空知管内3年度教育推進の重点 ICTの特性 最大限活用 協働・共育・共生で学びの質向上(道・道教委 2021-04-07付)
管内市町教委教育長会議で説明した
【岩見沢発】空知教育局の藤村誠局長は5日、空知合同庁舎で開催した管内市町教委教育長会議において令和3年度管内教育推進の重点を説明した。キーワード「協働・共育・共生による学びの質の向上」のもと、知・徳・体の育成や学びを支える・つなぐ・活かすの取組の充実などに力を入れていく方針を表明。確かな学力の育成については、1人1台の端末環境を生かし、ICTのもつ特性を最大限活用した指導や支援の充実を目指すとした。教育推進の重点の概要はつぎのとおり。
【はじめに】
3年度は、中学校において新学習指導要領が全面実施となるなど、新学習指導要領の趣旨に沿った取組を確実に実施することが求められる。
新学習指導要領に示される方向性と道教育推進計画、さらに、1月の中央教育審議会答申「“令和の日本型学校教育”の構築を目指して」を踏まえるとともに、内容項目については、地域の支援を受け、管内のすべての学校が教育活動を通して推進するものに精選し、示している。
2年度は、新型コロナウイルス感染症への対応のため、各学校では、教育活動の時間の再配分等や、学習活動の工夫などによって教育活動を展開した。3年度は、これらの経験を生かした取組を意識しなければならない。
【重点の構成】
構造図の上部に「めざす子どもの姿」、「めざす地域の姿」を配し、構造図の土台として示すため、一番下に、空知の子どもたちが生まれ育ったふるさと空知に愛着と誇りをもち、将来に向かって夢や希望を描くことができるよう「学校、家庭、地域が総がかりで育てる」「ふるさと空知を愛する人を」育成することを管内教育のスローガンとして位置付けている。この骨格は、これまでの空知教育を継承している。
道教育推進計画を基盤として、「めざす子どもの姿」「めざす地域の姿」を方向性として、「ふるさと空知を愛する人を」の育成に努めていきたいと考えている。
【管内教育推進の重点】
具体的な内容について。
▽教育効果を高めるカリキュラム・マネジメントに基づく「協働」
▽指導方法・体制の改善・充実に基づく「共育」
▽学校間や学校と地域間の連携に基づく「共生」
―については、これまでと同様の視点だが、キーワードとして掲げた「学びの質の向上」をこれまで以上に意識して取組を充実していく必要がある。
皆さんには、施策や各学校の学校経営、教育活動を推進するための視点として重視いただいたことと思うが、検証の視点として受け止めていただき、改善し、充実に生かし、学びの質の向上につなげていただくことを強く伝える。
道教育推進計画の目標を踏まえ、①社会で活きる力の育成②豊かな人間性と健やかな体の育成―を「知・徳・体の育成」としてまとめ、主に学校における「協働」と「共育」の機能を高め、質の向上を目指す。
③連携・協働に基づく学校づくり④学びを活かす地域社会の実現―を「学びを支える・つなぐ・活かす」としてまとめ、学校間や地域との連携に基づく「共生」の機能を発揮し、学びの質の向上に向け、管内で重点的に取り組む内容として示している。
具体的な項目について。
▼社会で活きる力の育成
確かな学力の育成として、
▽社会との連携・協働による教育課程の実現に向けたカリキュラム・マネジメントの推進
▽主体的・対話的で深い学びを実現する授業づくりの推進
▽各種調査等の結果を活用した学びへの意欲と自信を高める学習指導の充実
▽1人1台の端末環境を生かし、ICTのもつ特性を最大限活用した指導や支援の充実
―の4点を示している。
これからの時代に求められる資質・能力の育成として、
▽コミュニケーション能力を育む英語教育の推進
▽プログラミング的思考を育む教育の推進
▽校種間の連携による望ましい勤労観や職業観を育むキャリア教育の推進
―の3点を示している。
特別支援教育の充実として、
▽個別の教育支援計画、個別の指導計画を活用した切れ目のない一貫した指導や支援の推進
―を示している。
▼豊かな人間性と健やかな体の育成
道徳教育の充実として、
▽道徳教育の充実に向けた指導方法に関する研修の推進
▽子どもを中心に据え、地域や保護者と連携した心の教育の推進
