【解説】音楽・運動　学力向上に効果

（解説 2021-10-22付）

　国立成育医療研究センターと筑波大学は、音楽に合わせた運動で子どもの学力が向上するとの調査結果をまとめた。モンゴル・ウランバートル市の小学４年生を対象に運動の実施グループと非実施グループで全国統一テストの得点変化を調査。その結果、運動したグループの平均点の伸びが大きかったことが分かった。

　調査は、運動が子どもの心身の発達、健康の維持・向上に果たす重要性を踏まえ、地域・社会レベルでの効果を検証するため、モンゴル体育大学と合同で実施。

　対象は、モンゴル・ウランバートル市の公立小学校１０校に通う４年生２３１０人。学校単位で運動プログラムを行うグループと行わないグループを無作為に分けて調査した。

　運動プログラムは筑波大の研究員らが考案。約３分間に数種類のジャンプ、スクワット、ステップなどを盛り込み、楽しい音楽や動作指示音声を組み合わせることで、子どもが意欲的・効果的に運動できるよう工夫した。

　運動プログラムの実施前後で、子どもの全国統一テスト（国語・算数の計２００点満点）の得点変化を比較した結果、運動プログラムを実施したグループは、実施しなかったグループと比べ都市部で８・４点、郊外では９・６点、平均点の伸びが大きいことが示された。

　また、運動を実施したグループでは、持久力や敏捷性などが向上。一方、脳の実行機能や精神的健康度への効果は認められず、BMIはやや増加した。

　国立成育医療研究センターは、多くの子どもに運動の機会を提供するため学校での取組が重要とし、限られた時間・場所で楽しく効果的に実施できる運動プログラムを工夫することで、学校現場での社会実装の可能性が示されたとしている。

(解説 2021-10-22付)