北教組 高・特配置計画決定で声明 格差拡大 撤回を要請 地元進学保障へ条件整備
(関係団体 2021-09-21付)

 北教組(木下真一中央執行委員長)は8日、道教委の公立高校配置計画および公立特別支援学校配置計画の決定に対する声明を発表した。計画に基づく募集停止や学級減が遠距離通学者や保護者の経済的負担の増加など貧困と格差を拡大させるとし、計画の撤回・再考を要請。特別支援教育においては希望する子どもの地元高校への進学を保障する教育条件の整備を求め、子ども一人ひとりの要求に応えるゆたかな後期中等教育を保障する運動の強化を表明した。

 声明の概要はつぎのとおり。

 道教委は7日、2022年度から3年間の公立高校配置計画と、2022年度および23年度以降の見通しを示した公立高校配置計画および公立特別支援学校配置計画を公表した。

 公立高校配置計画では、6月の計画案どおり留辺蘂を23年度で募集停止とし、計画案からの変更点として、①24年に学級減を予定していた岩見沢東については、今後の市の検討結果を勘案し、市内再編を含め変更することがある②22年度に大樹・標茶を1学級増とする③市立札幌旭丘に設置する新たな学科を数理データサイエンス科とする④本別、標津は、新たに地域連携特例校を導入する―と変更した。

 また、21年度入学者選抜後に1学級相当以上の欠員が生じて学級減となった23校のうち、栗山など14校が1学級増となったものの、砂川、札幌南陵、札幌東豊、札幌あすかぜ、北広島西、森、江差、本別、標津の9校は1学級減のままとした。23年度の美幌の未来農業科への転換・学級減、名寄と名寄産業の再編統合・単位制導入などは計画案どおりとした。

 公立特別支援学校配置計画では22年度について、全しょうがい児学校61校で、前年度より定員が10人減の1684人とし、計画案からの変更点として、22年度に1学級減としていた余市養護学校と北見支援学校、旭川養護学校の3校については学級数維持とした。

 また、知的高等支援学校の配置の見通しでは、23年度に道央圏で2学級相当、24年度は4学級相当の定員の確保を検討していたが、いずれも新設校を設けず、既設校の学級増で対応する見通しを盛り込んだ。

 これらは道教委が依然として、これからの高校づくりに関する指針(以下、指針)にも基づき、子ども・保護者の声を無視した学級減などを機械的に進めるもので、断じて容認できない。とりわけ、留辺蘂の募集停止は、生徒・学校・保護者・地域が連携し、存続に向け取り組んできたにもかかわらず、一方的に「進路動向に変化はみられない」と断じ、地元の声を踏みにじるものである。地方の小規模校を数のみをもって募集停止・学級減とすることは、子どもを都市部へ一層流出させ、地域の活力をそぐものである。

 また、岩見沢東高校の学級減にかかわっては、結果的に道教委が計画案によって岩見沢西高校、岩見沢緑陵高校にまで学級減・再編統合の対象を広げて数合わせを行わせようとするものであり、地域に大きな混乱を生じさせるものである。

 この間の、入学者選抜結果による学級減の結論を、計画において決定する方法は、進学を考えていた子どもや保護者を翻弄するものである。

 文部科学省・道教委の特別支援教育は、中卒者数が減少傾向にもかかわらず特別支援学校への入学希望を年々増加させ、22年度も知的障害特別支援学校47校で5学級25人の定員増を計画するなど、分離・別学を一層進めるものとなっている。

 道教委は、「分けることは差別につながる」とした国連障害者権利条約の理念に基づき、希望する子どもたちの地元の普通高校への進学を保障するため、すべての学校において合理的配慮などの教育条件整備を早急に進めるべきである。

 配置計画は、地域の経済と文化の衰退を招くとともに、遠距離通学者や保護者の経済的負担の増加など、貧困と格差を拡大させるもので断じて容認できない。今後も中卒者数の減少が見込まれる中で、広大な北海道の地域性を何ら考慮せず、機械的に削減し続ける指針、配置計画の撤回・再考を求めるとともに、希望するすべての子どもがしょうがいのある・なしにかかわらず地元で学べる地域合同総合高校の設置など、子ども一人ひとりの要求に応えるゆたかな後期中等教育を保障するため、道民運動を一層強化していくことを表明する。

(関係団体 2021-09-21付)

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