教職員の協力を高める学校づくり〈№78〉 信頼構築 受容する態度肝要 生徒指導と教師2
(教職員の協力を高める学校づくり 2021-12-08付)

 経験年数にかかわらず、「私は児童生徒のため努力しているのに、心の距離を感じ、指導に耳を傾けようとしない」と相談を受けることがあります。相談者の話を聴くと、「こんなに児童生徒のことを考えているのに…」と話す方が多く、児童生徒は教師を受け入れてくれるものだという思い込みがみられます。しかし、教師自身と同じように、児童生徒も感じているとは限りません。児童生徒の側に立って自分の言動を振り返れば解決のヒントがみえると説明し、相談に応じるようにしています。

 人は、人にされたことは後々も覚えていますが、人にしたことは忘れています。児童生徒が指導に従わないのは問題にしても、自分が児童生徒にどう接したかは忘れ、生徒指導がうまく機能しないと、自分の指導を見直すことよりも、児童生徒の側に問題があると考えてしまいます。このような傾向に陥ると、対象の学年や学級が変わっても児童生徒との関係は改善することなく、児童生徒との関係で悩み続けることになります。

 児童生徒との信頼関係を築くことが生徒指導上、基本であると、様々な機会で述べられていますが、信頼関係は一朝一夕で築かれるものではなく、日常の中で築かれることはご存じのとおりです。信頼関係を築くためには、どのような教師の姿勢が大切なのでしょうか。当然であると思いながらも、つぎのような日常を再考されてはどうでしょうか。

①教室や割当区域の清掃は、児童生徒と可能な限り一緒に活動する

 児童生徒に清掃を任せて、翌日に清掃の不備を指導しても児童生徒はどう感じるでしょうか。児童生徒の信頼を得て、適切に導くためには「率先垂範」の姿勢が古今東西より言われています。

②自分の誤りは、ごまかすことなく謝ることができる

 児童生徒には誤りを正し謝罪するように促しますが、教師自身が誤りを犯したときに、自分の非を認め謝ることができるでしょうか。教師が児童生徒に謝るのは、「教師の威厳を損ない謝るべきではない」では、信頼関係を築くことはできません。

③全員の児童生徒と言葉を交わしている

 「先生、先生」と気兼ねなく教師に沿う子と、気がつくと一週間に一度も言葉を交わさない児童生徒がいるかも知れません。授業中を含め意識し一言でも言葉をかけるようにしてはどうでしょうか。言葉がけは、学級に存在していることを認める教師の大切な行為です。

④児童生徒の指導に一貫性がある

 状況に応じ説明が変わったとしても、一貫性がない生徒指導は公平さに欠き、児童生徒に見抜かれ信頼を獲得することはできません。

⑤多面的とらえ方で児童生徒と接する

 合理的な配慮を必要とする児童生徒を含め、その児童生徒の学習や行動歴で対応を構えるのではなく、特定の片寄ったとらえ方で接することがないよう受容する態度をもつようにしたいものです。

(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)

(教職員の協力を高める学校づくり 2021-12-08付)

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