道議会質疑 文教委員会(3年9月13日)
(道議会 2022-01-21付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼小泉真志委員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼鈴木淳学校教育監

▼櫻井良之学校教育局高校配置担当局長

▼塙浩伸高校教育課企画・支援担当課長

◆T―base

Q小泉委員 道高校遠隔授業配信センター設置の目的について伺う。

A櫻井学校教育局高校配置担当局長 遠隔授業配信センター、いわゆるT―baseの設置の目的について。道教委では、広域分散型の本道において、どの地域においても、子どもたちが自らの可能性を最大限に伸ばしていくことのできる大学進学等の多様な進路希望に対応した教科、科目を配信し、質の高い教育を提供すること、小規模校の生徒が他校の生徒とともに学ぶ合同授業などを行い、住み慣れた地域において、同じ目標を持った生徒同士との高まり合う学びを通して、子どもたちが地元で育ち、地域に愛着と誇りを持ってふるさとの発展に貢献していく資質や態度などを育むことを目的としている。

Q小泉委員 道高校遠隔授業配信センターが行っている遠隔授業の配信の実態、具体的に受信している学校数や生徒数、配信科目等について伺う。

A塙高校教育課企画・支援担当課長 T―baseからの配信の状況について。本年度は、道内全ての地域連携特例校25校と離島にある道立高校2校を対象に、学校の希望に応じて数学、英語などの習熟に応じた授業や、理科や公民、芸術などのより専門性のある多様な選択科目など、8教科21科目の双方向のライブ配信による遠隔授業に、延べ570人の生徒が取り組んでいるほか、長期休業中には進学講習も実施している。

Q小泉委員 過日、授業を見させていただき、先生たちは大変素晴らしい授業を実践されていると感心させられた。実際に授業を受けている生徒たちやその保護者からは、どのような感想が寄せられているのか伺う。

A塙高校教育課企画・支援担当課長 生徒等からの感想について。T―baseが配信する遠隔授業や進学講習を受けている生徒やその保護者からは、遠隔授業でありながら、丁寧な板書や説明で分かりやすい、他校の生徒ともやり取りがあるので緊張感や学び合いがあってよい、少人数であっても子どもの進路希望に合わせて3年間の学習を見通した授業であるなどの評価をいただいている一方で、遠隔授業なので分からないところを直接その場で先生に伝えるのが難しい、授業でもう少し発展的な学習がしたいとの要望も寄せられている。

Q小泉委員 同じ教科を複数の学校に同時に配信する合同授業については、長期休業、学校行事の実施時期も異なり、学校間の学力格差等、あるいは生徒に応じたきめ細かな指導をするという面で大変難しい一面があるのではないか。合同授業を実施する場合においては、一方的な押しつけや強制は行わず、受信校からの要望等によって実施すべきと考えるが、所見を伺う。

A塙高校教育課企画・支援担当課長 複数校への同時配信について。T―baseでは数学や英語において、2校に対して同時配信による遠隔授業を行っており、同時配信の授業を受けている生徒からは、他校の生徒と一緒に授業を受けることで刺激になった、適度な緊張感があり毎回集中して受けることができるなどの意見が寄せられている。

 道教委としては、小規模校に通学している生徒が他校の生徒と一緒に授業を受けることによって、これまで教室内では得られることができなかった多様な考えにふれられるなど、切磋琢磨できる環境の整備につながると考えており、今後についても、教科の特性や生徒の状況に応じて、受信校の希望や担当する教職員が出席する会議での意見等を踏まえながら、複数校への同時配信に取り組んでいく。

Q小泉委員 多様で質の高い教育を提供するためには、環境整備が欠かせない。より多くの学校に効率的に配信するためには、画面の質が問われる。現在、ソニーの配信システムIPELA(イペラ)を使用していると承知している。次年度以降、画面の質がイペラより劣るといわれているクラウドを活用したグーグルミートを多く活用させると伺っているが、問題はないのか。

A塙高校教育課企画・支援担当課長 配信システムについて。T―baseでは、映像や音声を双方向でライブ配信できる専用回線による遠隔システムを活用した授業に取り組む一方で、クラウド上のウェブ会議システムを活用した授業は、一般回線を用いるため、場所を問わずに遠隔授業を行えることや、生徒一人ひとりの端末を活用して授業を進めることができる利点があり、試行的に理科や英語などで実施している。

 画面の質については、板書が見えにくいなどの課題もあることから、文字の数や大きさ、図や表の表し方など、提示する教材教具の工夫などをしている。

 今後も引き続き、受信校の環境や教科の指導方法等を十分に考慮するとともに、担当する教職員へのヒアリングを行うなどして、クラウドを効果的に活用した授業を継続して実施する。

Q小泉委員 現在、配信している教室が不足していると聞き、一つの教室をパーティションで区切ってブースを作って授業配信していると承知している。そのパーティションも、机の上に置いただけの不安定なものに見えた。例えば、地震や火災等などの際の安全面においては、やや疑義があると感じている。

 また、現在の配信教室については、有朋高校の通信制課程と共用しているため、配信システムを金曜日の夕方に一旦廊下に出して、月曜日の授業前に搬入してセッティングする、そしてまた月曜日の夕方にそれを一旦全部廊下に出して水曜日の授業前にセッティングすると伺っている。

 このような状況は改善していく必要がある。次年度以降、配信拡大に対応のため、どのように対応していくのか伺う。

A塙高校教育課企画・支援担当課長 配信教室の不足について。T―baseでは、現在、遠隔授業専用の教室に限りがあることから、一つの教室をパーティションで区切ってブースを設置するなどの工夫をしている。

