個別最適な学びに期待　指導方法検証　年度内に成果

（関係団体 2021-09-10付）

　授業後、５・６年生担任の大畠敏幸教諭はこれまで、児童から「“調べ学習の時間が短い”“もっと調べたいなどの声が上がっていたが、意欲に応えることが難しかった」と振り返る。単元のゴールで行うプレゼンテーションが意欲を呼び起こす動機となっていることもあり、ノートを集める際に「家でも調べたい」と困惑する児童もいたという。直接指導と間接指導を完全に分離した授業では、児童たちが満足いくまで調べ学習に臨むことができるとし、「さらなる追究につながっている」と実感する。

　また、「これまで表現の時間などを児童に任せてしまうことが多く、十分に見取りができないことがあった」と明かし、１時間ずつ丁寧に児童と向き合える利点を挙げた。

　水上教授は「現在の複式学級での学習指導は、教師にとってかなり負担が大きいのではないかと考え、検証を始めた」と話す。「現場の協力を得ることで、理論にとどまらず実践から研究を進めることができている」と手ごたえを口にする。直接指導と間接指導を完全に分離することで、「単元のゴールに向け、４５分間集中して学習に取り組むことができる」などのメリットを話した。

　今回の実践について、「多寄小の児童一人ひとりが学びに向かう力を付けているからこそできたこと」と強調。現場の意見をもとに、指導法に合わせた単元計画の作成や、間接指導を充実させるための課題提示の工夫、教科ごとの特性を生かした指導方法などについて検証し、本年度中には研究の成果をまとめるという。

　授業の様子などを視察した道へき地・複式教育研究連盟の温泉敏委員長は「子どもたちが自ら学びの調整を行う指導形態は、個別最適化に向かう新たな複式教育の試みとして様々な可能性を秘めている」と話し、実践を経て研究が全国に普及されることを期待した。

(関係団体 2021-09-10付)