札幌市議会質疑 予算特別委員会(3月26日)(札幌市 2021-09-28付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼くまがい誠一委員(公明党)
▼千葉なおこ委員(日本共産党)
▼小田昌博委員(自由民主党)
▼恩村健太郎委員(民主市民連合)
▼竹内孝代委員(公明党)
【答弁者】
▼山本健晴子ども未来局児童相談所担当局長
▼山本真司子ども未来局子ども育成部長
▼竹田瑞恵子ども未来局子育て支援部長
▼加茂貴裕子ども未来局子育て支援部支援制度担当部長
=役職等は当時=
◆生活・就労相談支援事業
Qくまがい委員 社会的養護自立支援事業の核となる支援コーディネーターと生活・就労相談支援事業のこれまでの実績について伺う。
A山本児童相談所担当局長 市では、平成29年度から社会的養護自立支援事業を導入し、施設や里親のもとから18歳あるいは延長後の20歳を迎えても自立が難しい場合、引き続き、22歳の年度の末日まで同じ施設や里親のもとで生活できるよう、居住の場の確保を支援している。
さらに、施設や里親のもとから安心して自立できるよう、令和元年度から支援コーディネーターを配置し、一人ひとりの状況に応じて、自立後も継続して支援する計画の作成を開始している。
元年度の支援コーディネーターは、37人に対して計画を立てて関係機関と連携して支援しており、2年度は46人に対して計画の作成と支援を予定している。
また、就職先が見つからない、離職して再度就職先を探すといったときに、支援として、生活・就労相談支援事業があるが、市内の専門業者に委託して実施しており、元年度は4人、2年度はこれまでに7人が就職に結び付いている。
Qくまがい委員 社会的養護経験者の支援に当たっては、年齢到達による自立のときはもちろん、自立後に様々な事情で、就職先、進学先をやめざるを得なくなった人についてもしっかり受け止めて支援していくことが必要であり、社会的養護自立支援事業に求められている重要な役割と言える。
この点を踏まえ、事業における課題について伺う。
A山本児童相談所担当局長 自立し、就職したが、離職したなど、社会生活を送る中で困難に直面する場面は少なくない。そうしたときにしっかり支えられるよう、自立後も関係機関が寄り添って丁寧に支援をしていく必要があり、施設や里親を頼ってきたときに、すぐに支援コーディネーターや生活・就労相談支援事業者と連携して対応する体制の確保は欠かせない。
そのためには、施設や里親に対する事業の十分な周知と連携が必要であることから、これまで、個別説明を重ね、事業に対する連携を呼びかけてきた。特に、里親への周知には力を入れているところであり、2年度は、従来の里親会の事務局だよりに加えて、オンラインによる里親向けの事業説明を実施し、事業周知の強化を図っている。
今後も、支援コーディネーターや施設、里親などの関係機関としっかり情報を共有し、事業を効果的に実施し、社会的養護経験者が安心して社会に巣立ち、自立して生活を続けられるよう支援していく。
◆放課後児童クラブの現状
Q千葉委員 放課後児童クラブの現状について。この1年、公設児童クラブや民間学童保育は、新型コロナウイルス感染症による一斉休校への対応、様々な行事、活動の制限、感染症予防対策等を行いながら活動してきた。
市の放課後児童クラブは、公設民営の児童クラブ、学童保育、民間放課後児童健全育成事業所の3方式によって展開している。
市では、放課後児童クラブの登録児童数が年々増加しており、過密化の解消が課題となってきた。
それぞれのここ数年、児童登録数の変化、現状についての認識、併せて、各体系の利用料、保護者の負担額について伺う。
A山本子ども育成部長 児童登録数の変化について。公設の児童クラブについては、ここ数年は7%から10%程度の増加が続いており、令和2年4月末時点の登録児童数は2万1000人を超えている。
一方、民間児童育成会については大きな変動はなく、1300人台で推移してきており、届出事業所については、概ね200人前後の登録児童数となっている。
市の現状への認識について。公設の児童クラブの登録児童数の伸びに伴い、3つを合計した登録児童数全体も増加しており、放課後の児童預かりのニーズは増しているものと認識している。
各方式の利用料について。公設の児童クラブは、延長時間帯を利用した場合の利用料が月額2000円となっている。
