【解説】デジタル教科書の効果・影響

（解説 2021-04-28付）

　文部科学省は、令和２年度学習者用デジタル教科書の効果・影響等に関する実証事業の成果をまとめた。「紙の教科書をデジタル教科書に代えて使用することによる効果・影響」「デジタル教科書の効果をより高める方法」の２点を研究協力校である小学校５校において実証し、その結果をまとめている。

　授業方法の変化に関する児童のアンケート結果をみると、「興味や関心をもてる授業だった」と回答した割合はデジタル教科書３４・２％、紙の教科書１８・６％、「友達と互いの考えを比べることのできる授業だった」ではデジタル教科書３８・４％、紙の教科書１９・７％となり、全項目でデジタル教科書の割合が高かった。

　健康面への影響では、紙の教科書よりもデジタル教科書の方が目の乾きを感じた児童の割合が高い。

　一方で、頭・首・肩・手に疲れを感じた割合は少ない。

　姿勢がよいと感じている児童、紙面・画面と目の距離を３０㌢㍍以上離している児童の方が、健康面への影響が少ない傾向にある。

　授業観察・ヒアリングの結果をみると、デジタル教科書の使用初期は効果的な授業設計のための検討の負担が大きいとしつつも、プリント配布時間の軽減、円滑な共有などによる授業中の教師の負担の軽減と児童と対話する時間の増加などの効果を報告。デジタル教科書の利用を前提とした指導方法、書き込み内容を評価の材料にする方法の確立が必要としている。

　このほか、特別な配慮を必要とする児童生徒の学習上の困難も軽減。自己表出が苦手な児童生徒も主体的に意見を述べることができること、音読機能で音読が苦手な児童も正しく読むことを促すことなど、デジタル教科書の効果を挙げている。

(解説 2021-04-28付)