道小 校長退職者アンケート 再任用37% 再就職53% 役付再任用希望過去最高18%
(関係団体 2021-09-10付)

道小校長退職者の動向等に関するアンケート調査結果
道小校長退職者の動向等に関するアンケート調査結果(クリックすると拡大表示されます)

 道小学校長会(吉田信興会長)は、令和3年度校長退職者の動向等に関するアンケート調査結果をまとめた。再任用での勤務が過去最高の37・0%。再就職の52・8%を合わせると約9割となり、再任用・再就職の割合が上昇している。役付再任用制度を希望した割合は18・4%で、こちらも過去最高となった。

 アンケートは、札幌市を除く道内の公立小学校のうち、ことし3月31日に退職した147人を対象に実施。回答率は73・4%。

▼退職前の就職の計画や希望

 再任用の希望は前年度より11・8ポイント減の35・2%。再就職は4・1ポイント減の49・1%だった。

▼現在の状況

 再任用での勤務が17・8ポイント増の37・0%と過去最高の割合となり、再就職が5・5ポイント減の52・8%だった。「再任用や再就職は考えていない」が8・2ポイント減の9・3%と大きく減少した。

▼役付再任用制度の希望

 希望した割合は12・3ポイント増の18・4%と過去最高を記録。一方、希望しない理由について道小は「精神的に疲労が大きい」「住んでいる管内に制度がない」「後進に道を譲る」「フルタイムでの勤務は希望しない」「責任の重さ」「赴任地」などが多いとしている。

▼再任用の勤務内容

 通常学級担任や特別支援学級担任を主とする「学級担任」が16・5ポイント増の41・5%と大きく上昇。「校長・教頭」の管理職は前年度のゼロから4・9%へと増加した。

▼再任用の勤務地

 「退職時の市町村」が63・6%と依然として高く、「退職時の市町村以外(管内)」が11・1ポイント増の34・5%と増加傾向にある。

▼再就職の勤務内容

 「教育委員会関係(アドバイザー・補導員など)」が59・6%と依然として高い。「社会教育関連施設(公民館・児童館など)」が10・5%と半減した。

▼再就職の週当たり時間数

 「30時間以内」が53・6%と過半数を占め、「36時間以内」が12・5%、「37時間以上」が32・1%だった。

▼再就職の1ヵ月当たりの給与

 月額13~20万円が全体の74・6%を占める。「25万円以内」が4・9ポイント増の12・7%とやや増加し、「26万円以上」が10・9%と6・2ポイント減少した。

▼再任用・再就職に関する満足度

 「満足している」「普通」合わせて約9割となった一方、「満足している」が20・7ポイント減の29・9%と大きく減少。道小は、不満を感じている割合も10・3%と高い傾向にあることから、その内容を精査する必要もあるとしている。

▼退職時の不安解消のために必要なこと(複数回答)

 「再就職に関する情報提供」が35・2%、「年金支給までの健康保険の延長」が38・7%と多く、過去の傾向と同様となっている。

◆考察概要

 役付再任用制度が導入されて4回目の調査となった。退職前の計画・希望では、役付再任用の希望者は今回5・6%(2年度3・2%、元年度2・6%)と年々増加傾向にはある。希望しない理由は「管内に制度がない」「赴任地の不満」などの制度的な問題のほか、「責任が重い」「精神的な疲労」など職責の重さと体力面や精神面の不安に言及する声もある。校長として重圧を感じながら日々の職務に当たっていたことが反映されていると読みとれる。

 また、「後進に道を譲る」との声も多数あり、統廃合による学校数減少の現状を踏まえ、教頭の校長枠採用枠確保を重視していることもうかがえる。さらに、「生活の安定」「趣味やレジャーの満喫」「介護の必要性」など退職後のライフステージを意識した回答も多かった。

 勤務の現状は、再任用(36・4%)と再就職(53・3%)合わせて約9割に達している。「退職しても子どもと接することができる」など、これまでの経験を生かせるという声がある一方で、「現職同様の仕事量となるフルタイム勤務に負担を感じる」「大規模校勤務に負担を感じる」「学級をもてるのか」「子どものためになっているのか」などの声も上がっており、管理職での経験を十分に生かしきれていない再任用制度の現状に対する悩みや不安が伝わってくる回答もみられる。「現場の負担とならないような職務内容の制度化」「教員不足解消に向けた教員免許更新制度の見直し」を望む声につながっていると考える。

 再就職では、教育委員会関係と社会教育関連施設の仕事が合わせて7割を超えている。これまで教育に携わっていた経験を生かすことができる職業に就く傾向は今後も続くと想定される。

 給与については、「年金受給までの生活収入を得ること」も再任用・再就職する理由となっているが、給与の支給額が満足できる水準ではないとの声が挙がっている。退職後の満足度について「満足・普通」と感じる割合が8割を超える一方、「満足」の割合が大きく減少し、「不満」と感じる割合が1割を超えている理由がこの点にあると推察される。

 退職時の不安解消のため、「再就職に関する情報提供」「年金支給までの健康保険制度の充実」「定年延長制度」などが重要という回答が多く、引き続き、「役付再任用制度」「定年延長制度」などの動向、教職員定数における「基礎定数」と「加配定数」の配分、小学校高学年の専科制など、今後の社会情勢と照らし合わせながら、調査結果の推移をみていく必要がある。

(関係団体 2021-09-10付)

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