胆振管内3年度教育推進の重点 教育効果の高い学校を 山上局長 取組の焦点化を(道・道教委 2021-04-23付)
山上和弘局長
【室蘭発】胆振教育局の山上和弘局長は12日、オンライン開催の管内小・中・義務教育学校長会議で、令和3年度の管内教育推進の重点を説明した。推進テーマは、前年度に引き続き「オール胆振で教育効果の高い学校づくり」。新型コロナウイルス感染症対応等における学校の新しい生活様式を踏まえながら、管内すべての学校で取り組むこととして、学力・体力の向上などの4つの重点と、それにかかわる8つの柱を示した。教育推進の重点はつぎのとおり。
【はじめに】
3年度の胆振管内教育推進のテーマについては、管内全体が諸課題の解決に向けて、足並みをそろえた取組を進めるため、「オール胆振で教育効果の高い学校づくり」とした。
また、本年度も引き続き、新型コロナウイルス感染症については長期的な対応を求められることが見込まれることから、サブテーマとして、「“学校の新しい生活様式”を踏まえて、管内すべての学校で取り組むこと」を新たに位置付け、諸課題の解決に向けた共通の取組姿勢として、「重点達成への鍵」を示した。
4つの重点としては、①学力・体力の向上②豊かな心の育成③生活習慣の改善④学校力の向上―を設定し、それぞれの重点に2本ずつ、取組の“柱”を立てている。
各市町や学校においては、学校や地域の実態を踏まえながら、重点の達成に向け、取組の「焦点化」、手段や役割の「見える化」、責任と覚悟をもって「徹底・継続」して取り組むことをお願いする。
【重点1 学力・体力の向上】
▼柱1 組織的な授業改善の推進
学力は、各小・中学校のいぶりONEシートの記述から、教科に関する調査の自校採点や児童生徒質問紙調査、CRT・NRTの学力調査等の活用によって自校の学力向上策を検証し、全国学力・学習状況調査が実施できなかった2年度においても、すべての小・中学校でPDCAサイクルを継続している状況がみられる。
体力は、2年度において学校の新しい生活様式を踏まえる中で、管内すべての小・中学校で新体力テストを実施したが、本年1月のまとめでは、全学年・全種目で実施した学校は、小学校で35%、中学校で71%にとどまった。
こうした現状を踏まえ、全国調査などの客観的データに基づき、新学習指導要領の趣旨を踏まえた共通実践内容の設定や取組の徹底を通して、各市町や中学校区における学力・体力にかかる課題の解決が図られるよう、組織的な授業改善の推進を柱の1つとした。
▼柱2 個別最適な学びと協働的な学びの実現
社会の変化が加速度を増し、複雑で予測困難となっている中、子どもたちの資質・能力を確実に育成するため、新学習指導要領の着実な実施が重要となる。
現在、GIGAスクール構想によって、ICT環境が急速に整備されており、今後は新たなICT環境を活用しながら、子どもたちが自ら学習を調整しながら学んでいくことができるよう、個別最適な学びを進めることが求められる。
さらに、個別最適な学びが孤立した学びに陥らないよう、協働的な学びを主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善につなげることで、必要な資質・能力を育成する協働的な学びを充実することも重要。また、特別支援学校や小・中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒の増加、通常の学級における通級による指導を受けている児童生徒の増加から、特別支援教育に関する専門性がすべての教師に求められる。
こうした現状を踏まえ、すべての子どもたちに必要な資質・能力を育成できるよう、個別最適な学びと協働的な学びの実現を柱の1つとした。
重点1については、柱1にかかわり、地域や学校全体で取組を焦点化し、すべての教室で授業改善を実現すること、柱2にかかわり、特別な配慮を必要とする児童生徒への支援を含めた個別最適な学びと協働的な学びを実現し、子どもたちに必要な資質・能力を育成することをすべての学校で取り組んでいただくようお願いする。
