道議会質疑 一般質問(3年9月17日)(道議会 2022-01-24付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼三好雅議員(自民党・道民会議)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼倉本博史教育長
▼扇澤昭宏警察本部長
◆ヤングケアラー
Q三好議員 道と道教委は、アンケート調査結果をどのように受け止め、ケアラーやヤングケアラーの支援の推進にどのように取り組んでいくのか、また、今後予定されている札幌市のアンケート調査をどのように取組に反映させていく考えなのか伺う。
A鈴木知事 ヤングケアラーの支援に関する今後の取組について。今回実施した実態調査では、ケアラー自身に自覚がないことや、相談事業所や学校など周囲の理解度が低いこと、特にヤングケアラーの子どもたちからは、約8割が誰にも相談したことがない状況にあることから、ケアラーに関する認知度を高め、ケアラーを早期に発見し、それぞれの事情や気持ちに寄り添った支援につなげることが重要であると考えている。
私としては、今回の調査結果とともに、道民の理解が深まり、意識を高めていけるよう、条例制定に向けたプロセスも共有しながら、全てのケアラーが尊重され、大切にされるべきといった基本理念や道の責務、関係機関の役割などを内容とした、ケアラーを支援していくための条例を年度内に取りまとめ、4年4月から施行したいと考えている。
今後、道として実効性ある取組を早急に検討し、この条例のもと道民が心を一つにし、また、先駆的に取り組んでいる栗山町や、現在、独自調査を予定している札幌市などを含めたオール北海道で総合的かつ計画的に取組を進め、ケアラーとその家族に優しい地域社会を実現していく考え。
A倉本教育長 ヤングケアラーへの支援について。先般実施した調査では、ヤングケアラーであることに自ら気づかず、相談などをしていないということや、教職員にヤングケアラーに関する理解が深まっていないことから、ヤングケアラーと思われる生徒に対する学校、関係機関が連携した支援が十分でないなどの課題が明らかとなった。
学校として、ヤングケアラーに関する一層の理解と状況に応じた関係機関と連携をした支援体制の構築が必要と考えている。
道教委としては、道の関係部局とともに、この調査などを踏まえて課題等を整理し、全ての子どもたちがヤングケアラーについて理解を深めることはもとより、ヤングケアラーが孤立することのないよう、心に寄り添い、実情に応じた相談機会を確保することや、国のガイドラインを活用した教職員研修の充実を図るとともに、札幌市が行う調査の結果も参考としながら、関係部局との連携会議等を活用して、地域において、学校と福祉、介護、医療等の関係機関が連携したきめ細かな支援体制を構築していけるよう取り組んでいく。
◆学力向上
Q三好議員 確かな学力とこれからの時代に求められる資質・能力の育成に向けて、道教委はどのように取り組んでいく考えなのか伺う。
A倉本教育長 学校段階間の連携による学力向上について。本道の全ての子どもたちが、自らの可能性を発揮し、未来社会を切り開いていく力を身に付けていくことができるよう、知識、技能はもとより、思考力、判断力、表現力、主体的に学習に取り組む態度などの確かな学力を育成する指導を小学校から高校まで一貫して行っていくことが重要である。
このため、道教委では、これまでも小・中学校で実施している全国調査や、高校で実施している道独自の学力テスト等によって、学校段階ごとに学力や学習状況等について把握し、児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に努めてきた。
今後は、各学校段階で得られた各種調査結果等を踏まえ、例えば、各教科における定着が不十分な学習内容や家庭などでの学習習慣の傾向を明らかにするなど、総合的に本道の子どもたちの学力にかかる課題等について整理し、ICTを活用した授業改善や道立高校入学者選抜学力検査への反映について検討するとともに、子どもの発達段階に応じた望ましい学習・生活習慣の確立を進めるなど、小学校から12年間を一体的にとらえた学力向上の取組を進めていく。
◆いじめ問題
Q三好議員 道教委は、重大事態など、いじめ問題にどのように取り組んでいく考えなのか、旭川市教委への対応も含め伺う。
A倉本教育長 いじめ問題への対応について。深刻化するいじめ事案に的確に対応していくためには、道教委が市町村教委や学校と連携を強め、早い段階から実態を把握し、解決に向けた取組を行うことによって、重大事態に至らせることのないよう対応することが重要である。
道教委としては、市町村教委、学校からの情報や、保護者、児童生徒から寄せられる相談について、いじめの背景や状況を踏まえて市町村教委や学校に丁寧に対応するよう指導していく。
また、万が一、早期解決が図られず、重大事態となった場合には、被害を受けた児童生徒や保護者に寄り添った対応と信頼関係の構築に努め、国のガイドラインに基づいた第三者調査が適正に実施されるよう、市町村教委に指導助言するとともに、必要に応じて、地方教育行政法や道いじめの防止等に関する条例に基づき、調査を行っていく。
旭川市に対しても、遺族の心情に寄り添い、事実の全容解明および当該事案への対処、再発防止を目的とした調査が迅速かつ適正に行われるよう、文部科学省の指導助言も踏まえ、引き続き指導助言していく。
