有朋高単位制 「ほっとライン」開設 遠隔で進路の悩み解消 〝選ばれる学校〟目指す(学校 2021-06-28付)
コロナ禍でも気軽に学校の特色を知ることができる
様々な理由から登校への不安を抱える児童生徒が増加する中、有朋高校(元紺谷尊広校長)の単位制課程は、多様な教育ニーズに対応する学校として位置付けられている。ことし5月には、オンラインによる就学相談「有朋ほっとライン」を初めて開設。コロナ禍にあって対面での相談が難しい状況にありながらも、進路選択の不安や悩みを解消してもらおうと、積極的な対応に努めている。不登校や高校を中退した生徒たちにとっての“最後のとりで”であるとともに、選ばれる学校としての存在を目指している。
今月下旬、タブレットの画面越しに石狩管内の中学校教諭の姿があった。有朋高教諭が、単位制や通信制課程の教育内容、入学者選抜などの特色を紹介した。
有朋高教諭が「有朋高に抱くイメージはどのようなものか」と問いかけると、中学校教諭は「高校を中退した生徒が入り直す」「行きたい学校が見つからなかった生徒にとって最後のとりで」と答えた。有朋高教諭は「どちらもそのとおり」と述べた。「イメージを踏まえた上で、生徒にとって学校選びの当初から土俵に上がる学校になれば」と話した。教職員や生徒が抱く疑問、不安を解消しようと、約40分にわたって懇切丁寧に説明した。
この日、初めての開催となった中学校教員向けオンライン就学相談「有朋ほっとライン」の一場面。ことし5月の緊急事態宣言を受け、有朋高単位制が急きょ立ち上げた取組だ。
同校によると、前年度の対面での就学相談は24件、電話による相談が56件と、例年並みの件数に。一方で、例年50人前後が参加する学校説明会には、3倍に当たる約160人が集まったという。単位制の高橋昌宏教頭は、背景に「収束がみえないコロナ禍で、生徒たちの不安も増大しているのでは」とみる。
道内における不登校児童生徒数は、平成27年度以降、小学生、中学生共に増加傾向にある。令和元年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」結果における中学生の推移をみると、27年度は3653人だっだが、29年度に4370人となり、令和元年度が5558人と、過去10年の調査で初めて5000人を超えた。不登校の要因をみると、無気力・不安が40・1%と最も多く、友人関係をめぐる問題が16・0%、学業の不振が9・5%などと続いた。
今回、オンライン就学相談を活用した中学校は、進路指導に当たって教員間で情報共有を図ることを目的に申し込んだ。過年度には有朋高に進学した生徒もおり、本年度も数人、進学を検討している生徒がいるという。
進路指導を担当する教諭は、入学しやすさや、自分自身に合った時間割を設定できる単位制の魅力を志望する理由に挙げる。一方で、出席日数が不足したり、登校への不安を抱えていたりする生徒が、学級に数人いる実情も打ち明ける。教諭は「有朋高には気さくな先生が多い印象を受けた。生徒たちには納得して入学し、無事に卒業してほしい」と切に願う。
スタートしたばかりのオンライン就学相談だが、すでに札幌市内の中学校から相談の申込があるという。高橋教頭は「不登校や高校を中退した生徒たちにとって“最後のとりで”であるとともに、後悔のない学校生活を送ってほしい。選ばれる学校として、有朋高の教育をより深く知ってもらう機会になれば」と期待する。
有朋ほっとラインの申込は、同校単位制ホームページの専用登録フォームで受け付けている。オンライン以外で就学相談を希望する場合は、単位制課程広報相談部・電話011(773)8200。
(学校 2021-06-28付)
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