一方、民間児童育成会については、2年4月時点の平均は月額約1万5000円、届出事業所の平均は月額約2万8000円となっている。
Q千葉委員 これまでの児童クラブの過密化解消のために、放課後等専用区画を設けて解消してきたが、現在の過密化校区はどのようになっているのか。
A山本子ども育成部長 3年度の各校区の過密化の判定にかかる事務作業としては、現時点では、児童クラブの申し込みを取りまとめている段階であり、結果が出ていない。
また、今後、各小学校に児童クラブで利用可能な余裕教室について照会する予定であり、この照会結果と児童クラブの申し込み結果などに基づき、判定する。
なお、判定の結果、過密化校区が生じた場合、さらなる余裕教室の活用などについて、あらためて学校と調整するなどして、早期に過密化の状態を解消していくこととなる。
Q千葉委員 札幌市放課後児童健全育成事業実施要綱第9条の改正について。改正内容は、民間児童育成会の設置基準の変更、様式名の変更や、市への書類提出方法の変更など。施行日は令和3年4月1日。
改正前の設置基準は、当分の間、児童クラブに登録する児童の数と民間児童育成会に登録する児童の数の合計が、児童クラブの定員数と民間児童育成会の定員数の合計を上回っている小学校区においては、前項の規定にかかわらず、予算の範囲内において民間児童育成会を設置できることとするというものだった。
改正によって、前項の規定にかかわらず、民間児童育成会の参入が可能な地区として、市が指定した小学校区においては、予算の範囲内において、民間児童育成会を設置できることとするとされている。
このたびの要綱改正に至った理由について伺う。
また、参入が可能な地区は、市が指定した小学校区とのことだが、どのように小学校区を選定し、どのような方法で設置する予定なのか。
A山本子ども育成部長 要綱改正に至った理由について。現状では、小学校の余裕教室の活用などによって、市の条例で定める過密化に至っている校区は生じていないものの、地域によっては、かなりの混雑が見受けられる状況にある。また、昨今のコロナ禍の状況において、児童クラブについても、できる限り、いわゆる密の状態を解消する必要が高まっているものと認識している。
民間児童育成会については、要綱上、従前から新規設置が可能となっていたが、今回の改正では、手続きの透明性向上の観点から、より新規設置の必要性が高い地区を市が指定することとしたものである。
市が指定した小学校区の選定方法等について。児童1人当たりの専用区画が狭く、小さいことや、当面の間、面積の拡大につながる整備の予定がないことなどを考慮した上で、対象地区を選定し、公表することを想定している。
そのほか、指定した地区での事業の実施を希望する事業者がいた際の応募期間だとか、具体的な手続きなどについて、詳細はこれから検討していくが、決定後、市のホームページなどで公開していきたいと考えている。
Q千葉委員 3年度は、札苗北小学校、宮の森小学校、厚別北小学校、太平小学校の4校区を想定されていると聞いている。
民間児童育成会の新規参入で児童会館の過密化を具体的に解消していくと思うが、既存の児童会館の面積の規模を拡大しての過密化解消の考えはないのか。
A山本子ども育成部長 市においては、これまでも、学校改築時の児童会館の複合化や、ミニ児童会館の拡充などとともに、民間児童育成会の新規設置も行いながら、児童クラブの環境改善に取り組んできた。
今後も、様々な手法を効果的に用いて、児童クラブの環境改善を図って行きたいと考えている。
D千葉委員 今後、すべての新校舎には児童会館を併設していく予定になっている。中には、これまでの児童会館にあったような体育館が造られないなど、縮小されているところもあるが、あらためて、十分余裕をもった規模で造っていく考えで、児童会館も新しく設置していただきたい。
Q千葉委員 民間学童は、月額約1万5000円ということで、保育料が高く、なかなか利用できないというような現状について、市も認識していると思う。
過密化している児童会館やミニ児童会館は、午後6時までであれば、利用料がかからないで通うことができる。一方、民間学童保育は1ヵ月約1万5000円、保護者が負担している。
過密化解消のため、民間学童保育を今後増やしていく計画であれば、高過ぎる保護者負担を軽減する必要があると思うが、いかがか。
