教職員の協力を高める学校づくり〈№67〉 学校の実態を的確に把握 協同づくりとスクールリーダー 1(教職員の協力を高める学校づくり 2021-06-28付)
教職員の協同体制づくりの実践にかかわり、私自身が、北海道内の中学校に勤務し教職員とともに、生徒指導上の問題の解消、学力の向上を図ることができた内容をご紹介します。
校長のリーダーシップは当然求められますが、当時を振り返ると、教職員に助け励まされ、教育委員会のサポートによって活動することができたと深く感謝しています。
本シリーズでは、校長としての経営理念や教職員の協同の進め方の内容や手順につきまして、紹介いたします。
なお、記載に当たり当時在籍していた教職員や生徒のプライバシーの順守の観点から、勤務校は北海道内の中学校と表記します。
【はじめに】
杉江修治・石田裕久(教師の協同を創るスクールリーダーシップ、平成30年)は、よりよい学校づくりのため、校長がリーダーとして取り組むべき最重要の課題は、教師の協同をいかにつくり上げるかが課題である。互いに十分な意思疎通ができ、一人ひとりの思いを理解し合える職場の人間関係づくりこそ、目標とする学校像と言えると述べています。
しかし、昨今、保護者の学校に対する過剰な期待、学習意欲や学習内容の定着に課題のある児童生徒の増加、生徒指導上の諸問題が散見しています。一方、教師一人では対応しきれない困難に加えて、事務的な業務の多さも常態化しています。
実際に、近年、教職員の精神疾患による休職者が増加し、過重労働対策とともにメンタルヘルスの維持・増進が学校の大きな課題となっています。
このような中、新たな活動を教職員に提案しても「忙しい、大変だ」「できるわけがない」など、職員会議では否定的な意見が飛び交い、議論が頓挫してしまう状況があります。
新しく赴任した校長が、現状を改善しようとする際、前任校の手法を当てはめようとしても、それまでに積み上げられた独自の教育文化をもつ学校に、スムーズに受け入れられることは難しいのが実際です。
校長にはまず、学校の実態の的確な把握が求められます。同時に、校長が願う学校の姿を見据えながら、教師集団に意図的に働きかけることによって、協同意識が芽生え、自覚され、学校の新たな組織文化として根付いていくものと考えます。
課題を抱えていた北海道内の中学校に校長として赴任し、教職員と共にその解決に取り組んだ過程を振り返り記載させていただきます。
【当時の学校の様子】
赴任した学校では、特定の教職員数人が中心となって、生徒指導に奔走する毎日が続いていました。しかし、その指導は、適切な生徒理解に基づくものとはいえず、一方的な指導でした。
学習面では教師主導の授業が中心で、生徒の学習意欲の低下や学力格差が大きな課題となっていました。教師から自身の無力さを嘆きつつも「現状を改善したい」という思いをしばしば耳にしていました。
ただ、現状を改善したいと願っていても、どのような方針で、どう変えていくのがよいのか理解できず見通しがもてないままでいました。
(北海道文教大学人間科学部子ども発達学科教授・石垣則昭)
引用・参考文献
「教師の協同を創るスクールリーダーシップ」 杉江修治・石田裕久編 石垣則昭ほか著 ナカニシヤ出版(平成30年)
(教職員の協力を高める学校づくり 2021-06-28付)
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