教職員の協力を高める学校づくり〈№81〉 宮城県教委の調査研究 スクールロイヤーの効果的活用№1
(教職員の協力を高める学校づくり 2022-01-14付)

 日常の教育活動を支えていただくスクールロイヤーは、教育界にとって新しい存在であり、期待されるものです。令和2年の導入直後ですので、学校としてどのように導入すべきか一考を要するところです。

 令和元年に宮城県教育委員会は、文部科学省の事業である「いじめ防止等対策のためのスクールロイヤー活用に関する調査研究」に取り組み、明らかになった成果と課題を整理し、スクールロイヤーを効果的に活用するための留意点をまとめています。

 その内容を紹介します。

▼いじめ予防教室

 いじめ予防教室後、児童生徒のいじめに対する意識に大きな変容が見られた。しかし日ごろから、教員・保護者が児童生徒に対して継続的にいじめは許されないという自覚を高め、自分事としていじめを生まないために何ができるかを意識させるよう働きかけること、そして、児童生徒に主体的にいじめの未然防止の活動に取り組ませることが大切である。

▼教員対象研修会

 参加者から、スクールロイヤーの講話により、自校の取組や組織的対応の在り方を見直すことができたとの感想が多く寄せられた。研修会で得た知識や気づきを自分だけのものとせず、自校の教職員と共有し情報と認識を共有することで組織的対応のスタートラインに立つこととなる。決して一人で抱え込まず、日ごろから情報共有を心掛けチームとして対応できるようにする。

▼法的相談(相談2か月後のアンケート)

▽対応に悩んだ場合、法的な見地から助言を得られ心理的負担が軽減された。

▽対応について考える際、法的な視点から考えられるようになった。

▽教育的な視点で考えることに加え、いじめ問題対策委員会においては、法的な視点で考えることを意識して話合いが進められるようになった。

▽学校として明確な考えを持ちチームとして対応できるようになった。

(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)

引用・参考文献 宮城県教育委員会「いじめ防止等対策のためのスクールロイヤー活用に関する調査研究」

(教職員の協力を高める学校づくり 2022-01-14付)

その他の記事( 教職員の協力を高める学校づくり)

教職員の協力を高める学校づくり No.86 対処、対応のゴールを見据える 今日的生徒指導の要締1

 生徒指導は実践学であり、日常の教育活動に機能しなければならないと常々考えています。児童生徒との信頼関係を築くことの大切さは誰でも理解しています。しかし、どうすれば信頼関係を築くことができる...

(2022-03-04)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり No.85 単純接触効果の法則活用を 児童生徒のグループ問題2

 教室や廊下で泣いている子を見かけ、「何かあったの」と問いかけても「何でもありません」と答え、あとで「グループの仲間割れ」と耳にすることは多くの教職員が経験しています。経験豊かな教師は今どき...

(2022-02-18)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり〈№84〉 互いに疲れる関係に陥る危険性 児童生徒のグループ問題1

 84号と85号の2回は児童生徒のグループ問題を記載します。  生徒指導を進める中で、必ず課題となるのが児童生徒のグループ問題です。グループ自体には問題はありませんが、その機能が時としてい...

(2022-02-10)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり〈№83〉 懲戒処分要件 分かりやすく 生徒指導とリーガルマネジメント

 教職員の協力を高める学校づくり81・82号ではスクールロイヤー制度を中心に、生徒指導とチーム学校、宮城県のスクールロイヤーの実践報告を紹介しましたが、今号では、生徒指導上の諸問題の対応や生...

(2022-02-01)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり №82 宮城県教委の成果と課題 スクールロイヤーの効果的活用№2

 前号に引き続き、令和元年に宮城県教育委員会での文部科学省の事業である 「いじめ防止等対策のためのスクールロイヤー活用に関する調査研究」の取組によって明らかになった成果と課題を紹介します。...

(2022-01-26)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり〈№80〉 スクールロイヤーとは 生徒指導とチーム学校

 今号から4回にわたってスクールロイヤー制度を取り上げます。  スクールロイヤー制度に教育関係者が大きな期待を寄せています。  スクールロイヤーとは、学校で発生する様々な問題について子ど...

(2021-12-21)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり 〈№79〉意識格差解消し校内連携構築 生徒指導と教師3

 今号では「連携」について記載します。ご存じのように、地域との連携では、地域の力を生かした学校教育の充実を図り、学校全体の負担を軽減するため、マネジメント力の向上を図ることが求められています...

(2021-12-16)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり〈№78〉 信頼構築 受容する態度肝要 生徒指導と教師2

 経験年数にかかわらず、「私は児童生徒のため努力しているのに、心の距離を感じ、指導に耳を傾けようとしない」と相談を受けることがあります。相談者の話を聴くと、「こんなに児童生徒のことを考えてい...

(2021-12-08)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり〈№77〉 教師期待効果とは 生徒指導と教師1

 今号77号から79号までの3回にわたっては、「生徒指導と教師」と題し記載します。  生徒指導に課題があるという学校の研修会の講師を依頼され、ある先生の授業に注目しました。校長、教頭から「...

(2021-11-26)  全て読む

教職員の協力を高める学校づくり〈№76〉自己指導力を高める機会に 校則3

 同校は「宿泊こそできなかったが仲間づくりの有意義な機会とすることができた。今後も継続して、地域の一員として様々な問題を学び、解決しようとする姿勢を育てたい」としている。  前号、教職員の...

(2021-11-10)  全て読む