A山本子ども育成部長 現在、すでに民間児童育成会がある校区については、市内で特に児童クラブの混雑が著しいところはないものと考えており、既存の民間児童育成会に対して何らかの措置をしても、現状で児童クラブの混雑が著しい地域の環境改善に対する効果は薄いものと考えている。
民間児童育成会の保育料にかかる補助について、市では、就学援助世帯への保育料の減免等について、市独自の事業として補助している。
放課後児童健全育成事業に対する財政措置については、これまでも国に要望してきたが、今後も引き続き、機会をとらえて、さらなる財政措置について国に要望していきたい。
Q千葉委員 市の子ども・子育て会議放課後児童健全育成事業部会について。前回の元年12月に開催された部会では、民間児童育成会の認定など第7条の要綱の改正について審議され、委員からの意見などを聞いているが、このたびの要綱改正では、部会で審議されることなく決定されている。その理由を伺う。
A山本子ども育成部長 今回の要綱改正については、これまでの市の方針を転換するなどの大きな変更を伴う趣旨ではなく、従前から行ってきた民間児童育成会の新規設置に関して、必要性などを考慮の上で新規設置可能な地区を市が指定する旨を明記したものである。
したがって、部会で審議を行うべき内容とは考えていないが、今後、指定した地区や具体的な手続きを公表していくに当たっては、適宜、部会等に対して丁寧な情報提供に努めていきたいと考えている。
◆卒園児童の受皿確保
Q小田委員 地域型保育事業における卒園児童の受皿の確保について。保育対象が満3歳未満であることから、卒園後も継続的に保育が受けられる連携施設、いわゆる卒園後の受皿を確保しなければならないとされている。
一方、連携施設が確保できていなくとも認可を受けることができる経過措置があり、市内においても経過措置の適用を受けている事業者が存在する。
連携施設の確保に尽力する事業者が連携施設をしっかり確保できるよう、行政は支援していく必要があると考える。連携施設確保の現状と、それにかかる市のれまでの対応、今後どのような支援をしていくのか伺う。
A加茂支援制度担当部長 現在の子ども・子育て支援新制度が始まった平成27年度時点では、約7割の事業者が連携施設を確保しており、その後、令和2年4月においては約9割の事業者が連携施設を確保している。
この状況が改善に至った理由としては、各保育事業者の継続的な努力に加えて、市としても、各事業者に対して連携施設に関するガイドラインを示した。
このほか、新規に開設する保育所、認定こども園に対して、地域型保育施設との連携施設となることへの努力義務を課すといった取組が寄与したものと認識している。
また、満3歳を迎えて地域型保育施設を卒園する子どもに対しては、連携施設へ入園を希望する場合はもちろん、連携施設以外の認可保育施設への入園を希望する際にも、利用調整に当たり、優先措置を講じるなど、保育の継続に支障がないように配慮している。
引き続き、市としては、連携施設を確保しておらず、経過措置が適用されている約1割の事業者に対して、連携施設確保に向けた取組を促していくとともに、連携の受け手となる新設保育所等に対し、市からも協力を呼びかけることを行っていきたいと考えている。
D小田委員 連携施設の確保に関する経過措置の期限はあと4年残されているが、その期限を待たずに、どの地域型保育所においても、保護者が安心して子どもを預けられるよう、連携施設の確保への支援をこれからもしっかりと取り組んでいただきたい。
Q小田委員 保育人材の確保に向けて、当面のコロナ禍への対応と併せて、中長期的にどのように取り組んでいくのか伺う。
A加茂支援制度担当部長 コロナ禍における保育現場に対しては、これまでも、消毒作業等を担う保育支援者の配置に対する補助や、感染対策にかかる備品購入費等の補助などを行っており、今後も引き続き、保育士の就労環境改善という視点も含め、コロナ禍の状況に応じて対処していくことが必要であると思っている。
令和3年度以降の人材確保の取組について。2年度、オンライン方式で実施した合同面接会の開催数拡大に加えて、保育施設の求人と求職者とをマッチングする札幌市保育士・保育所支援センター、通称「さぽ笑み」で、ウェブマッチングシステムの新規導入や対象職種の拡大など、機能強化を図っていく予定である。
