【解説】２年度版自殺対策白書

（解説 2021-11-05付）

　厚生労働省は、令和２年度版自殺対策白書を公表した。元年度の児童生徒の自殺者数は６月以降増加し、１１月は過去５年間の平均値と比べて２・３倍に増加。著名な男性俳優の自殺報道後、女性の自殺者が急増していることが分かった。

　児童生徒の自殺者数は元年度比１０３人増の４９９人。過去５年間の平均と比較すると、男子が２０・１％、女子は７３・５％増加している。女子は健康問題の自殺者が２倍に増加。学校問題が９２・５％増、家庭問題が６９・０％増と大きく増加した。

　月別にみると、３月の一斉休校直後から自殺者数が大きく減少した一方、学校再開の６月から急増。夏休み明けの９月と、次年度の進路を検討し始める１１月に増加している。過去５年間の平均値と比較すると、６月は６９・１％増、８月は８９・０％増、９月は４９・５％増、１１月は１２８・７％増。特に、女子は８月に１６９・８％増、９月に９３・５％増、１１月に２１２・５％増、１２月に２００％増となった。

　著名な男性俳優、女性俳優の自殺・自殺報道の前後２週間の変化を調べた結果、すべての年齢層で自殺者数は増加。特に、男性俳優の自殺報道後は１０代女子で約２倍、２０代女性で２・５倍となった。

　児童生徒の自殺者数の推移と学校の運営状況等に関する心理的な変化や社会的な関心事との関連を調べるため、インターネット検索ワードの推移を分析したところ、検索ワード「死にたい」は一定程度の関連があった一方で、「消えたい」の関連はほぼなかった。

　しかし、「学校に行きたくない」の検索ワードでは自殺者数の推移と高い関連性がみられたことから、学校に行きたくない心理状態と児童生徒の自殺者数に関連がある可能性を示している。

(解説 2021-11-05付)