札教研事業 秋の研究集会(小学校)(札幌市 2021-10-25付)
札幌市教委は13日、オンラインシステムを活用し、令和3年度札幌市教育研究推進事業(=札教研事業)秋の研究集会を開いた。新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の観点からオンラインを利用する時間と紙面等で交流する時間を組み合わせて研修。教科グループごとに事前に録画・収録した授業動画等をGoogleMeetやZoomで共有しながら日ごろの研究の成果を発表した。秋の研究集会は2年ぶり。小学校3教科グループの授業の様子を紹介する。
◆比を活用し問題に挑戦 算数研究部 藻岩南小
小学校算数研究部は、藻岩南小学校(近香奈子校長)の6年1組(山口雄生教諭)「比」の授業を配信。当たりくじとはずれくじの比の問題から全体の比を使って、当たりの枚数を求める授業を展開した。
小学校算数研究部会の研究テーマは「分かる・できる・楽しい算数~主体的・対話的で深い学びを目指して」。藻岩南小がある南区内の小学校では、研究の視点に①学びと思いがつながる教材化②友達とのつながりが生まれる教師のかかわり―の2点を据え研究を進めてきた。
前時までに線分図を用いて実際の数に対応する比について学習。比を使う際に、比の性質や比1当たりの量を求めるとよいことや、線分図に整理すると分かりやすくなることなどを学んできた。
9時間扱いの7時間目に当たる本時は、部分同士の比が分かっている場合について、全体の比を用いた部分の数量の求め方を考えることを目標に掲げた。
山口教諭は「当たりくじとはずれくじの数の比が3対7になるようにくじをつくる。当たりは何枚か」「くじの数を全部で120枚にするとき、当たりくじの数は何枚にすればよいか」と問題提起。全体の比に目を向けさせるために、線分図で問題場面を表して状況を整理し、児童たちが何の情報が分かれば当たりの枚数が分かるかについて話し合う場を設けた。
児童たちは、はずれの枚数が分からない際の当たりの枚数の求め方を考えた。
その上で、山口教諭は「全部の枚数に対応する全体の比を使うと、当たりの枚数が求められる」と整理。最後に全体の比という見方が理解できているか、活用できているかを確かめるために、練習問題に取り組ませた。
◆換気工夫し快適な生活 家庭研究部会 小野幌小
小学校家庭研究部会では、小野幌小学校(森井由見校長)5年1組(岩瀨大地教諭)「暖かく快適な着方・住まい方~わが家の快適アップ作戦!」の授業を配信した。児童たちは、部屋に見立てたペットボトルに煙をためて換気する実験を繰り返し行い、効率的な換気の仕方を追求した。
小学校家庭研究部会の研究テーマは「生活をよりよくしようとする実践的な態度を育てる家庭科」。研究の視点に①子どもの実態に応じた教材化②子ども一人ひとりのよさを生かす教師のかかわり―の2点を掲げ、日常生活の中から問題を見いだして課題を設定。実感を伴って理解していく学習を繰り返すことで、生活をよりよく工夫しようとする資質・能力を育てることを目指し研究を進めてきた。
前時までに児童たちは、温度計や照度計を使って、教室や校内の明るさと温度を測定することで、日光を活用する工夫について理解を深めてきた。
また、冬と夏の住まい方の図を比較することで、冬を暖かく快適に過ごす工夫を考えた。
本時は、8時間扱いの6時間目。効果的な換気の仕方について、様々な解決方法を考え工夫することができるようにすることや、効果的な換気の課題の解決に向けて、主体的に取り組むことができるようにすることを目標に掲げた。
岩瀨教諭は、前時の暖房器具の安全な使い方に伴う換気の留意点を振り返り、「家庭科室の暖かさを保ちながら、換気するにはどうすればよいか」と問題提起。部屋に見立てたペットボトルに煙をためて換気する実験を行い、効率的な換気の仕方を考えさせた。 児童たちは、ペットボトル内の空気の流れをもとに、教室での空気の流れを図や言葉でワークシートに記入。これを踏まえ、岩瀨教諭は「換気をするときは、空気の通り道を考えるとしっかり換気をすることができる」とまとめた。
◆旋律の違い聴き考える 音楽部会 澄川小
小学校音楽部会では、澄川小学校(岡田知之校長)4年3組(川辺芳教諭)「せんりつのとくちょうを感じ取りながらききましょう“堂々たるライオンの行進”」の授業を配信。2曲の旋律の動き方の違いを聴き取り、聴き取ったことと感じ取ったこととのかかわりについて考える授業を展開した。
小学校音楽部会は、研究テーマ「分かる・できる・楽しい音楽の学習~自ら疑問や課題をもち、主体的に解決する授業づくり」を設定。研究の視点に①子どもが自ら疑問や課題をもち、主体的に解決する教材化や学習展開②思考力、判断力、表現力等を育む指導と評価―の2点を据えた。
子どもが自分の伸びを実感し、つぎの学習につなげたり、子どもも教師も音楽的な思考を振り返ることができたりするようなワークシートの工夫や評価について、授業実践や日常実践交流を展開してきた。
「せんりつのとくちょうを感じ取りながらききましょう“堂々たるライオンの行進”」では、2曲の旋律の動き方の違いを聴き取り、旋律が生み出すよさや美しさを感じ取りながら、聴き取ったことと感じ取ったこととのかかわりを考えることなどを目標とした。
前時までに児童たちは、「動物の謝肉祭」のいくつかの曲を聴き、様々な動物が登場する演奏にふれてきた。
また、白鳥の鑑賞を通して、旋律の特徴と曲想とのかかわりに気付き、曲や演奏のよさを見いだしてきた。
はじめに、児童たちは堂々たるライオンの行進の冒頭部分と、白鳥、堂々たるライオンの行進を聴き、旋律を確認した。
川辺教諭は児童たちに「どのようなところが“ライオン”のように感じるだろうか」と質問。児童たちは、曲の前半部を聴きながら、感じたことや気付いたことをワークシートに記入し、聴き取ったことや感じ取ったことを互いに交流し合った。
最後にライオンの様子を思い浮かべ、想像を広げながら曲全体を聴き、堂々たるライオンの行進の紹介文を書く活動に取り組んだ。
(札幌市 2021-10-25付)
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