また、次世代の育成を目的として実施している保育人材イメージアップ事業においては、例えば、実施内容の一つに高校生保育職場体験メニューがあるが、こちらの方で新たにSNSを活用してPRしたり、体験の機会拡大なども予定しているなど、各種人材確保策を進めている。
将来の保育の担い手となる中高生、それら学生の将来の進路に強い影響を与える保護者、加えて、学校の進路指導担当者などに対して、保育の仕事の魅力ややりがいを伝えていくということは大変重要であると考えている。このイメージアップの取組を継続するとともに、高校や養成校等関係機関ともしっかり連携を深めていきたいと考えている。
Q小田委員 医療的ケア児の支援に関する保育分野での対応について、市では、元年10月から公立保育所においてモデル事業が始められ、医療的ケア児の受け入れのための検証が行われていると聞いている。
3年度予算では、私立保育所等における医療的ケア児の受け入れ体制整備のための看護師配置の費用に対する補助金が計上されており、市として医療的ケア児の保育所への受け入れが促進されていくと期待している。
現在、市内で受け入れている医療的ケア児の数と、ケアをどのように行っているか、受け入れ状況について伺う。
A加茂支援制度担当部長 現在の医療的ケア児の受け入れ状況について。公立保育所である、ちあふる・しろいしにおいて実施している市医療的ケア児保育モデル事業で入所している子どもが1人、そのほかに、私立保育所では1人が入所しており、合計2人の入所となっている。
この医療的ケアの実施状況だが、公立保育所の1人については、市が直接雇用した看護師がケアしており、私立保育所の1人は、保護者が1日に数回、保育所に来てケアしている状況である。
Q小田委員 平成31年3月19日に行われた市医療的ケア児支援検討会において報告されている保育所等への医療的ケア児に関するアンケートの結果では、「どのような状態にある子を医療的ケア児というか知っている」と回答した園の割合は52・8%となっており、「過去に医療的ケア児を受け入れたことがある」と回答した園は5・2%となっている。
医療的ケア児を受け入れたことがない保育所が大半で、保育所では、医療的ケアに対するノウハウもないなど、現状では受け入れが可能かどうかの判断も難しいと思う。
補助制度が始まることによって、私立保育所での受け入れ体制整備に向けた第一歩を踏み出したわけだが、ただ単に受け入れ体制整備に対する補助だけでは、受け入れ施設を増やすことはなかなか難しいと考える。
今後、保育所等での医療的ケア児の受け入れを促進するためにどのように取り組んでいくのか伺う。
A加茂支援制度担当部長 私立保育所などに対して当該補助制度に関する通知を行う際に、その制度内容の説明に加えて、医療的ケアとは何かといった初歩的な内容をはじめ、医療的ケア児に関する理解を深めていただくような情報提供も併せて行うなど、医療的ケア児に対する理解の向上を図っていきたいと考えている。
加えて、保護者からの入所相談が各園にあった際に、園側での受け入れに向けた検討を積極的に行っていただけるよう、市から園に対し助言する。それから、現在実施している公立保育所でのモデル事業で得られた知見も私立保育所に伝えていきたいと考えている。
このような取組を行いながら、保育所における環境整備を図り、医療的ケア児の受け入れ促進に努めていきたい。
D小田委員 医療的ケア児の受け入れを進めるためには、看護師の配置や医療的技術の習得等の体制を万全に整えるとともに、医療的ケア児のその子らしい成長、発達を支える周囲の理解と協力が不可欠である。
様々な医療的ケア児が想定され、戸惑いもあると思うが、市はしっかりとサポートして準備していただきたい。
◆保育所等の災害対応方針
Q恩村委員 災害時の保育所等における臨時休園の基準などの対応方針の検討状況について伺う。
A加茂支援制度担当部長 市町村から出される避難情報、気象庁の気象警報といった警戒情報の発令や地震発生の場合に、その内容のレベルに応じ、臨時休園等の措置を行う基準の策定を現在進めている。また、警戒情報の発令、地震発生の時間についても考慮して、開所時間内に起きた場合、それから、時間外に起きた場合に分けて対応方針を検討している。
現在は、関係団体と、その方針内容について協議を行っている段階で、方針策定の際には、速やかに各園および保護者に周知する予定である。
Q恩村委員 市として、自然災害以外の保育所における危機管理についてどのように対応しているのか、また、今後の危機管理の方向性について考えを伺う。