道教委としては、いじめ根絶に向けた取組を徹底して行うことができるよう、指導力を発揮して取り組んでいく。
P三好議員 旭川市のいじめ重大事態に関し、第三者調査が迅速かつ適正に行われるよう指導助言していく旨の答弁があった。娘の名前を覚えていてほしい、事件を風化させたくないという思いから、遺族が第三者委員会の調査の最中に自ら手記を公表しており、旭川市教委が一時的には責任を負うべきものであることは当然であるが、道教委も、こうした遺族の心情を真摯に受け止め、早急に事実の全容を解明し、再発防止につなげていくことが求められている。
重大事態に至るようないじめ事案は、一歩対応を誤ると、子どもの命にも関わることがある。重大事態への対応に対する答弁において、道教委が必要に応じて法や条例に基づき調査を行うとのことだが、自殺といった痛ましい事故が決して繰り返されることのないよう、適切な対応と防止対策の徹底を道教委にあらためて求めておきたい。
昨年策定された道の総合教育大綱において、子どもの学びと成長の環境を整えることを基本方針の一つととらえ、子どもたちが安心して学習やその他の活動に取り組むことができるよう、学校、家庭、行政などが相互に連携協力し、いじめの未然防止と早期発見・対応に取り組むこととしている。
道教委は、子どもたちの安全・安心を第一に、いじめ問題にしっかりと取り組むよう、重ねて強く指摘する。
◆交通事故防止
Q三好議員 昨年6月、千葉県八街市の市道で、下校中の小学生の列にトラックが突っ込み、5人が死傷する痛ましい事故が発生した。通学路周辺では、交通量が多いにも関わらず、歩道や信号機などが整備されておらず、以前から危険性を指摘する声が上がっていた。
今回のような悲惨な事故を道内で起こさせないため、どのように取り組んでいく考えか、知事、教育長、警察本部長の決意を含め、それぞれ見解を伺う。
A鈴木知事 交通事故防止の取組について。登下校時の交通事故を防ぐためには、道民一人ひとりが規範意識を高め、行動するとともに、人優先の考えのもと、歩行者の安全確保を図るための対策を推進していくことが重要である。本年度策定した第11次北海道交通安全計画において、通学路等における交通安全確保に関し、定期的な合同点検の実施や歩道整備など、必要な対策を推進することとしている。
また、飲酒運転の根絶については、飲酒運転をしない、させない、許さないという条例の理念のもと、計画においても重点課題と位置づけており、今般の事故を受け、道では、新たに飲酒運転を防止する機器の活用事例や効果の周知を行うなど、道民や事業者への理解促進に努めるとともに、有識者の知見も伺いながら、効果的な手法などの研究を行い、根絶に向けた環境づくりを進めていく。
道としては、こうした対策を通じ、道警や道教委、関係機関や団体と連携し、子どもたちのかけがえのない命を奪う悲惨な交通事故のない安全で安心な北海道の実現に向け、積極的に取り組んでいく。
A倉本教育長 交通事故防止の取組について。児童生徒が安心して学校生活を送るためには、日常的な交通安全指導、登下校時や校外活動等における交通事故防止の徹底を図ることが重要である。
このため、道教委としては、道警と連携した体験型交通安全教育の推進や地域住民の協力による通学路の見守り活動等の先進事例を普及し、各学校の取組の改善を促すほか、国や道の関係機関による連絡会議を開催し、学校、市町村教委等による通学路の合同点検で明らかとなった課題を共有し、関係機関で対応方法を協議し、必要な対応を行っていく。
学校、市町村教委、関係機関等との連携による合同点検の実施方針などをまとめた通学路交通安全プログラムに基づく取組に対し、連絡会議を通じて指導助言するなど、引き続き、交通事故の被害から子どもたちの貴い命を守り抜く取組を一層推進していく。
A扇澤警察本部長 通学路における交通安全対策について。道警では、次世代を担う子どものかけがえのない命を守ることは重要な責務と認識しているところであり、これまでも、子どもの安全な通行空間を確保するため、交通指導取り締まりや交通安全施設の整備等の対策を講じている。
また、今般の悲惨な交通事故を受けて、現在、学校、道路管理者等と通学路の合同点検を行っているところであり、その結果を踏まえ、交通ボランティアと連携した街頭保護活動、登下校時間帯に重点を置いた交通指導取り締まり、学校における交通安全教室などのソフト面と、関係機関と連携したスムーズ横断歩道やガードレール等の防護柵の設置などの交通安全施設整備によるハード面を組み合わせ、地域の実情に対応した効果的な対策を引き続き実施していく。
飲酒運転の根絶については、事業所に対する安全運転管理の徹底を図るなど、条例の基本理念である、飲酒運転をしない、させない、許さないという規範意識の確立を図っていく。
道警としては、子どもが犠牲となる痛ましい交通事故が起きることのないよう、自治体や関係機関と連携し、通学路の交通安全対策に努めるとともに、犯罪や事故のない安心して暮らせる北海道の実現に向け、活動指針「道民とともに道民のために強く正しく」を実践し、職員一丸となって全力で取り組んでいく。
(道議会 2022-01-24付)
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