 次年度以降も、配信対象校の増加に合わせて、配信授業時数に応じたブースを確保することとしており、文部科学省の3ヵ年の委託事業「COREハイスクール・ネットワーク構想」を活用して、遠隔授業を配信するためのブースを増設したり、それに伴う安全面に配慮したりするなど、T―baseの環境整備に努めていく。

D小泉委員 道教委には、使用者としての安全配慮義務規定がある。しっかり対応していただきたい。

Q小泉委員 本年度の遠隔授業配信センターにかかる予算について伺う。また、物品が非常に限られており、試行的に先生の私物を活用しながら配信していると聞いているが、このような実態について所見を伺うとともに、今後の対応について伺う。

A塙高校教育課企画・支援担当課長 T―baseにかかる予算について。本年度、約1400万円を計上し、遠隔授業の配信や受信にかかる機材や物品の購入などで約3割、教職員の旅費で約6割を配分している。今後とも、T―baseからの要望を踏まえながら、学習指導の一層の充実が図られるよう、予算の確保に努め、必要な機材、物品などを整備していく。

D小泉委員 授業でアイパッドを活用する場合は全て私物を利用しているとか、HDMIケーブルなども限りがあって私物を活用しているというふうに伺っている。初年度で難しい部分が多々あるというのは十分に理解しているが、先生方が使命感に燃えて、より質の高い授業を配信するために努力をされていることから、今後、現場の先生方の要望をしっかりくみ取っていただきたい。

Q小泉委員 職員室の環境について。一人で情報機器を何台も活用しており、サーバーなどが置かれている配信センターの職員室や配信センター占有の主要な部屋の環境は劣悪であると言わざるを得ない。エアコン等を導入するなどして、環境整備を図る必要があると考えるが、認識を伺う。

A塙高校教育課企画・支援担当課長 職員室等の環境について。現在、T―baseの特性に配慮し、職員室において、教職員の席を固定せず、自由に席を選んで働くことができるフリーアドレスオフィスとしているほか、情報機器を利用し教材を制作するコーナーやミーティングスペースなどを確保するなどして、職場環境の改善を図っている。

 道教委では、教職員が働く場として、ゆとりを持ってまとまりのある空間を確保するなど、今後も環境整備に取り組んでいく。

P小泉委員 同じ教室内にブースを設置するということだが、一斉に配信していると隣の音が入らないように、より密閉しなければならないという状況で、機器にも影響があると思う。ぜひ、多くの学校ではパソコン教室にはエアコンが設置されていると思うので、強く指摘させていただきたい。

Q小泉委員 遠隔授業配信センターの教員数は、公立高校の適正配置および教職員定数の標準等に関する法律によらないと承知している。配信センターの教職員配置定数について伺う。

A塙高校教育課企画・支援担当課長 教職員配置定数について。T―baseは、地域連携特例校および離島にある道立高校に対する遠隔授業を配信するための専門機関として開設しており、その教職員配置定数は、いわゆる高校標準法にはよらないことから、T―baseから配信する遠隔授業の時間数を踏まえるとともに、道高校遠隔授業ネットワーク運営協議会において、各学校の意見を取りまとめ、道教委が毎年度検討することとしている。

P小泉委員 本来は、やはり配置定数基準をつくって公表すべきだと思う。次年度以降は、2年生にも配信授業を拡大する、地域連携特例校も2校増えると承知している。現在の人員で本当に間に合うのかどうかが危惧される。現場の意見をくみ取り、配置定数をつくっていただければと思う。

Q小泉委員 遠隔授業配信センターの教員には、質の高い授業を提供するためにも十分な教科研究の機会が与えられることが重要であると考える。授業準備に追われるようなことであれば質が確保できないのではないか。

 道教委は、現在の遠隔授業配信センターの教員の研修の実態等をどのようにとらえ、今後、どのように対応していくのか伺う。

A櫻井学校教育局高校配置担当局長 教員の研修について。教科指導力や遠隔授業にかかる教員の資質・能力を高める研修は重要であることから、T―baseでは、授業のない時間帯を活用し、年度始めに、新たに配置された教員に対して校内研修を実施するほか、教員が互いに授業を観察するなどして日常的に指導方法の改善を図る機会の確保に努めている。

 道教委では、引き続き、T―baseの教員に対し、道立教育研究所の研修講座の受講に加えて、今回新たに設置した各教科を担当する指導主事で構成する道高校遠隔授業配信センターサポートチームによる研修を実施するなどして、遠隔授業について専門的な見地からの指導助言に努めていく。

Q小泉委員 遠隔授業配信センターの目的でもある大学進学等に対応できるように、また、地方の子どもたちの学びを確保するためには、各教科において専門性の高い教員の配置が必要であると考える。今後どのように人材を確保していこうと考えているのか所見を伺う。

A鈴木学校教育監 必要な教員の確保について。地域連携特例校や離島にある道立高校に対しては、質の高い教育を提供するためには、やはり専門性の高い教員を配置することが重要である。

 このため、道教委においては、教育指導監や指導主事の学校訪問をはじめ、各種研修会や校長会などから情報収集し、教科指導力やICT活用能力の高い人材の確保に努めている。

 今後は、中堅教諭等資質向上研修などの教員研修の機会を通して、T―baseの果たす役割の重要性などについて少しでも多くの教員の理解を図るとともに、本人の希望や適性、使命感や意欲等を考慮しながら専門性の高い教員の確保に努め、生徒の興味・関心や進路希望等に対応できるより質の高い遠隔授業を提供できる配信センターづくりに取り組んでいく。

D小泉委員 先生方は、オンライン授業、双方向の授業で各学校が大変苦慮されているので、その学校に行って援助したいと言っている。熱意のある方々がつながっていけるように配慮いただければと思う。

(道議会 2022-01-21付)

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