学校のお宝ｉｎ札幌　札幌市立平岡小学校　ホタルがいるビオトープ　豊かな水辺空間　環境教育充実に

（札幌市 2021-10-21付）

ホタルの幼虫を放流する児童（令和元年度）

　「こっちで光っている」「飛んだ！」―。札幌市立平岡小学校（川野唱子校長、児童数３００人）の学校ビオトープで育ったホタルが夏の夜空に飛び交うと、子どもたちから歓声が上がる。古き良き夏の風物詩がある。

　開校２０周年を迎えた平成１４年、札幌市環境局のモデル事業の一環で、校内にビオトープが誕生した。その後の２期整備と合わせて、全長約３０㍍、幅約１０㍍の広々とした自然空間が完成した。

　池や水路の周辺には、イネ科やカヤツリグサ科の在来種をはじめ３２種類の草花が茂る。水辺を求めて多くの昆虫が生息し、ときにはカモが飛来するなど、豊かな生態系が育まれてきた。

　ビオトープを生かした環境教育も充実。総合的な学習の時間や生活科で単元を設け、生息する植物や昆虫の観察活動を進めてきた。

　きれいな水辺は、ホタルの幼虫のゆりかごにもなってきた。ビオトープ誕生前の１３年、清田区ホタルの会から幼虫１００匹を預かり、児童たちが丹精込めて飼育した。ビオトープ整備後は、一定程度育てた幼虫の一部を放流。夏になると、児童や保護者、地域住民を集めて鑑賞会を開いた。川野校長は「ビオトープはまさに地域の宝物ですね」と目を細める。

　ビオトープは、完成から２０年近く経過した今も、３年生が四季の変化を観察する学習や、自然環境への意識を高める学習の場として欠かせない存在となっている。育てたホタルは清田区役所の池に放流。毎年７月下旬に区役所で行われる鑑賞会には、１０日間で延べ４０００人以上が訪れるという。

　この２年間、長引くコロナ禍の影響で、残念ながらビオトープでホタルを育てることはできていない。豊かな水辺環境で育ったホタルが再び夏の校庭に舞う日を、児童たちは心待ちにしている。

(札幌市 2021-10-21付)