【解説】神経性痩せ症　コロナで１・６倍

（解説 2021-10-26付）

　国立成育医療研究センターは、新型コロナウイルス感染症流行下の子どもの心の実態調査結果をまとめた。令和２年度における２０歳未満の神経性食欲不振（神経性やせ症）の初診外来患者数は２５８人となり、前年度比１・６倍に増加。コロナ禍でのストレスや不安が影響していると推測する。

　神経性やせ症は、極端な食事制限、過剰な食事後のおう吐、過剰な運動などによって、体重が正常より低い状態になる疾患。

　調査は、コロナ禍の子どもの心の実態を把握するために実施。全国２６医療機関において、新型コロナウイルス感染症流行前の元年度と２年度の神経性やせ症の患者数の変化を調べた。対象は２０歳未満の患者。調査時点は４月３０日～６月３０日。

　２年度における神経やせ症の初診外来患者数は、男子が前年度比１１人増の２８人、女子が８９人増の２３０人となり、約１・６倍に増加した。

　新入院患者数は、男子が３人増の９人、女子が３９人増の１３２人といずれも増加。特に女子が約１・４倍と大きく増加した。一方、神経性過食症の初診外来患者数は男女いずれも減少。新入院患者数は女子が３人増の５人とやや増えている。

　患者の重症化に伴って入院期間が延びる中、回答のあった５施設のうち４施設で摂食障害の病床使用率が増加。充足率２００％以上の施設が２施設あった。

　センターでは、緊急事態宣言や学校の休校などの生活環境の変化によるストレスのほか、自宅での引きこもり、行事の中止、友達に会えないことなどの不安があると推測。

　家庭や教育機関においては、子どもの食欲や体重の減少に気を配り、深刻な状況になる前に医療機関の受診につなげることが必要としている。

(解説 2021-10-26付)