教職員の協力を高める学校づくり〈№72〉 教職員の関係性を適正化 協同づくりとスクールリーダー 6(教職員の協力を高める学校づくり 2021-09-09付)
【互いの関心を深める活動】
放課後の時間は教師にとっては貴重ですが、折にふれて私から声をかけ、1人または数人と意見を交わしました。内容は、主に学校づくりのための教職員の協同や、校長の学校経営に対する意見、また、実践に際して気になっていること、試みていることなどです。この交流を通して教師の協同を進めるための実行可能な多くの意見を収集できました。
また、教職員から出された改善策は否定することなく、教職員全員で前向きに検討するようにしました。
さらに、教師間の融和を図るため、貢献をたたえる機会や、互いに理解を深め合う機会として“ケア・カフェ”を設け、教師間の関係に修復や癒しが必要なときは校長が積極的に傾聴し、メディエーション(調停)の手法で解消するなど、教職員の関係性の適正化を図るように努めました。
教職員が本音を語り認め合うことのできる関係づくりのため、職員朝会では、「皆さん知っていますか?〇〇先生は自ら職員玄関の清掃をしてくれました。この行為は、できるようでできない素晴らしい行為です。○○先生ありがとうございました」というように、日常、教職員の教育的配慮を教職員に伝えるようにし、職場の協同づくりに必要な互恵関係を高める機会としました。
お互いに心を開き、ほかの人の理解を深めることを目的とした活動として、「自分史を語る」「今、自分が取り組んでいること」「自分が願っていること」をテーマに、日ごろは比較的交流が少ない4人から6人くらいのグループで、1人2分から3分程度の持ち時間で発表し合うという活動を試みました。
その折、グループのメンバーは、発表者の意見を最後まで肯定的に傾聴し否定しない。ひととおり発表が終了したあと、質問、意見コーナーを設け、発表者が勇気づけられるような「その考えで頑張ってほしい」「私も協力するよ」などの言葉を交わすというルールを提案し、定期的に実践を積み重ねました。
また、「○○先生ありがとう」と題して、○○先生に助けてもらったこと、お世話をいただいたこと、見習いたいところなど、互いの肯定的感情を高めるためのグループセッションも試みました。
「私の失敗」を語る研修は、お互いに胸襟を開き合う機会として有効でした。校長、教頭、事務長や年配から「私の失敗」を開示すると、若年層の教師が語りやすくなり、互いに心を開き融和的な雰囲気が醸成されたことを思い起こしています。
進め方は、車座になり、順に1人5分程度の持ち時間で話しますが、話題は発言者自身が発表後に「言わないほうがよかった」と思うことのない程度の内容とします。
終了後は、グループのメンバー全員が一言ずつ、「○○先生からこの話を聞けてうれしく思いました」など肯定的な感想を述べるようにします。
(北海道文教大学人間科学部子ども発達学科教授・石垣則昭)
引用・参考文献
「教師の協同を創るスクールリーダーシップ」 杉江修治・石田裕久編 石垣則昭ほか著 ナカニシヤ出版(2018)
(教職員の協力を高める学校づくり 2021-09-09付)
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