専門職の力量向上へ 十勝教育研修センター講座開講
(関係団体 2021-08-30付)

研修センター・道徳科
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 【帯広発】十勝教育研修センター(大場渉所長)は7月下旬から8月上旬にかけて、センターなどを会場に研修講座22講座を開講した。専門職としての教職員の資質を高め、教育の充実・発展に資することが目的。十勝管内教育研究サークル協議会(栗原賢次会長)の会員などが企画・運営を担当。実技講習や講義・演習などを通じ、指導力向上へ資質・能力の向上を図った。

◆困り感を共有する交流活動など展開 特別の教科 道徳

 十勝教育研修センターで開かれた特別の教科 道徳の講座では、帯広市立啓北小学校の鈴木美保教諭と十勝教育局義務教育指導班の齋慎之指導主事が講師を担当。参加者は、日ごろの困り感を共有する交流活動や道徳科の指導における基礎・基本、内容項目を意識した教材分析の仕方などの説明、演習によって道徳科の指導力向上を図った。

 講師は、道徳科の基本的な押さえとして、考え、議論する道徳とは、主体的に自分とのかかわりで考えながら、多様な考え方や感じ方と出会い交流する授業であることを示した。

 また、道徳科の授業実践のスタートには、価値観、児童生徒観、教材観をもつことの重要性を指摘し、明確な指導観をもつことの大切さを強調した。

 このあと、道徳科の学習指導案の内容について主題名の設定、教材など詳細に解説するなど、今後の授業実践に役立つ研修講座を展開した。

 齋指導主事は「参加者の皆さんの意欲も高く、熱の入った研修講座となった。管内の道徳科の指導力向上に役立つとよい」と振り返った。

◆行書の筆遣いなど多様な表現法実習 書写Ⅰ・書写Ⅱ

 十勝教育研修センターで2日間にわたって、書写Ⅰと書写Ⅱの講座を開講。幕別町立札内南小学校の青柳雅哉教諭と豊頃町立豊頃中学校の北林孝教諭が講師を務めたほか、書家の野坂武秀氏が外部講師として、書写の指導のコツや、毛筆の実技を指導した。

 小学5年生から中学生までの指導を対象にした書写Ⅱでは、ポイントとして5年生は用紙に対する文字の大きさを考えさせることや、6年生は点画のつながりを意識させて中学校で行う行書への導入とすることを挙げた。

 また、中学校での指導では、子どもの成長に合わせて、子ども基準の評価から大人基準の評価へ移行させていくことが必要と指摘。

 毛筆の実技では“に”と“こ”の書き取りを実践。すべての点画を分割して考えるのではなく、行書に慣れさせるための始点と終点のつながりを指導し、筆遣いのリズムについて教授した。

 参加者は長年書道に携わってきた野坂氏の指導を受けながら、書道指導の能力向上を図った。

◆授業力、観察力、言葉の力を意識し 学級経営

十勝教育研修センターで開かれた学級経営の講座では、音更町立下音更小学校の松村理史教諭と帯広市立大空中学校の山根教平教諭が講師を務めた。学級を運営していくために設定しているルールや行事の進め方など、実践的な学級経営の手法を説明した。

 松村教諭は、学級経営で意識していることとして「こんな子どもたちを育てたい」「こんな学級集団を育てたい」「学級経営は学習指導と両輪」というイメージを描いていることを紹介。年度初めには、子どもに学級経営方針について説明していることを伝え、行事の進め方やアクティビティの実施、学級通信や掲示物の在り方について助言した。

 続いて、山根教諭は、学級経営で意識していることとして①授業力②観察力③言葉の力―の3点を提示した。

 うち、観察力では子どもたちをよく見て、指導リストに今後の指導方法を書き出し、優先順位を付け、子どもたちの学校生活を導いていることを解説。

 言葉の力では、子どもたちに伝わりやすい言葉選びをしているとし、部活動引退のシーンなどの大切な場面で、他の教員や書籍の言葉を参考にしていることを伝えた。

◆学校、地域抱える課題解決へ熟議 地域の力を(CS)

