【解説】わいせつ等 予防的取組強化を(解説 2021-05-13付)
文部科学省によると、令和元年度にわいせつ行為などによって懲戒処分を受けた全国の教育職員の懲戒処分件数は273人で、平成30年度の282人についで多かった。
現行法では、児童生徒等にわいせつ行為を行い懲戒処分となった者に、無期限に教員免許状を授与しないことは困難となっている。
文科省は、「“小児性愛”に該当する者は、子どもと身近にかかわる環境でわいせつ行為を行う恐れがある」との専門家の指摘を受け、診断者に教員免許状を授与しないことを検討。しかし、現状では疾病として診断基準が確立されていないことから、昨年冬に適用範囲の明確さが求められる法令上の欠格事由として規定できないと判断している。
ことし2月に文科省は、わいせつ行為を行った元教育職員が再び採用されないよう、過去の懲戒処分歴を確認できる官報情報検索ツールの検索可能期間を5年から40年に延長。併せて、処分理由を官報に記載するため省令を改正し、懲戒処分の理由に「幼児、児童生徒へのわいせつ行為またはセクハラ」「それ以外のわいせつ行為またはセクハラ」「交通法規違反または交通事故」「教員の職務に関して行った非違行為」を記載するなどした。
4月9日、児童生徒に対するわいせつ行為は原則として懲戒処分とするなど、引き続き厳正な処分を徹底するよう、各都道府県・指定都市教委などに要請。
教員と児童生徒間でSNSなどの私的なやりとりは行わないことを明確化して保護者に周知するほか、密室状態を回避すること、効果的な研修を工夫することなど、予防的な取組の強化を求めた。また、採用前・採用段階において希望者の経歴の十分な確認、文科省の官報情報検索ツールの管理・活用を求めている。
(解説 2021-05-13付)
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