのないご意見はありがたく感じます」と、保護者の意見を受容するようにします。

 つぎに、解決策や代替案を説明しますが、保護者の心情に沿った説明が大切です。特に気を付けたいことは教育用語を多用するのではなく、分かりやすい平易な言葉で説明することと、「そのようなつもりはなかったのですが……」など、自己弁護するような言い方や、「学校のきまりですから」「そのようなことに応じることはできません」など、紋切り型で否定的に述べないようにします。

 「〇〇については、学校の事情がお分かりのように、期待に添えないと存じますが、〇〇のようなことは可能です」「〇〇についてお話をいただきましたが、〇〇については〇〇の事情によって、できかねるところがありますが、〇〇については、早速対応したいと思います」(できないことを説明する場合は、できないことを説明し、できることを付け足し説明すると保護者の理解を得やすくなります)。

 さらに、「〇〇については、つぎの手はずで対応させていただきます」(順を追って対応を説明する。説明後は保護者の意見と質問を受け、同意していただく)。最後に「ありがとうございました」と感謝を述べ終了します。

 保護者の感情を害するのは、当初の問題ではなく、「対応の不適切さ」が問われる事例が多くみられます。

 次回は、「対応の不適切さ」が問われないかかわり方を説明いたします。

(北海道文教大学人間科学部子ども発達学科教授・石垣則昭)

引用・参考文献

「コミュニケーションハンドブック」 石垣則昭 登別市教育委員会・登別市校長会

「保護者と信頼関係を築く関わり」 石垣則昭 ぎょうせい悠+(はるかプラス)連載

「児童心理臨時増刊NO984“難しい親”への対応」 金子書房

「“過剰反応社会”の悪夢」榎本博明 角川新書

「事例解説 教育対象暴力―教育現場でのクレーム対応―」 近畿弁護士会連合会民事介入暴力及び弁護士業務妨害対策委員会 ぎょうせい

(教職員の協力を高める学校づくり 2021-03-30付)

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