道教委事業中核校・網走小が研修会
(学校 2021-12-10付)

網走小授業づくり研修会①6年社会
蝦名教諭が指導した6年生社会

 【網走発】道教委の学校力向上に関する総合実践事業中核校の網走市立網走小学校(吉田昌広校長)は3日、同校で授業づくり研修会を開いた。道内小・中学校の教諭など約120人が参加。研修テーマ「自他のよさを生かし、学びを積み上げる資質・能力の育成」のもと、全学級の授業を公開した。蝦名穂香教諭が指導した6年生社会では、ノルマントン号事件を受けた条約改正への人々の思いについて、交流を通してとらえさせる授業を展開した。地崎純礼養護教諭は5年生学級活動で、多様な性を題材に、自他の個性を理解し互いに尊重し合う大切さについて考えさせた。

  同校は、「年間1000時間の授業で子どもを育てる」をモットーに、ねらいを大切にした授業づくり、研修を進めている。

 主な研修内容としては、①9つのフレームを用いた授業づくり②個人設定課題③授業におけるICTの効果的な活用―に取り組んでいる。

 ①については、授業準備を効率的かつ的確に行うための視点として、「出会う(導入)」「かかわる(展開)」「見つめる(終末)」の各場面で計9つのフレームを設定。教員は、授業のねらいに合わせて最適なフレームを選択し、授業づくりを進めている。

 ②では、教員一人ひとりが課題意識をもち、主体的に授業力向上を図れるよう、個人設定課題を位置づけている。

 ③では、これまでの授業実践とICTを最適に組み合わせることを念頭に、実践を重ねている。

◆1次公開 6年2組社会

 1次公開授業のうち、6年2組社会「近代国家を目ざして」(児童数25人)は蝦名教諭が指導。

 単元で身に付けさせたい力を「社会的事象の特色や意味を関連させたり多角的にとらえたりしながら、友達との意見を結び付けて理解を深める力」と設定。知識を学ぶ時間、友達と考えを伝え合う時間を繰り返した単元を構想し、友達と自分の考えを結び付けながら話し合わせることで、今まで気づかなかった見方や考え方から理解を深めさせることを目指した。

 本時は単元の1時間目。目標は「ノルマントン号事件について調べ、政府の取組や不平等条約の改正を願う人々の思いについて交流し、改正がうまくいっていなかったことを理解することができる」と設定した。個人設定課題は「児童の思考を広げたり、つなげたりする手立ての工夫」。

 蝦名教諭は、フレーム「問題意識をもたせる工夫」を設定して導入を展開した。ノルマントン号事件の様子を表した資料を提示し、気づいたことを交流。日本が不当な扱いを受けたことを実感させ、外国から受けた差別について当時の日本人は何を思っていたのかという疑問を引き出した。

 展開場面では、フレーム「思考を生む中心発問と問い直し」を設定。政府が不平等条約を改正できないこと、日本人が外国から不当な扱いを受けたことに対する国民の感情を確認した上で、「政府はどんな思いをもったのだろう」と問い直すことで、政府が国民の声を聞いてより一層条約改正への思いを強めたことに気づかせた。

 また、フレーム「資料や板書の効果的な活用」に基づき、国民と政府の2つの立場をとらえやすくした板書に。国民や政府の条約改正への思いを吹き出しで表したり、人物に表情を付けたりすることで、当時の日本人の思いを多面的にとらえられるようにした。

◆2次公開 5年1組学級活動

 2次公開授業のうち、5年1組学級活動「多様な性」(児童数37人)は、地崎養護教諭が指導した。本時の目標は「自他の個性を理解し、互いに尊重し合いながら協力してよりよい人間関係を築く態度を身に付ける」。

 地崎養護教諭は導入で、フレーム「問題意識をもたせる工夫」を設定。トランスジェンダー当事者の学生時代の写真を提示し、性別について予想を立てさせた。服装や髪型だけでは性別を判断できないことに気づかせ、課題「性別は何によって決まるのだろう」につなげた。

 つぎに、性には「からだの性」「こころの性」「好きになる性」「ふるまう性」の4種類があり、様々な性の在り方があることを紹介した。その際、フレーム「資料や板書の効果的な活用」から、性のものさしで表した資料を掲示し、性の多様性を視覚的に理解できるようにした。

 性的少数者の中には、苦しい思いを抱えている人がいることを伝え、なぜ苦しんでいるのかについて考えさせた。

 その上で、フレーム「思考を生む中心発問と問い直し」から「差別や偏見のない社会にするために、何ができるだろう」と問い直すことで、自分事としてとらえさせた。

 終末では、フレーム「ねらいに合わせた振り返り」を設定。性の在り方に限らず、自分とは違う意見や考え方をもつ人とのかかわりについて考えさせることで、自分の生活と結び付けられるようにした。

 授業後は、各部会に分かれて研究協議。

 また、道教育大学教職大学院の水上丈実教授が「単元で身に付けさせたい力を明確にした授業づくり」と題して講演した。

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網走小授業づくり研修会②5年学活
地崎養護教諭が指導した5年生学級活動

(学校 2021-12-10付)

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