札幌市子どもアシストセンター2年度相談事例等 第1回 将来に向かい進む子を応援 相談事例 Ⅰ いじめ解決後も寄り添い(札幌市 2021-08-26付)
高校生男子本人(メール相談)
札幌市子どもの権利共済機関(子どもアシストセンター)がまとめた令和2年度活動状況報告書から、相談活動や調整活動の具体的な事例を連載で紹介する。
高校1年生のI君から、「友だちからいじめを受けている」と、メールで相談を受けた。
I君が高校に入学してすぐ、クラスメイトからの嫌がらせが始まった。I君に聞こえるように陰口を言ったり、クラス中に悪い噂を広めたり、I君を無視したり。
I君は、次第に教室に入ることに恐怖を感じるようになり、ストレスから吐き気や頭痛などの症状が出始めたころに、アシストセンターに相談のメールを送ってくれた。
I君の話を聞いて、まず、担任の先生に相談することを提案した。I君は担任の先生にいじめについて話すことを渋っていたが、教室の中で起こっているいじめなので、まずは担任の先生に話してみることが解決の近道であること、それでも解決しなければアシストセンターから学校に解決をお願いすることも考えたいことを伝えたところ、I君は勇気を出して担任の先生に相談をしてくれた。
担任の先生は、I君の話を親身になって聞いてくれた。そして、欠席しがちになってしまったI君が楽しく学校に通えるように、たくさんの手助けをしてくれた。
担任の先生だけでなく、教頭先生、校長先生もI君の話を聞いてくれたことで、I君も「すごく安心したし、うれしかった」と話してくれた。
しかし、I君は進級を目前に控えたころ、高校を自主退学した。嫌がらせは徐々に減っていたが「教室に入ることが怖い」という気持ちをI君は払拭することができなかった。
つぎの年の春、I君は通信制の高校に再入学した。
環境が変わったことで気持ちを新たに「まだ人とかかわることが少し怖いけど、自分の目標に向かって頑張っていきたい」と話してくれた。
それ以降、I君から連絡はないが、元気に学校に通っていることを願っている。
アシストセンターには、いじめに関する相談が多く寄せられる。その中には、学校や家族の助けを借りていじめを解決し、元の楽しい学校生活に戻っていけるケースもあるが、I君のように、様々な事情で学校に戻ることが難しくなってしまうケースもある。
I君のケースでは、いじめが解決したからといって本人の学校生活や人とのかかわりが元どおりになるわけではないということをあらためて感じた。
しかし、学校を自主退学したあとのI君は、とても前向きだった。I君がもともともっていた目標を叶えるにはどうしたらよいか、人とうまく付き合っていくにはどうしたらよいか、自分の欠点は何かなど、I君はたくさんの話を聞かせてくれた。
いじめの件は一応の終結したが、それによってアシストセンターとの関係も切れてしまわなかったことを、とてもうれしく思っている。
自主退学後も、アシストセンターとして、自分の将来を見据えて一生懸命進んでいくI君のサポートをすることができたのではないかと感じる事例だった。
(札幌市 2021-08-26付)
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