 十勝教育研修センターで学校に地域の力を活かすために(CS)講座を開講。地域とともにある学校、学校を核とした地域づくりの実現に向け、教職員はもとより社会教育委員やPTAなどの関係者が参加。コミュニティ・スクールおよび地域学校協働活動に対する理解を深めた。

 講師は、十勝教育局の田尾和祐社会教育指導班主査と山崎浩二社会教育主事が担当。

 はじめに、山崎社会教育主事がCSに関する制度について説明。①CSとは②CS推進の背景③学校運営協議会の機能④CSが充実すると⑤CSの成果―の5点を解説した。

 うち、CSの成果については、学校・地域・家庭がそれぞれ当事者意識をもつことを挙げ、学校と地域の情報共有が密になり、地域が学校の応援団となって子どもたちの学びが充実することを紹介した。

 また、「CSに絶対的な答えはなく、大切なのはプロセス」と強調し、CSに意思決定の形である熟議の大切さを訴えた。

 続いて、田尾社会教育局指導班主査の講座では、教員と社会教育委員などが混合のグループとなり熟議を体験。教職員は自分の地域について、社会教育委員や市町村教委職員は自分たちのまちの学校について説明。普段説明していることを逆の立場に立って話すことで、互いの立場を理解した。

 このあと、所管するまちや学校の困り事について交流、互いの分野について意見交換した。

◆消費者トラブルの未然防止方策学ぶ 技術・家庭(家庭)

 十勝教育研修センターで行われた技術・家庭(家庭)講座は、幕別町立札内東中学校の大野ひとみ教諭と帯広市立大空中学校の嶋中真由美教諭が担当。

 はじめに、帯広消費生活アドバイスセンターの坪沙世さんが「中学生の消費者トラブルの現状」について講演。契約の基礎知識として、契約は、店内で客が買う意思を表示し、店員が了承、金銭の授受が発生した時点で成立するとし、未成年者でも違いはないことを確認した。

 若者の消費者トラブルの傾向では、インターネットや美容関連、オンラインゲームに関するものが増加していると指摘。オンラインゲームの金銭の発生について、クレジットカードと携帯電話のキャリアを通じて行うものについて説明。トラブル防止に向け、カード情報の抹消、決済限度額の設定などを挙げた。

 ネット通販における中学生消費者講座の実践例を紹介。授業のテーマに「物の選び方、買い方を考えよう」と示し、実店舗とオンラインストアのどちらで買うか子どもたちに考えさせ、それぞれの利点・欠点を考えさせる授業を提案した。

◆3~6年の授業に使えるアイデアを 小学校理科

 音更町立木野東小学校で開かれた理科(小学校)講座は、帯広市立明星小学校の東野公昭教諭と木野東小の児玉直人教諭が講師を担当。参加者は3年生から6年生で行う理科の授業内容に沿った実験や観察、教材の説明や作製を通して、2学期からの授業実践に生かすアイデアを交流した。

 はじめに、東野教諭が3・4年生向けの講座を展開。小学校理科の目標として、自然に親しみ理科の見方・考え方を働かせながら、自然の事物・現象について科学的に解決するために必要な資質・能力を育成することと示し、エネルギーや粒子、生命といった各領域における見方と事例を紹介した。

 3年生の単元「光のせいしつ」では、アルミシートと段ボールでつくったソーラークッカーによる実験、ペットボトルを使った光彩の観察や光を焦点化する実験などを説明。

 さらに、4年生「水のゆくえ」の単元では、ペットボトルにアルコールスプレーと消臭スプレーを封入し、ボトルを押したり広げたりすることで、水滴が発生する実験などを指導した。

 このあと、児玉教諭が5・6年生の理科授業で使える実験を紹介し、子どもたちが感覚的に分かりやすい授業づくりについて講座を展開した。

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