A加茂支援制度担当部長 自然災害以外に想定される事柄としては、例えば、断水、停電などのライフラインの停止をはじめ、事故や犯罪など、その種類、危機度合い、これは多岐にわたり、すべての事象において個々に休園基準などの対応方針を定めるということは大変難しいと考えている。
これまで、市としては、各園に対し、様々な事件・事故等が発生した場合には、その情報を提供し、注意喚起を図ってきた。
各園に対し、注意喚起に用いる情報としては、警察などの関係機関から市へ提供されてきた情報、園で把握し、市に提供されてきた情報、大きく2つに分けられる。
そのうち、園の方から市に寄せられる情報については、市への報告内容、タイミングなど、情報集約のルールを定めておらず、統一されていないことから、今後は、そちらのルール化を図り、周知が必要な情報を適切に集約した上で、各園に提供していきたいと考えている。
各園が危機を回避するためには、いち早く正確な情報を入手して適切に対応することが大変重要であり、市と各園との情報共有の在り方については、今後、引き続き検討を進めていきたいと考えている。
Q恩村委員 刑事事件に発展する可能性がある事案が保育施設で発生した際、子ども未来局への報告を前提にして、臨時休園等の措置を検討すべきと考えるが、いかがか。
A加茂支援制度担当部長 脅迫電話をはじめ、各園において刑事事件に発展する可能性がある事案が発生した場合、これまでは、その事案の内容、警察の対応方針などを勘案し、臨時休園も含めたその後の保育継続の可否、その他、注意すべき点について個別に各園と協議してきた。
ただ、そのような事案が生じた際は迅速な対応が求められることから、過去に起こった事例なども踏まえて、想定される対応例について、災害時休園基準の協議などと併せて、関係団体と共に研究する機会を設けていきたいと考えている。
いずれにしても、子どもの安全確保が何よりも大事であることから、今後も、様々な危機的事象の発生、その予兆があった場合には、各園と密接に連携しながら対処していきたいと考えている。
D恩村委員 ぜひ研究等を進めていただきたい。
何よりも大事なのは、子どもの安全をいかに確保するのか、これに尽きると思う。保育所などから事件性があるかもしれないといったような報告を受けた際には、一番最悪の事態を想定した対応を行政として取っていただくよう求める。
ただし、臨時休園等をする際には、保護者にも協力をいただかなければならない。臨時休園は災害時以外にも起こり得るということも、しっかり周知していただきたい。
自然災害であっても、自然災害以外であっても、一番最悪の事態を想定して対応することが本当の意味での危機管理ではないか。保護者理解も含め、子どもの安全を第一に考えた対応に取り組まれることを求める。
◆ひとり親家庭養育費の確保
Q竹内委員 ひとり親家庭への養育費確保支援について。各補助メニューで1件当たりの補助の上限額をいくらに設定されるつもりなのか、また、それぞれどれぐらいの件数を想定しているのか伺う。
A竹田子育て支援部長 1件当たりの補助の上限額については、民間機関による裁判外紛争解決手続、いわゆる民間ADRを活用した養育費の協議に要する費用については5万円を想定している。
また、養育費の不払いの際に強制執行を可能とするための債務名義の作成費用については2万4000円を上限とし、保証会社との養育費保証契約の締結に要する費用については5万円を上限としたいと考えている。
交付件数については、民間ADRの活用にかかる補助および養育費保証契約の締結にかかる補助についてはそれぞれ10件を見込んでおり、債務名義の作成にかかる補助については75件を見込んでいる。
Q竹内委員 1件当たりの補助の上限額をどのように算定されたのか、また、その根拠について伺う。
A竹田子育て支援部長 養育費の確保には、債務名義の作成が特に重要であると考えており、そのための公正証書の作成や家事調停に要する費用などについては、必要額を概ね賄えるよう上限額を想定している。
その前提となる双方の協議を円滑にするために、民間ADRを活用する場合の補助の上限額は、申込料など、第1回の調停までに必要となる費用に相当する額をもとにしている。
養育費保証契約については、保証会社によって用意されているメニューに違いがあるが、保証契約に当たっての初回保証料に概ね相当すると思われる額を上限として計上している。