―の2点を示した。
いじめの防止や不登校児童生徒への支援の取組の充実として、
▽いじめの未然防止の指導の推進
▽ネットトラブルの根絶に向けた取組の推進
▽不登校児童生徒への指導の推進
▽子どもの自殺予防に向けた取組の積極的な推進
―の4点を示した。
体力・運動能力の向上として、
▽自校の重点を明確にし年間を見通した体力向上の推進
▽学校、家庭、地域が一体となった児童生徒の運動機会の充実
―の2点を示している。
▼連携・協働に基づく学校づくり
学校段階間の連携・接続の推進として、
▽幼児教育施設と小学校の連携の充実
▽教育委員会と福祉部局が一体となった幼保・小の引き継ぎ体制の確立
▽子どもの学びを支える中学校、高校間の情報連携等の充実
―の3点を示した。
信頼される学校の確立として、
▽教職員の服務規律の順守
▽教員育成指標に基づく、教職員一人ひとりの能力の向上
▽子どもの安心・安全を保障する危機管理の徹底と自ら身を守る力を育成する安全教育の推進
―の3点を示した。
学校運営の改善として、
▽持続可能な学校運営体制の整備
▽教育の質を高める働き方改革の促進
―の2点を示した。
家庭教育支援の充実として、
▽家庭教育に関する学習機会と相談体制の拡充
▽保護者や校種間で連携した家庭学習習慣の定着
―の2点を示している。
▼学びを活かす地域社会の実現
学校と地域の連携・協働の推進として、
▽コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進や地域課題探究型の学習体験を通じてまちづくりをけん引する地学協働体制の構築
―を示した。
生涯学習の振興として、
▽住民の主体的な社会参画を促す取組の推進
▽日本遺産「炭鉄港」の学習など、空知を知り、学び、共に語るふるさと教育の推進
―の2点を示している。
【おわりに】
人工知能、ビックデータ、IoT、ロボティクスなどの先端技術が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられたSociety5・0時代が到来しつつあり、社会の在り方そのものがこれまでとは「非連続」と言えるほど劇的に変わる状況が生じつつある。
このように急激に変化する時代の中で、学校教育には、一人ひとりの児童生徒が、自分の良さや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができる資質・能力を育成することが求められている。
これらの資質・能力を確実に育成するためには、新学習指導要領の着実な実施が重要となる。
さらに、GIGAスクール構想によって、本年度からは、1人1台端末を生かした教育活動が展開される。ICTの活用が特別なことではなく当たり前のこととなるようにし、児童生徒が“文房具”として自由な発想で活用できるよう環境を整え、授業をデザインすることが重要。
こうした潮流の中において、学校教育が子どもたちの成長という縦軸と、子どもたちが生活する家庭と地域、様々な人々との結び付きという横軸の中で、身近な地域を含めた社会とのつながりを深め、自らの人生や社会をより良く変えていくという実感を得ることができるよう「何を学び、何ができるようになったのか」を重視した学びの質の向上を、管内が一体となって推進していくという思いを込め、本年度の空知管内教育推進の重点を策定した。
市町教委の皆さんには、校長の強力なリーダーシップのもと、社会に開かれた教育課程の実現に向け、教育効果を高めるカリキュラム・マネジメントに基づく「協働」、指導方法・体制の改善・充実に基づく「共育」、学校間や学校と地域間の連携に基づく「共生」を実践することができるよう指導いただくとともに、学校の大きな応援団となり、地域の活性化を進めていく地域の力を束ねていただきつつ、子どもたちが将来に向かって夢や希望を描き、生まれ育ったふるさと空知に愛着と誇りをもつための取組に、一層の力添えをお願いする。
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(道・道教委 2021-04-07付)
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