札幌市子どもアシストセンター2年度相談事例等 第3回 相談事例Ⅲ 保護者の後押し大切 子ども自ら進めるよう支援(札幌市 2021-08-30付)
小学生女子の父親から(メール・電話・面接相談)
Aさんが前年度在籍していた学級は、複数の子どもによる担任の先生への暴言や授業妨害などで学級崩壊の状況になった。その後、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中、学級編制替えは行われずに進級し、担任の先生だけが代わった。
進級後は、担任の先生への暴言や授業妨害などがなくなり、学級も落ち着いた状態になった。しかし、2学期も半ばを過ぎたころ、Aさんは父親に「学校に行きたくない」と訴えるようになり、学校を休むようになった。
そうなってしまったのは、前年度の学級崩壊のときに問題のあった子どもから、毎日のように嫌がらせをされるようになったことが原因だった。
そこで父親は個人懇談で担任の先生に相談し、別の日に教頭先生にも相談をするなどした結果、表立ったいじめはなくなり、学校には行けるようになった。
しかし、Aさんは教室に入ることができなくなり、別室で勉強する日が続いた。このような中、父親から「娘が、学校に行けなくなった。学校の不十分な対応への不満や諦めを心の中で押し殺しているのが苦しくなった。これからどうすればよいのか分からず悩んでいる」とEメールでの相談を受けた。
子どもアシストセンターでは、Aさんの父親と電話で話し、あらためて相談の内容を詳しく聞いた。そして、Aさんと2人で子どもアシストセンターに来ていただき、これからのことを一緒に考えていくことにした。
面談では、Aさんや父親から、不登校にかかわるこれまでの経緯を詳しく聞いた。
父親からは、これまでに何度か担任の先生や教頭先生と相談をしてきたにもかかわらず、その後、学校としての方針や具体的な動きにかかわる説明や報告がないことなどについて、学校に対する不信が感じられた。しかしその反面、話を伺う中で、2人からは、校長先生をはじめとする学校への、今後に向けた大きな期待も感じられた。
また、面談時のAさんの受け答えの様子や別室登校の様子、放課後の習い事への取組の様子などから、Aさんの教室登校へのエネルギーが大きなことをAさんや父親と共有することができた。
そこで、これからは教室に入ることだけにこだわり過ぎず、焦らずに今後の取組を進めてみてはどうか、さらに、今後に向けた学校としての具体的な取組を校長先生をはじめとする学校の先生たちと、可能な範囲で力を合わせて一緒に進めてみてはどうかと話をさせてもらった。
そして、そのためにも一度校長先生と会い、相談に乗ってもらうことがよいのではないかと伝えた。最後に、今後も学校との話し合いの結果やAさんの状況をみながら、子どもアシストセンターと相談を続けていくこととして面談を終えた。
面談からしばらくたった日に、父親からメールが届いた。
メールには、子どもアシストセンターへの来所後、学校に夫婦で話をしに行ったこと、学校では校長、教頭、同じ学年の先生がじっくりと話を聞いてくれたこと、数日後、学校から今後に向けた具体的な取組を示していただいたこと、相談後、先生たちがAさんに積極的にかかわってくれるようになり、それに伴ってAさんの表情が明るくなってきたこと、校長が家まで迎えに来てくれ、不登校になってから初めてAさんが親の付き添いなしで登校できたことなどが書かれていた。
そしてそのメールには、今はまだ別室登校だけれど、大きな一歩を踏み出せたと感じていること、これから少しずつ、学級の友達とのかかわりを深めていきたいこと、夫婦が焦らずにAさんの気持ちを第一に考えて、Aさんをしっかりと見守っていきたいことなどのうれしい報告と、子どもアシストセンターへの丁寧なお礼も書かれていた。
子どもアシストセンターでは、子どもが自らの力でつぎのステップを踏めるよう支援をしていくことを基本姿勢の一つとして相談を受けている。
今回の相談を振り返ってみると、子どもが自らの力でつぎのステップを踏めるよう支援をしていくためには、その保護者に寄り添い、保護者の背中を支えながら後押しをさせていただくことも大切であることをあらためて強く感じさせられた。
(札幌市 2021-08-30付)
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