【重点2 豊かな心の育成】
▼柱1 いじめ・不登校の防止・解消
元年度のいじめの状況をみると、平成30年度と比べ小・中学校ともに増加しており、各学校において、いじめの積極的な認知が進んでいることがうかがえる。一方で、いじめを認知した学校の割合は、小・中学校で全国より低くなっており、いじめが見過ごされている恐れもある。
また、不登校児童生徒数は、30年度と比べ小・中学校ともに増加しており、依然憂慮すべき状況となっている。
現状を踏まえ、保護者や関係機関などとの情報共有や、不登校児童生徒に対するICTを活用し、学習支援等を通したいじめ・不登校の防止・解消を柱の1つとした。
▼柱2 ふるさと教育の推進
子どもたちが地域への誇りと愛着をもち、地域の将来を担う人材として成長していくために、地域資源を活用したふるさと教育の充実が求められている。
胆振総合振興局では、洞爺湖有珠山ジオパーク、アイヌ文化、縄文遺跡群、むかわ竜、炭鉄港を「北海道いぶり五大遺産」とし、ふるさとに対する興味・関心を高める取組の推進を図っている。
北海道いぶり五大遺産の核となるウポポイでは、2年度に管内の小・中学校の約7割、うち見学旅行では6割程度で活用された。
一方、ウポポイ以外では見学旅行等で2割ほどの活用にとどまっている。
こうした現状を踏まえ、アイヌ文化や五大遺産などの各地域にある地域素材を積極的に活用し、ふるさとについての理解を深め、ふるさとに対する愛着や誇りを育むことができるよう、ふるさと教育の推進を柱の1つとした。
重点2については、柱1にかかわり、いじめの積極的認知による早期対応を徹底・継続し、関係機関との連携によっていじめ・不登校を解消すること。
柱2にかかわり、北海道いぶり五大遺産などの地域素材を積極的に活用し、ふるさとに対する興味・関心を高める取組をすべての学校で取り組むことをお願いする。
【重点3 生活習慣の改善】
▼柱1 家庭学習の充実
▼柱2 生活リズムの定着
学習時間の確保と家庭学習習慣の定着や、メディア利用を含めた望ましい時間の使い方に課題がみられる。
こうした現状を踏まえ、子どもたちが1日のタイムマネジメントができるよう、保護者と連携した生活習慣の改善を進める必要がある。
重点3については、柱1にかかわり、家庭学習の方法や内容等について家庭と共通理解を図り、児童生徒が主体的に取り組む家庭学習習慣の定着を促すこと。
柱2にかかわり、電子メディアの利用を含めた望ましい時間の使い方を指導し、生活習慣の改善を進めることを、すべての学校で取り組むことをお願いする。
【重点4 学校力の向上】
▼柱1 働き方改革の推進
アクション・プランにかかる取組状況調査結果では、「在校等時間を客観的に記録している学校の割合」は100%となるなど、着実に進んできている取組もある。
一方で前年度、道が実施した勤務実態調査では、6割近くの職員が1ヵ月45時間以上の時間外勤務を行っているなど、取組が進んでいない実態もみられることから、働き方改革の推進を柱の1つとした。
▼柱2 服務規律の確保
近年の学校職員事故状況では、依然として教職員の不祥事が発生しており、2年度は17件と増加傾向にある。
特に、交通事故が13件発生し、前年度の5件に比べ大幅に増加している。教職員による不祥事は、本人や学校だけでなく、教育行政全体の信頼を著しく損なうこととなり、未然防止に向けた対策の徹底は、喫緊の課題であることから、新たに服務規律の確保を柱に加えた。
重点4については、柱1にかかわり、道アクション・プラン(第2期)や、部活動の在り方に関する方針を踏まえ、働き方改革を推進すること。
柱2にかかわり、コンプライアンス確立月間などの集中的な取組や年間を通じた取組を一層推進し、教職員の服務規律を保持することを、すべての学校で取り組んでいただくようお願いする。
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(道・道教委 2021-04-23付)
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