公開研向け樺山准教授が指導助言 ゴールへの道筋を構想 湧別小で国語授業指導案検討
(学校 2021-08-04付)

湧別小指導案検討会
オンラインで樺山准教授から指導案について指導助言を受けた

 【網走発】湧別町立湧別小学校(秋山康則校長)で7月中旬、公開研究会に向けた国語科授業づくり検討会が開かれた。大妻女子大学の樺山敏郎准教授を講師に、9月の公開研究会に向けた国語科6授業の指導案検討を町内の教職員などに公開。樺山准教授は、学びの過程を山登りに例え、見通しや戦略をもってゴールまでのルート(プロセス)をデザインする重要性などを示した。

 町教委は令和2年度から4年度までの3ヵ年計画で、湧別町型学校力向上事業を推進。湧別小を中心校とし、公開授業や校内研修への参加などを通して、町内すべての教員の指導力向上を図り、町内全体の学力向上を目指している。

 同校では、研究主題「確かな“言葉の力”を育む授業の創造~国語科の授業づくりを中心にして」のもと、「一人ひとりが問いをもち続け、互いに学び合い、学びを自覚する」授業づくりを進めている。

 9月1日には、町学校教育推進協議会主催の公開研究会が湧別小を会場に開かれる予定。今回は公開研究会に向けて、公開予定の授業の指導案について協議する機会として検討会を実施した。

 新型コロナウイルス感染症対策として、樺山准教授が所在する東京都内と同校をウェブ会議システムZoomでつないで行った。

 午前中は、各学級の国語科の授業を公開。町教委の協力のもと、教室内の各所をカメラで映し出し、樺山准教授が参観しやすい環境を整えた。

 午後からは指導案検討会を実施。1~6年生の国語科各1授業の指導案について、授業者と樺山准教授で協議した。

 國嶋朝生教諭による5年1組の授業では、戦争について取り扱った『たずねびと』を教材に、「物語の全体像をとらえ、戦争についての自分の考えをまとめよう」という単元を展開する予定。

 樺山准教授は「自分だったら、戦争・平和について深掘りはしない。社会科や総合的な学習の時間のような活動にはならないよう、ブレーキを踏みながら授業を進めたい」と話し、そのためには、「“国語の能力”を中心に据えることが大事」と強調。既習の教材など戦争を題材にした作品を読み比べ、「作品世界の中では何を訴えているか」などのテーマを考えさせる活動などを提案した。

 6年1組の授業を担当する土谷亮祐教諭は、宮沢賢治の『やまなし』を教材に、「イタコになって伝えよう!賢治が残したメッセージとは」と題した単元を構想。複数の宮沢賢治作品や伝記『イーハトーブの夢』にふれながら、賢治のメッセージをとらえ、その内容を賢治になりきって語り合う言語活動を設定している。

 樺山准教授は「宮沢賢治の数作品を取り上げて、それを自分のものとして、あるいは賢治になりきって読み、”賢治はもしかしたらこういうことを言いたいのでは”ということを言い合えるような授業は奥が深い」とした上で、「指導事項としては、“考えの形成”を意識し、賢治になりきって考える“同化”よりも、自分の視点で考える“異化”を強くするととらえた方がいいかもしれない。思い切ってチャレンジしてほしい」と助言した。

 このあと、樺山准教授が講話。学びの過程を山登りに例え、ゴールイメージやそれまでの道筋を児童生徒と共有する「ラーニングマウンテン」の考え方を紹介した。

 教員には、見通しや戦略をもってゴールまでのルート(プロセス)をデザインする重要性を示し、「どこに時間をかけるか、手順、形態など、45分の授業や単元全体をコーディネートすることが大事」と強調。状況に応じて進度などを調整しながら、「粘り強く山頂まで全員で登りきることが望ましい」と述べた。

(学校 2021-08-04付)

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