Q竹内委員 申請件数が見込みを上回った場合、市はどのように対応されるのか伺う。
A竹田子育て支援部長 申請件数については、先行都市における申請実績を踏まえて、必要数を想定している。また、この事業を通じて養育費の意義や取り決め方法について広く知っていただくことも事業実施の大きな意義であると認識しており、広報啓発にも積極的に取り組む考えである。
その結果、仮に申請件数が見込みを上回った場合でも必要な人に支援が行きわたるよう、適時適切に対応したいと考えている。
D竹内委員 このたび初めて創設させる補助制度である。支援が必要な人にしっかりと届けていただけるよう尽力いただきたい。
◆コロナ禍での子の見守り
Q竹内委員 コロナ禍における子どもの見守り強化について。民間団体の子どもの見守り強化活動について、市はどう認識しているのか伺う。
A山本子ども育成部長 民間団体が取り組む子育て支援や子どもの居場所づくり活動については、子どもの健やかな成長を育む場としてだけではなく、子どもを見守る観点からも、行政だけでは把握し切れない子どもの家庭環境や異変に気付くきっかけとなる重要な役割を果たしているものと認識している。
例えば、食事や安心して過ごせる居場所を提供する子ども食堂などの活動も、地域の大人とのかかわりを通じて子どもの見守りにつながっており、市としても、子ども食堂など、居場所づくり活動に取り組む団体に対し支援している。
Q竹内委員 国では、子どもの見守り強化アクションプランの取組を一層推進するために、民間団体が要保護児童対策地域協議会の支援対象児童等の状況を定期的に把握し、食事の提供や学習支援などを通じた子どもの見守り体制強化を図ることを目的として、支援対象児童等の見守り強化事業を実施し、各自治体に事業の募集を行っている。しかし、全国の自治体からは、個人情報の観点などから、なかなか活用が難しいといった声もあり、北海道では、まだどの自治体でも活用されておらず、市でも事業化する上での課題があると聞いている。
一方、国は、本事業における支援対象となる児童については、要保護児童対策地域協議会にかかわる子どもに限らず、市町村が見守りを必要と判断した子ども等が含まれるため、市からの委託事業だけではなく、民間団体への補助も含めて柔軟に活用できるようにと、運用を弾力的にして、他の政令市でも、大阪市、京都市をはじめ、他の自治体で事業化されているといった動きがある。
市としてはクリアしたい様々な課題があるかもしれないが、今回の国の補助事業を活用して、子ども食堂などの活動支援を充実させるなど、子どもの見守り強化をしていただきたいが、いかがか。
A山本子ども育成部長 新型コロナウイルス感染症による行動や生活様式の変化は、今なお子育て世帯に影響を及ぼしており、民間団体の見守り活動と連携した取組は意義のあるものと認識している。
子どもの見守り活動に対して補助する場合、単なる食事の提供とは異なり、どの子どもを見守り対象とするかの判断や、行政と民間団体との適切な個人情報の管理などの課題が考えられる。また、一部の子ども食堂からは、見守りの責任を負うことを心配する声も聞かれ、実施者となり得る団体がどの程度存在するのか、不確定な要素もある。
令和2年度から開始した子ども食堂などへの補助制度では、感染症による子育て世帯や子ども食堂の活動への状況の変化に応じて、学校休業中における弁当提供への緊急的な支援とか、居場所づくり活動支援の補助の中で、感染症対策にかかる経費も対象とするなど弾力的に対応してきた。
3年度の事業実施に当たっては、国の補助事業の活用を検討する上での課題を整理して、民間団体を含めた地域での子どもの見守り活動を後押しする運用を早期に検討していきたいと考えている。
D竹内委員 この補助事業は、コロナ禍における緊急対応の補助事業で、自治体負担のない10分の10の補助で、また、高額のものである。市としては、クリアしたい様々な課題があることは十分理解しているが、実際に事業を開始した都市もある。
コロナ禍における支援制度は、スピードと確実性が求められる。ぜひとも、実施に向けて、早期検討、準備いただき、民間には負担等がかからないような制度設計をお願いする。
(札幌市 2021-09-28付)
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