教職員の協力を高める学校づくり〈№69〉積極的に地域と対話 協同づくりとスクールリーダー3
(教職員の協力を高める学校づくり 2021-07-28付)

【校務会議の統合と会議の心得の制定】

 学校には、「組織ありて活動なし」といわれるように、機能していない形骸化した組織が存在している場合があります。その結果、「組織があるのだから会議をしなければならない」という状況に陥り、教職員の多忙感につながっています。

 私は、学校の実情や組織の性格から考え、9つあった校務会議を整理統合して5つとしました。

 会議は個人的な感傷や感情を発露する場ではなく、出された提案をいたずらに否定する場でもありません。また、特定の教職員だけの発言の場でもありません。教職員全員の参加に基づく総意によって、子どもたちのためのよりよい教育活動を検討する場です。

 私は、効率よく円滑に会議を進めるため、会議の意義やルール、さらに進め方を説明し、「会議の心得」を定め教育環境を整備しました。

【地域との協同づくり】

 地域との協同は、地域に根ざした教育を進めるためにも重要な課題です。しかし、漫然と待っていても地域との協同は進展しません。まず、校長自らが出向き、積極的に地域との対話を進め、住民との輪をつくり上げていくことで、学校と地域との協同づくりの足がかりができていきます。

 赴任当初から、私は、地域と学校の関係づくりを目指して、校区自治会議、地域行政懇談会、老人クラブや婦人会、地域こども会へ出向き、たとえ苦言であっても、それを学校への期待だと理解し、積極的に耳を傾けるようにしました。

 地域にとっても、顔の見える学校は協力関係を築きやすいとの意見をいただき、徐々に、様々な機会や場で地域と協同で教育活動を進めることができました。

 具体的な活動を挙げると、生徒会が中心となって参加した地域・保護者・校区小学校との地域合同避難訓練、卒業を控えた3年生への婦人クラブの皆さんによるお茶会の開催、空き教室を利用した老人クラブの皆さんとの囲碁将棋交流、クラフトづくりの達人の作品の学校への展示、生徒による老人宅への訪問、冬季の雪はね(除雪)ボランティアなどがあります。

 地域の各会合へは当初、校長一人で出向きましたが、教職員も地域との協同意義を理解し、自らの課題として地域と共に取り組むことができるよう、機会あるたびに校務リーダーを中心に、ほかの教職員にも一緒に行動するように声かけをしました。当初聞かれた「勤務時間外だ」というような反応は、地域との協同経験の中で皆無となり、笑顔で参加する姿へと変わっていきました。

 学校から外に出ていく、こういった活動が、地域と教職員の親和的であり双方向の関係をつくり、様々な活動を円滑に進めることができる協同関係へとつながっていきました。

(北海道文教大学人間科学部子ども発達学科教授・石垣則昭)

引用・参考文献

「教師の協同を創るスクールリーダーシップ」 杉江修治・石田裕久編 石垣則昭ほか著 ナカニシヤ出版(2018)

(教職員の協力を高める学校づくり 2021-07-28付)

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