札幌市子どもアシストセンター2年度相談事例等 第2回 相談事例Ⅱ 気軽な相談が可能 LINE相談は有効(札幌市 2021-08-27付)
高校生女子本人(LINE相談)
高校1年生のAさんから、LINEでつぎのような相談が寄せられた。
私は、聴覚や言語に障がいがある。相談内容は、担任の先生と性格的に合わないところがあるのか、いつも迷惑をかけてしまう。
私は考え込んでしまう性格なので、担任の先生に迷惑をかけていると思うと発作が起きる。でも、担任の先生の期待に応えようと無理をしてしまう。
私は、無理をしないと行動に移せない。担任の先生はとても優しいが、私のことを理解できないところがある。
私は、担任の先生に迷惑をかけてはいけないと思い、無理をして結局体調を崩してしまい、さらに迷惑をかけてしまう。
どうすれば担任に迷惑かけず、私も体調を崩すことなくうまくやっていけるのか―。
LINEのやり取りから、Aさんはしっかりした真面目な子であることがうかがえた。また、大学進学を目指しているとのことで、とても努力家で何事にも一生懸命に取り組んでいるようだった。
ただ、頑張り屋なので「できない、難しい」という弱音を吐くことができず、かなり無理をしているようにも感じた。
Aさんは、障がいの影響で文字を打つには時間がかかる。さらに、体力的な面でLINEでのやり取りをする時間的な制限もあった。そのため、相談も途中で終わることが多く、そうしたことからも、何度もやり取りのできるLINE相談はとても有効だった。AさんとのLINE相談の時間は、1回約20分前後のやり取りが限界で、今回は、1ヵ月間に7回の相談に対応した。
Aさんとのやり取りの中で、こちらから「誰かに相談したのかな」と聞くと、「父に相談して、父から担任の先生に話をしてもらった。でも、その後もやっぱり担任の先生とはしっくりこなくて、発作が起きたり体調を崩したりしてしまった」と返信が来た。
その後のやり取りの中で「教頭先生や主治医の先生とは相談できないだろうか」と、こちらから提案したところ「教頭先生と会う機会があまりないので、主治医の先生に相談してみる」との返信が来た。
最終的には、主治医の先生に相談したら、主治医の先生から教頭先生に話をしてくれたようだった。
「私と両親、教頭先生、主治医の先生の4人で話ができ、その後、担任の先生の対応が変わり、少しずつ楽になってきた。もう大丈夫だと思う。ありがとうございました」とのことで相談を終えた。
Aさんからは、その後も別の内容でLINE相談が来るようになった。ときどき、メールでも相談が来るようになり、Aさんと子どもアシストセンターは、現在もつながっている。
LINE相談は、若い世代にとって電話やメールよりも気軽でアクセスも容易であり、相談へのハードルが低く感じられるなど多くのメリットがある反面、真剣さが感じられない相談やひやかし等が多い傾向があるように思う。
また、メール相談同様に口調や表情等の非言語情報が得にくいことや、一定以上の言語能力を要するため、相談者の気持ちをとらえにくく、こちらの意図も伝わりにくいこともある。
一方では、今回のケースのように、言語障がいのように話すことが難しい子であっても、気軽に相談できることから、とても有効な相談のツールでもある。
今後、子どもアシストセンターとしてより効果的なLINE相談の在り方について、事例を重ねながら整理していけたらよいのではないかと考えている。
(札幌市 2021-08-27付)
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