北教組 全国学力調査結果受け声明 自主的・創造的教育を 子が学びの主体となる環境に
(関係団体 2021-09-14付)

 北教組(木下真一中央執行委員長)は3日、2021年度全国学力・学習状況調査結果に対する声明を発表した。道教委が進める調査の実施・結果公表は、学校現場を過度な競争的環境に置くものと批判。学校・子どもの安全・安心を確保し、子どもたちが学びの主体となる環境を整えることが急務であると主張した。また、点数学力向上策の押し付けの中止、各学校の自主的・創造的な教育活動と一人ひとりの子どもに寄り添う実践の保障を求めた。

 概要はつぎのとおり。

 文部科学省は8月31日、2021年度全国学力・学習状況調査の結果を公表した。文科省は全国の状況について、「改善の傾向がみられたものがある一方、依然として課題が認められるものがある」などと、例年と何ら変わらない分析を行った。

 文科省は調査の目的を「学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる」としているものの、この間、各都道府県教委は学力調査の目標値を設定し、「学力向上」の名のもと、過去問題の繰り返しや事前対策、学習規律の徹底など、画一的な授業改善を現場に強いている。

 道教委も同日、文科省の公表に追随し、「全国学力・学習状況調査 調査結果のポイント」を公表した。教育長のコメントでは、「すべての教科で全国平均に届いていない状況にある」「誰一人取り残すことのない教育活動の充実に向けた一層の取組が必要である」「コロナ禍においても学びを止めない指導体制を構築しつつ、GIGAスクール構想で整備された1人1台端末などICTを効果的に活用した授業改善などを進める」などとした。

 道教委が進める全国学力調査の実施・結果公表は、学校現場を過度な競争的環境に置くもので、学びの主体となるべき子どもは、ないがしろにされ続けている。また、学力向上策として望ましい生活習慣の確立を押し付けることで、子どもたちは息苦しさを感じている。こうしたことが要因となって、いじめ、不登校の増加に歯止めがかからない現状を生じさせている。

 道教委は、「誰一人取り残すことのない教育活動の充実」としているが、これまでの教育施策を振り返り、過去最大の件数となっているいじめ、不登校の解消に取り組むべきである。

 さらに、調査の目的が、「全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る」のであれば、貧困と格差が教育格差につながっていることを分析し、施策に反映させることを最重要課題としなければならない。しかし、一向にこうした検証・分析は行われず、ICTを効果的に活用した授業改善など一方的に画一的な施策の強要に終始している。

 今、求められるのは、教える側の発想ではなく、子どもの学びを最大限引き出すための子どもの側に立った施策に転換することである。そのため、点数学力の向上ではなく、学校・子どもの安全・安心を確保し、子どもたちが学びの主体となる環境を整えること、教職員に十分なゆとりをもたせることが急務である。

 道教委は、全国学力調査・結果公表とそれに基づく点数学力向上策の押し付けを即刻中止し、各学校の自主的・創造的な教育活動と一人ひとりの子どもに寄り添う実践を保障するとともに、教職員をはじめ、保護者・地域の声を真摯に受け止めるべきである。

 また、子どもの貧困解消と教育格差是正を進め、定数改善や給特法の廃止・見直しなど、超勤・多忙化解消のための法改正を文科省に求めるなど、本来すべき勤務条件・教育条件整備に徹するべきである。

 北教組は今後も、子どものゆたかな学びを阻害する全国学力調査に反対し、憲法・47教育基本法・子どもの権利条約の理念にもとづく「わかる授業・たのしい学校」「差別選別の学校から共生・共学の学校」を目指して、主権者への学びを基盤とした教育実践を積み重ねるとともに、教育を市民の手に取り戻すための広範な道民運動を進めていくことを表明する。

(関係団体 2021-09-14付)

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